強まる決意
プラナの自らもカイスを救いたいという懇願を聞いたギンはプラナも帝国への同行を許可することとする。
その一連のやり取りを見届けたフィファーナはギン達に話かける。
「ではわらわは先にニリに船を移動させておく、そち達と合流次第に出港するぞ」
「ああ、分かった」
「できる限り急いでくれ、既に本国にはグラッスの件が解決したことの報告の使者を送っているからの、いつまでも戻らんと不自然じゃからな」
そう言い残すとフィファーナは自らの馬車に乗り込み、ギン達の前より姿を消した。
フィファーナの馬車がギン達の視界からいなくなるとギンがルルーに声をかける。
「ルルー、俺達もスップに戻って出発の準備をするぞ」
「そうね、急いだほうがいいわ」
ギンとルルーのやり取りを聞いてプラナが声をかける。
「あの先に孤児院の方や子供達に挨拶をしておきたいんですが」
「そうね、短い間とはいえお世話になったし、じゃあ私達はここで待っているから」
「はい、では行ってきます」
プラナがそう言って孤児院に入ろうとすると院内より声がする。
「話は聞かせてもらいました」
「マザー⁉」
声の主はマザーであり、近くにプラナと共に孤児院を守ったホセ、そしてマリンとアルがいた。
「プラナさん、ムルカやルルー達と共に帝国に行くんですね」
「はい、突然の事で申し訳ありません」
「あなたが決めたのなら私には止める権利はありません、でもこれだけは言わせてください」
次の瞬間、マザーは頭を下げてプラナに対し感謝の言葉を述べる。
「子供達を命がけで守っていただきありがとうございます。ミッツ教徒としてお礼を申し上げます」
「頭をお上げください、本来私は……」
本来帝国の騎士として捕虜になってもおかしくない事を言わんとするが、マザーはそれを察し、先んじて言葉を放つ。
「いいえ、例えあなたが帝国の騎士だったとしても子供達にとっては今のあなたが全てです。子供達を育てる身として私はあなたに感謝せずにはいられないのです」
「マザー……」
マザーの言葉にプラナが感激しているとマリンがプラナに声をかける。
「おねえちゃん、帝国に行くの?」
「ええ、マリンちゃん、さっき私に好きな人がいるって話したでしょう」
「うん」
「その人がとても苦しんでいるって聞いて、私に何ができるか分からないけどそれでもその人を助けたいの。とても大事な人だから」
プラナの言葉を聞いてアルがプラナに対し言葉を発する。
「それなら行ってやんなよ、泣くほど好きなんだろ」
「アル君……」
「俺達ここで上手くいくよう祈ってやるからさ。にいちゃん、プラナねえちゃんを守ってやれよ、妹なんだろう」
アルより話を振られギンはアルに返答する。
「分かっている。お前達にとってもプラナは大事なんだろう」
「まあな、なんかあったら俺が許さねえぞ」
「ふっ、何としても守り抜かないとな」
ギンとアルがやり取りをしているとマリンがプラナに声をかけている。
「マリンも祈っている。その人の事を助けてあげてね」
「ええ」
自らを慕ってくれるマリンとアルの後押しを受け、プラナは更に決意を強める。
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