第50話 2日目
朝目覚めると、俺は何かを被っていた。イリアのくすくすとした笑いが聞こえる。
俺が目覚めたのが分かるとツインズが話し始めた。
「ねえねえミリア!友安様がパンツを被っていて面白いの!」
「あははは。まあまあ、これではまるで変態さんね!ちょっと可愛相だから取って上げた方が良いと思うわ。確かに可笑しいわね!うふふ」
俺はため息を付きつつ、パンツを取った。
「はあ、お前らやっぱりお子ちゃまだな。こんないたずらで喜ぶだなんて。これ洗ってある物だよな!?」
「あっ。それは私がきのう・・・その・・・」
俺は絶句し、風呂場に頭を洗いに行ったが、からかわれた事に気が付かなかった。
ちゃんと洗ったパンツだった・・・くう。
匂いはしなかったから、分かるようなものだが、慌てていたのもあり友安は直ぐに気が付かなかった。テンパっていたのだろう。
昨夜は早く寝たのもあり、今日は早く起きた。折角だからと、出来るだけ早くから上級エリアに向かう事にした。
前日の反省会では皆警戒無さ過ぎていたなとなり、次は常に臨戦態勢で挑む。
ミザリア、ミリアには回復ポーションを渡してある。
ミザリアが魔力切れを起こしたのは、準備不足以外の何ものでもない。掘り下げて確認して行くと、今までに上級魔法を立て続けに放つ事が無かったから、必要な魔力の量を持ち合わせていなかったのだと分かった。
俺はきのう、上空への警戒をしていなかった。これは経験の無さに由来する。
今回の修行は経験を積む事にあり、失敗はそれはそれで有りなのだ。但し全員無事で有る事と、失敗からちゃんと学ぶ事。これ大事。
また、俺の転移がおかしな事になっている。確か2回使うとインターバルが1分の筈だ。1回使うと30秒のインターバルが発生する事を部屋で検証していた。1度目を使った後、10秒以内に2回目を発動しないと30秒のインターバルが必要となるのだ。理由が分からないが、これも反省会でフランカに指摘された事だ。俺がやっている事と説明していた事が違うから、気になっていると言われ、俺も確かに違うなとなった。それもあり再度検証してみた。
最大の謎は、たまに連続で3回使えたりしていたが、条件が分からないから2回とした方が良さそうだ。
時間のある時に検証したい。
失敗から学ぶ事もある。
上級エリアに入ったが、先ずはきのうのグリフォンの巣を見に行く。
基本的に各自が己の力を確認し、皆、仲間が出来る事、出来ない事を把握し、それを踏まえての連携を強化する事を第1の課題とした。
その為、またグリフォンが居ればだが、グリフォン相手にきのうと同じ状況で、(反省を生かして)問題なく対処できる事を試す事にした。
しかし中々巣まで辿り着けなかった。高々歩いて15分なのだが、魔物が出るわ出るわ!ミノタウロスやオーガが次々に出てくるのだ。
魔石を抜くと待っていたかのように次が現れる状況だ。
お昼少し前に、漸くグリフォンの巣に辿り着いた。しかし、先客がいて、グリフォン2体と戦っていた。
しかし、パーティーの半分は既に殺されているようで、段々押されている感じだ。
黒髪の男が戦っていて、俺が見る限りだと、このまま彼らのみで戦っていると間違いなく全滅するだろうと判断したので、助太刀をする事にした。
俺が1体に魔法で攻撃し、ヘイトをこちらに向ける。
向こうも1体なら何とかなるようで、それからはあっという間に倒したが、なんと、黒髪の奴に文句を言われた。
「ざけんな!人の獲物を横取りしてんじゃねえぞ!」
「お前馬鹿か?俺達が助太刀しなかったら、どう見ても全滅していたんだぞ!それに魔石だとかは間に合っているからいらないぞ。それより亡くなった者をどうにかしないとだぞ」
「ちっ。あっさり死にやがって!これだから即席パーティーは嫌なんだよ。雑魚が!そいつらはたまたま今一緒にいただけで、名前も知らん奴だ。その辺に置いとけば良いんだよ。実力も無いのに入りやがって!」
奴はそう言うと、グリフォンの死体から卵を抜き取り始めたので、俺達は一旦その場を離れた。
俺は唖然としていたが、冒険者の死体を集め、申し訳ないと思いつつスキルを頂く。黒髪の奴から見えない所でだ。4人が倒れていて、1人が辛うじて生きている事が分かり、取り敢えず治療した。3人の死体は1人ずつなら俺の収納に何とか入れる事が出来るので、エリアの外に行き監視員に報告をする。
死体はギルドに持って行く事となったので、結局ギルドとの間を3往復する事になった。
生き残った奴から事情を聞いた。
4人は偶々、上級エリアに入る資格を有する先程の黒髪が臨時募集したパーティーの応募に応じた。皆初対面で面識がないとの事だ。
彼らの実力では本来中級にしか行けないのだが、上位者と一緒ならば上級者用のエリアに入れるからと、参加したのだという。
残念ながら実力が足りず、彼らは命を落としたようだ。自己責任と言えばそれまでなのだが、それでも黒髪の奴の酷い対応について、俺は怒りを覚えたのであった。
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