百八首目 花火大会 短文付き

 大輪の

  花火に浮かぶ

   シルエット 

    裸体の君が

     光と踊る


 高層マンションの窓いっぱいに大輪の花火が咲く。

 光の尾をくねらせて天に昇り、炸裂してはその火末を名残惜しそうに巻き散らす。

 暗い室内は花火の明滅に合わせて彩られる。

 汗ばんだ君の背も花火色に染められて、色をまとって身をくねらせる。

 目の前で和太鼓を叩かれたような炸裂音と振動と、君が発するその声が夏の空気に交じってく。

 まるで夏夜そのものを抱いているよう。

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