変化した村
ヨナより、ヨナの父であるトッポックス領主はとある男が国王の側近に対しトッポックス領を得られるように働きかけると話していたのを聞いていたことを打ち明けられたジエイは自らの考えを話す。
「ヨナ殿、その男はプレツでももちろんスールの者ではないでしょうが、トッポックス領主は意図的にその話を聞かされたのでは」
「何の為に?」
「トッポックス領主を追い落とし、自らがこの地を得る為に他なりません。ヨナ殿、側近がトッポックス領に目をつける心当たりはありますか?」
「心当たりって言っても、広い土地じゃないから人口は少ないし、当然生産力もそんなにないし、これと言った産業もないから狙う理由がないんじゃない」
トッポックス領はヨナによると特段優れた要素はなく、他の領主や側近が目をつける理由に心当たりがないと話すが、その話を聞いてウィルは別の観点の話をする。
「じゃあさ、お前の親父さんと、その側近の間で何かこうトラブルみたいなものはなかったのか?」
「父さんは領主っていっても入り婿だし、その側近にバカにされたかもしれないけど、表立って何かあったようには思えない」
「その線もないとなると一体、何なんだ?」
話の途中だがジエイがある気配を感じ、馬車を止めさせる。
「馬車を止めてください、以前の村に近づくにつれ人の気配を感じます。私が少し様子を見て来ましょう」
「そうだね、頼んだよ」
ヨナから言葉をかけられ、ジエイはかつてヨナと傭兵団が過ごしていた村にひっそりと近づいていく。
そしてジエイは以前とは違った村の光景を目にする。
村にはグラッスの兵達が軍事拠点としており、兵士が常駐していた。
少しでも情報を得ようと気付かれないように兵士に近づき、兵士の話声を聞いた。
「しかし、まさかまたブロッス帝国と戦う事に、しかも今度はこっちから攻めるなんてよ」
「皇帝のギガスが死んで、あちらさんは混乱中だから攻めるって話だ」
「俺達にも出撃命令は下るのか?」
「さあな、ただ俺達が攻め込むと同時にあちらの領主軍と一緒に帝都を挟撃するって話ではあるらしいぞ」
なんとグラッスは帝国の領主と既に通じており、挟撃作戦を既に立てていた。
その話を聞いたジエイは慎重に気付かれぬようにその場を離脱し、ヨナ達の所に戻っていく。
グラッスと帝国の領主が既に通じていた事実、もはや開戦を止めることはできないのか?
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