第5話 人間関係には消費期限がある

ほんの数日前のこと。


銀行の待合の席に座ってぼーっと順番待していた私はちょうど右斜め前にある窓口でなにかの手続きをしている女性の横顔を見て、ぎょっとしてしまった。


間違いない、あの人は何年か前の年末に…


スピリチュアルに傾倒して某ブログのヒーラーさんに直接会いに行ったり、

会話しているとき急に赤ちゃん口調になったり、

さらには自分で作ったビーズの飾りをパワーアップストーンだと言って売りつけ始めたので、


私ははっきり、


「波動がどーの、魂レベルがどーの、私にはあなたの見えているものは見えないし、信じているものには共感しないし受け入れられない。

私は多少歪んでいるけれど現実主義のままでいい、と思っている。

長い付き合いだったがこれまでなのだろう」


と言って友達やめさせていただいた人であった。


頼むからこっち見ないでくれよ。気づかないでくれよ。



と思いながらの十数分、私は天井にかかったテレビを見てたり戦争関連で気が重くなったので雑誌のサライを読んでたり…


周りにそうとは気取られないように、実はソワソワしていた。


でも私は彼女にやましいところなんて何もなく、別れた原因が、


「ヒーリングサロンの客としてしかあなたに会わない」


「何で?」


「守護霊がそう言ったから」


「は?」


と女同士でこれ言ったらビジネスで食い合うか絶交な。


な地雷な事を言われて…儲け以外で会わないと言われたんだからここまでだ。


と激怒したからである。


毎晩睡眠薬飲まなきゃ眠れない私を「修行が足りない」と否定してくるこいつに会っても不機嫌な要素しかねえな。


と積もり積もっていた所もあったのでそれから3年近く何処で何してるかも知らなかった。


やがて彼女は窓口から立ち上がり、ATM側入口近くであるこっちを見るかと思ったが、


彼女は私のいる側を全く見ずに反対側の玄関入口からさっさと出て行った。


まるで動線も纏った空気も混じり合わないかのようなすれ違い。


なるほど、とうに縁は切れていたのだ。











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