第13話街中でのトラブル

 次の日の朝9時、リュウジンは広間の噴水の前にやってきた。


 リュウジンは赤髪の凛に似たキャラが見えたため近づいていった。

 するとリンは2人組の男に話しかけられていたがリュウジンはかまわずリンに話しかけにいった。


「ねぇ、いいでしょう?僕らランキング5位と8位だからリンさんと組んでもそんなに遅れとることないだろうし〜?」

「そうそう!絶対損はさせないしさ!パーティー組もうぜ!」

「興味ないっす。それに人待ってるっすからあっちいって欲しいっす」

 普段のリンからは考えられないほど無愛想で不機嫌な声で返答していた。


「おい、リン。そいつら知り合いか?」

 リュウジンは面白くなりそうだと思いながらリンに話しかけた。

「あ?なんだてめぇ!今俺らが話してんのが見えねぇのか?!」

 1人の男がこちらに怒鳴り込んできたのを内心喜び笑みを隠そうとし隠しきれないまま

「いやなに、リンとここで待ち合わせをしていたのでな。お前たちも待ち合わせでもしてたのかな?」

 リュウジンは神経を逆撫でするように薄ら笑いを浮かべながらそう言った。

 男は少しの間顔を真っ赤にしていたが、いきなり笑みを浮かべ話しかけてきた。

「今日は俺たちとパーティー組む予定なんだよ!初心者のお前にランキング3位のリンちゃんはもったいないだろ?ランキング5位と8位の俺たちと一緒に行動してこそ効率的に今度の大会で活躍できるってもんでしょ?な!わかっただろ?さっさと帰んな!」

「ほら、リンちゃん。これで予定も無くなったでしょ。だから大丈夫だよ?じゃあパーティー登録しに行こうか!」

 男たちはリュウジンには興味がなくなったようで再びリンにアタックし始めた。

「リンよ。こいつらは本当に人間なのか?会話が成立しているようには見えんが。もしやこの世界の未知のモンスターか?クッククク」

 リュウジンは男共が怒ってそのまま殺し合いになると思っていただけに意味のわからない理論を言うだけ言ってきた男共が未知のモンスターに思えてきて笑いが込み上げてきた。


(さて、どうやって戦う流れにもっていこうか)

 そんなことを考えているとリンと目が合った。

 リンは突然パァと明るくなりうんうんと頷いていた。


「おいお前!まだいたのか!さっさとどっかいけ!」

 男はしっしと手を振ってきた。


「う〜ん、それじゃあ!先輩にあなたたち2人が決闘で勝てたらパーティーを組んであげるっすよ!」

 リンは腰に手を当て胸を張りながらそう言った。


 リンにとって長年一緒に過ごしてきたリュウジンの考えなど簡単にわかっていたので、戦いができるように誘導し、おまけに邪魔な男たちを排除できる一石二鳥の案にとても満足していた。

 リンにとって所詮はゲームの強さランキング5位のロイ=マックロイと8位のルクス=マックロイなんてリュウジンにとってはたとえスキルがあろうがなかろうが負けることなどありえないと絶対的に信じていた。


 そしてその頃には周囲にギャラリーが数多く集まっていた。


「は!こんな初心者丸出しの装備のやつに負けるわけねぇよ!」

「リンちゃんは恥ずかしがり屋なんだね〜。僕たちとパーティー組むためにこんなに回りくどいことするなんて。仕方ないな〜」


「キ、キメェ〜っす・・・」

 リンは胸を両腕で抱きながら男から距離を取っていた。

 キモいと言われた男ルクスはそんなリンの様子に全く気づかず自分の世界に入っていた。


「それじゃあ、私が審判をするにゃ!」

 そういっていきなり出てきたのは猫耳がついた猫の外見の少女だった。


「な、なんだいきなりてめぇ!勝手なこと言ってんな!」

 ロイはいきなり出てきた少女に怒鳴ったが、少女は全く動じていなかった。


「こういうのは第三者がやるべきものにゃ。そうすれば終わった後にいちゃもんをつけられることはないにゃよ?」


「ふん。とりあえずどういうルールにするか言ってみろ!それを許すかどうかはそれから決める」

 至極当然のことを言われたロイであるが、自分第一と考えているロイは自分有利な条件しか認める気はなかった。

「それじゃあ、私が考えたルールはこうにゃ」

 お互いの目の前にウィンドウが現れた。


 ――決闘――

 決闘者:リュウジンVSロイ=マックロイ&ルクス=マックロイ

 勝負方法:デスマッチ/何でもあり/時間制限なし

 勝利条件:対戦相手を死亡させる、もしくは対戦相手の降参

 報酬:お互いのアイテムの最も高いもの

 ―――――

 決定   拒否

「これでいいなら、決定を押すにゃ」


 リュウジンにとっては普通に戦えること以外はどうでも良かったので迷わず決定を押した。

 勝負内容は圧倒的にロイとルクスに有利な条件であったが

「おい!この報酬のお互いのアイテムで最も高いものって初心者のこいつと俺たちだと差がありすぎんだろ!こんなもん認めねぇぞ!!」

 ロイは猫耳の少女にまた怒鳴り出した。

 その構図はいたいけな少女を大の大人が恐喝しているように見え、周りのギャラリーも皆顔を顰めていた。


「おいおい!5位様は初心者相手にびびってんのか?」

「そうだそうだ!」

「負けるはずがないと思ってんなら報酬が何であっても変わらんだろ!?」

 ギャラリーは口々に文句を言った男ロイに対して野次を飛ばし始めた。


「・・っぐ。うるせぇ雑魚共!雑魚の分際で俺に文句を言ってんじゃねぇ!それにこいつがなんかずるするかもしれねぇだろ?保険だよ、保険」

 そういってロイはギャラリーに向かって吼えていた。


「おい。めんどくせぇから俺はあの条件でお前らは負けても別になんもいらんぞ?

 勝てるとわかっている勝負で報酬をもらうのも悪いしな」

 リュウジンにとってはただの事実であり、対人戦の確認をしたいだけだったので本当にどうでも良かった。


「〜〜っ!良いだろう!この条件で飲んでやる!貴様!ただでは殺さんぞ!」

 そうロイが言うと、リュウジンの目の前に

 ――決闘開始まであと60秒ですーー

 という文字が表示され、カウントダウンが始まった。

 ルクスはまだ自分の世界に入り浸っていた。


「おい!ルクス!さっさと準備しろ!2人であいつをなぶり殺しにしてやるぞ!」


「・・・んぇ?え〜もう始まるの〜?ていうか、初心者相手に2人もいる?僕はリンちゃんと遊んでたいんだけど・・・」


「あたしは遊びたくないっすけど・・・」

 リンは顔を顰めながらボソっと呟いていた。


 決闘は別空間に飛ばされ行われ、非公開にしない限りは好きに誰でも観覧することができる。


 ギャラリーは皆観覧モードでリュウジンの決闘を見に行っていた。



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