スキルスティール〜悪い奴から根こそぎ奪って何が悪い!能無しと追放されるも実はチート持ちだった!

鍵弓

第1章

第1話 召喚された

 今朝はいつにもまして悲壮な夢を見た。そこでは誰かが俺に何かを叫んでいる。そしてその誰かは叫びながら俺を突き飛ばした。


「坊主が最後の望みだ。世界を救えるのは坊主だけじゃ。儂のスキルを持って行け!そしてxxxを頼むぞ!儂の事は気にするな。どうせ長くても後2ヶ月も持たん体じゃ!時間がない!さあ行け!」


 そして絶望的な状況を打破すべく、俺は右往左往している・・・そして目覚める。


 俺は近くの三流大学に通う1年生だ。

 名前 仲野 友安

 年齢 19歳

 身長 173cm

 体格は普通

 何処にでもいる親のスネかじりだ。見た目は悪くない・・筈だ。髪型は今風ので、短くもなく長くもなく、ごく普通だ。


 アルバイト?まともな理由じゃしないしない。女の子と知り合いになりたくて、女子率の高い所へ気まぐれで行く感じだ。


 今は彼女がいないから、彼女が欲しいんだよな。と言うか気になる子と付き合いたいけど、人見知りから中々こちらから声を掛けられない。

 でも相手からデートに誘われる事が時々あるんだ。そして最初のデートにも関わらず俺が無理矢理キスを迫ろうとしたり、胸を触ろうとしてビンタされて呆気なく振られてしまう。

 その為、未だに最後まで行けていない・・・童貞っす。


 女の子からデートを申し込まれており、実際デート自体は出来ているので、見た目は決して悪い訳ではない筈だ。筈だよね?だけれども中々と言うか、1度も長続きした事がない。というか付き合うまでに至らないのだ。2回目のデートをした相手は皆無だ。


 女性にはこちらからは告白しない。そうではなく出来ないのだ。基本的に人見知りが激しく、奥手で自分でも何とかしなきゃなとは思うが、中々思うようには行かない。

 友達もそうだ。こちらからは声を掛けられないが、相手からはよく喋り掛けられる。

 見た目から親しみやすいそうだ。


 声を掛けて貰えさえすれば意気投合出来るのだが、俺からは中々声を掛けられない・・・そんな俺の奥手が今日で終わるとは今朝は思わなかった。


 そう言えば最近不思議な夢をよく見る。そこに出てくる者の顔がイマイチよく見えないけど、カチューシャ?だろうか猫耳の中学生位の女の子2人と、エルフ耳の大学生位?でスタイル抜群の女性は後ろ姿から美人だと思う。というか妄想している。

 そして男装の麗人といった感じのすらっとした亜人?とファンタジー世界で何かと戦っている夢を見る。

 モヒカンもいて、あれ?ギターを持っている?

 

 そこでは何人かの冒険者が息絶えていて、俺達が最後まで踏み止まって何とか戦っている。どうやら俺が勇者と呼ばれているようだ。彼女達は俺を慕っているのか、頼っているようだ。彼女達が女神に見えて良い感じになっており、戦闘中ではないシーンの夢では、女の子と仲良くしているっぽい。猫耳の子の尻尾をモフっていて、俺は気持ち良さそうにしていたな。何故かガチャを回していて、そこから出てきた女にキスされたり・・・そんな支離滅裂な夢だ。欲求不満か?でも、その夢の中の俺は皆と和気あいあいとしていて、コミュ症の俺じゃない。そんなふうになれたらどれだけ良いか。


 最近は特にいい事もなく、何となく1人で町をブラブラと彷徨っていた。そうすると何故か目に留まった見慣れない店が妙に気になった。

 

「あれ?こんな所に古本屋なんてあったっけ?まあ暇だし何か面白いのが無いか、冷やかし程度に見て行くか」


 というノリで店に入っていった。

 おじいちゃんが経営しており、今にも潰れそうな雰囲気だ。10坪位の小さなお店で、所狭しと書棚が並べられており、見た事の無い本ばかりだ。店は古いが綺麗で、扉はしょぼい引き戸だった。アンバランスだ。


