意外な同行者

 グラッスよりプレツに戻って来たヨナを改めて共に戦う仲間として温かく迎え入れるギン達。


 一同が喜んでいる中、ルルーは突如ある事が気になり、ヨナに尋ねる。


「あ、でもちょっと待って、弟さんが成人したらあなたはどうするつもりなの?」

「実はグラッスの王様に近衛兵として仕えて欲しいって言われてさ、あたしもそうしようかと思っている」

「そうなのね、頑張った甲斐があったわね」

「近衛兵なんて、あたしのがらじゃないと思ったけど、あそこまで言われちゃね」


 ヨナがそう言うと、ゲンジの引いている馬車から更なる人物がでてきて、言葉を発する。


「それだけじゃないと私は思うけどね」


 声の主はミニルであり、ジエイとウィルや傭兵達も馬車から降りてきて、ギンが反応を示す。


「ジエイ、ウィル、ミニル、お前達も無事だったのか」

「帝国との戦いでも生き抜いた俺達がそう簡単に死ぬかよ」


 ウィルの軽口に対し、ブライアンが返答をする。


「言うじゃねえか、ま、俺もお前達がそう簡単に死ぬとは思ってなかったけどな」


 ウィルとブライアンが軽口を叩き合っていると、ヨナがミニルの言葉を聞いて少し心当たりがあるのか動揺しながら尋ねる。


「そ、それだけじゃないって……何が言いたいのさ?」

「あの時、本を王様に読んでもらったという話を聞いた時も少しおかしいと思ったけど、王様を前にしてもただかしこまってるっていう風じゃなかったじゃない」

「だから、どういう意味だよ!」

「もしかしたら、グラッスの王様ってヨナにとって初恋の人だったんじゃないかなって」


 ミニルの発言を聞いてヨナは動揺するが、最初に反応したのはヨナではなかった。


「姉御!今の話、本当ですかい!」

「え⁉あんた達まで、なんだよ!」

「その話が本当なら俺達も姉御が幸せになれるように手伝いますぜ!」

「ああ、もうミニルが変なことを言うからこいつらが勝手に盛り上がったじゃないか」


 傭兵達がヨナの恋路を応援するという発言にヨナが戸惑っていると、ゲンジが引いている馬車とは別の馬車から声がする。


「まったく、緊張感のない連中じゃのう」


 馬車からの声の主はフィファーナであり、ギン達はすぐさまフィファーナを目にし、最初にギンが声を発する。


「フィファーナ将軍⁉」

「久しいのう、剣士、いやギンよ」

「どういうことだ?何故フィファーナ将軍がジエイ達と……」

「わらわが同行を願い出た。そち達に知らせねばならんことがあるからのう」


 フィファーナがギン達に何を知らせるのか?

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