第12話 覚醒剤
中学のあの日学校をサボったあたし
転校して来た次の日から学校に来なかったマキ
一緒にずっと居た日々も少しづつの
ズレと喧嘩から私は2人で住んだ
あのボロアパートを出た
家を出た日の朝は
仕事が終わり
真っ直ぐ家に帰りたくないので
朝まで友達のBARで過ごして
家に帰る
出ていく少し前からマキの様子は
明らかに昔とは違っていた
1人になるのがその頃は
【寂しい】
だから朝まで帰らない
2人で借りたアパートにはいつも
マキの笑い声があったが
気がつけばすれ違いの方が多くなっていた
本当は喧嘩なんてしたくはなかった。
【寂しい】気持ちの伝え方がわからない
【怒り】になって口から言葉が出る
マキには数ヶ月前から男ができていた
その頃からマキは男の家で過ごすことが
多くなり最後の日には部屋には洗濯物が片付けられることも無く無造作に投げ捨てられていて
台所には洗っていないマキのコップ
冷蔵庫の中は空っぽ
明け方私は無言で荷物まとめた
行き先など決めてない
行くところもない
マキとはその頃働いてる店も違うかったので夜の街で会うこともなかった
噂で聞くとマキは覚醒剤に手を出した
男のせいで
二人で決めた約束なんて忘れたんだな…
荷物まとめ鍵をかけポストに入れて
朝また1人で夜の街に帰る
酔っ払ったホストの友達が居た
『珍しく1人じゃね?』聞いてくる
『まーね』愛想無く返事をする
朝の街は知らない街みたい
肩にかけた荷物が重くて仕事終わりの
ドレスに15cmのヒールが似合わない
それより何処に行こう
働いてる店のオーナーに電話した
『今日から寝れるとこない?』
オーナーは
『寮あるから今からボーイに片付けさせる、待っといて』と電話を切った
1時間程してボーイから電話が来た
『片付け出来たので迎えいきます』
有難い
もう一歩も動きたくない
少し待つと指定した場所にボーイがきた
『寮あるのしらなかったんすか?便利な場所だしすぐそこッス』
朝から元気だなと思いながら店から徒歩5分ワンルームがあった
『え、こんな所あったっけ?』
あたしが聞くとボーイは荷物を持ち
階段を上がる突き当たりの部屋らしい
鍵をもらい中に入ると
備え付けの家具家電がある。
『布団ない』あたしが言うと
『買ってくるから』ボーイは出ていく
とりあえず荷物を置いて
『あ。カーテンないじゃん』
とか呟いたけど
どうでもよかった
何時間経ったのか知らぬ間に寝ていた
起きたら新品の布団があった
何週間かして携帯がなる
相手はマキだ
【今更私が家出た事気がついたのか】
そう思いながら電話出た
『まみ子?家に帰ったら居ないからさ』
私『もう、何週間も前に家でたけど』
マキ『なんで?寂しいじゃん』
私『寂しくないでしょ男はいるじゃん』
マキ『いるけど、あのさ金貸して?』
私『え、なんで貸さないよ』
マキ『なんでよ今すぐいるのに5千円でもいいから3千えんでも』
私『あっても貸さない。約束破ったよね?薬やってんの街中の噂だよ?店も出てないでしょ?』
マキ『してないよ』
私『とりあえず出てきて?会って話そ』
マキ『男うるさいから出れないんだ』
私『そっか。わかった』
電話を切った
次の日もその次の日も着信があった
出なかった
ある時同伴の客と夕方待ち合わせをしてたら見慣れた顔?マキ?
ガリガリに痩せてブカブカの長袖のトレーナーを着てる。足は素足にスリッパ
目が合った
走ってくるわけでもなく
足を重そうにスリながら歩いてくる
『まみ子久しぶり』
マキはそう言った
『マキ何してんの?まだ薬やってんの』
『やってない』
『街中噂が広まってるし実際今の姿おかしいよ?1人?』
『逃げてきた』
『何処から?』
『男寝てたから逃げてきた』
『どうしたいの?』
『行くとこない』
前のアパートは家賃滞納して追い出されていたらしい
ずっとラブホ暮らししてるらしい
携帯も管理され自由もなかったらしい
『私店の寮なんだよね』
『うん』
『あのさ、行くとこないなら来れば』
『いいの?』
『マキちゃんと出来る?』
『出来る』
とりあえず同伴のお客さんに電話して
時間ずらしてもらって寮にマキを連れていった。
『外から鍵閉めとくから、いなよ』
『ありがとうごめんね』
『いいよ。店終わったら帰ってくるから話しよ』
私は同伴をし店が終わり寮に帰った
…
鍵空いてる
部屋に入ると色々無くなってた
時計も鞄も封筒に入れてた金も
やっぱ無理だったんだ
物は買えばどうにかなる。
金も稼げばどうにかなる。
ただ、気持ちはどうにもならない
『ありがとうごめんね』って
この事か。
それから少しして街の噂が変わった
『マキパクられたらしいよ』
『まみ子仲良かったよね?』
何人かに聞かれた
『昔はね仲良かった』
そんな噂も1週間も経たずになくなった
皆マキを忘れたみたい
それが夜の街
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