 初めて入った古本屋だが、少し気になったのは古風な装丁の分厚い本だ。同じような作りの本が何冊かあり、背表紙にはこうあった。


【ゴブリンでもなれる剣術指南書】

【童貞でも出来るハーレムの作り方】

【魔力がなくてもこれさえあれば行ける!魔導六法全書】

等があり、何気に手に取った本のタイトルはこうだ。

【猿でも分かるスキルスティール(技盗み)取得法】

 変な本だなと思いつつ、つい中を見てしまう。そこに書かれていたのは、おちょくった内容だった。


【アホが見ーる馬のけーつ♪】


 のっけからはあ???と思うふざけた書き出しだ。だが、次の行が気になり読んでいく。この時、止めておけばどうなっていたのだろうか?と後日後悔ではなく、回想した。


【スキルスティールをやるから、魔王を倒してこい!まお頑張れや 】


 ?まお頑張れや?まあ頑張れやの間違いか!?と思ったが、瞬きした次の瞬間、何故かお城?の中にいた。


 何故か多くの人が俺を見ているが、俺はパニックで固まっていた。

 ここが城だと思うのは、テレビなんかで中世の城を紹介していたり、漫画やアニメ、映画等にある、そんないかにもといった感じの所だからだ。俺は謁見の間?だろうか?そんな感じの所にいた。


 床には多分魔法陣が描かれており、俺はそこの中心部に立っていた。本を持ってはいないが、格好は先程まで立って本を持って読んでいたその姿勢のままだった。結構間抜けな姿だろう。


 周りは甲冑を着込んだ兵士、ローブやマントを着込んだ男女、神官服を着た聖職者っぽいのや、玉座に国王?や隣に王女?が見えた。


「はああ!?何じゃこれ!?えええええ!」


 俺は思わずそう叫んでいた。すると唐突に吐き気に襲われ、口を押さえて蹲ってしまった。そして吐き気を抑えられず、床に吐いてしまった。


 ゼエゼエと呻いていると、何やら視界の片隅にパソコンのカーソルのようなものが点滅している事に気が付いた。???となっていると、半透明なディスプレイの様なのが頭の中に現れ、消えろと思うと消え、出ろと思うと再び見えた。


 なんか画面のレイアウトが、最近始めたスマホのゲームのステータス画面にやたらと似ているな。たまたまか?俺の意識にあるゲームの表示様式にでも変換されているのかな?そして俺は、小説等でよくあるパターンで、ゲームの世界にでも取り込まれたのか!?と考えていた。


 周りの者は誰も寄って来ないし、声も掛からない。俺が落ち着くのを待っているのか?吐いたんだから、助けに来いよ!


 どう考えてもファンタジー物でよくある異世界召喚にて俺が召喚されたとしか思えない。何故俺が?と思うよりも先に、小説とかではこういった時に特別なスキルやギフトを授かるが、俺にも何かないのかな?と思ってしまった。妙に現実感が薄く、ゲーム感覚だった。そうすると、先程の脳内ディスプレイにギフト一覧とスキル一覧が現れた。


 ギフト  スキルスティール

 スキル  未取得


 あれ?1個だけか!?俺は特別な何かを与えられており、無双出来るんじゃないんかい!?と突っ込みを入れた。

 取り敢えずスキルスティールについて、知りたいなと思うと、解説が出た。


 触れている対象のスキルを任意又は全て盗む事ができる。

 重複したスキルはスキル保管庫に保管される。

 同一スキルで且つ、同一レベルで有れば合成しレベルアップが可能。但し術者に1度取り込まれたスキルは外す事ができない。

 術者のスキルに対してスキル保管庫のスキルを合成又はスキル保管庫内での合成が可能。

 補助能力として、任意の触れている対象にスキル保管庫のスキルを付与する事が可能。

 死亡している場合は、死亡後30分以内であればスキルを盗む事が可能。

 スキルスティールのレベルが上がれば条件が変更される。条件の内容はレベルが上がるまで表示不可。低レベルの条件も使用可能。つまり上位になっても下位に対して互換性が有るって事だよな。


 うーん良いのだか悪いのだか分からない。要は触っている奴のスキルを盗み、俺のスキルにできると言う事か。

 今はスキル無しなんだよな。!?待てよ。これって使い方によっては凄い事になるぞ!?


 ちょっと触れたり、握手したり、肉弾戦で相手に触れた瞬間にごっそりスキルを奪えば、こちらは強くなるが相手は弱くなる!無双じゃねえか!?おおお!?と1人、心の中で盛り上がっていた。

 そうしていると急激に吐き気に襲われ、膝を付くと再び吐いてしまった。


 吐いた為か口の中が気持ち悪い以外スッキリし、どうやら調子は良さそうだ。嘔吐物の中に歯の被せもの、子供の頃交通事故で怪我をした腕へ、手術で着けられたボルト等が口から出てきていた。最初の嘔吐は胃がムカムカしたからだが、今回は喉に違和感があり、その為に吐いた感じだった。誰かうがいをするのに水位持ってこいよ!



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作者からのお知らせ。


 2022年8月1日現在、私以外の家族全員がコロナの陽性者になり、私自身の感染を防ぎつつ、世話、看病しながらテレワークをしています。

 どうやって1人のみ感染せずにやっているかコラム的に投稿中ですので、気になる方は見てください。現実の話です。

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