自分にできる事

プラナに会う為に、ミッツ教団が運営する孤児院を訪れたギンとエイム。そこでプラナと再会するものの、その孤児院にはかつて魔物に襲われた村に住んでいるアルとスップに住むマリンがいたのだ。プラナに関する話を終えると、エイムがアル達に質問をする。


「そういえば、どうしてマリンちゃんとアル君はここにいるんですか?」


 エイムの質問にまずマリンが答える。


「あのね、おねえちゃん達が帝国や魔物と戦ってくれている時にマリンも何かできないかなってお兄ちゃんに相談したら、司祭様にお話ししてくれてここを教えてもらったの」

「はい、それからどうしたんですか?」

「それでね、マリンに何ができるかなって思ったら、この子達と一緒に遊んだり、お勉強したりしてるの」

「お勉強?」


 エイムが勉強という単語に疑問を抱くとマリンが説明をする。


「この子達が分からないところはマリンが教えているし、マリンが分からないところは教えてもらってるの。マザーのおばあちゃんは助け合う事が大事だって言ってくれたの」

「そうなんですか、マリンちゃんはえらいですね」

「へへへ、褒められちゃった」


 エイムに褒められてマリンが喜んでいると、ギンがアルに尋ねている。


「アル、お前はどうしてここに?」

「あのさ、俺あれからミッツ教団の人に頼んで、剣の稽古をつけてもらってたんだよ」

「確か神官戦士には元兵士もいたな。あのムルカ殿も元は騎士だったからな」

「それで、少し剣術が身についたし、ミッツ教団の人に何かできねえか聞いたらここを教えてもらったんだ」


 アルの言葉を聞いて、ギンはあることを察し、念の為尋ねる。


「まさか剣術をここの子に教えているのか?」

「と言っても俺が教えられることなんてたかが知れてる。こいつらも大人になればここを出ていくんだから勉強も大事だけど身体だって強くねえとダメだから身体を動かす機会を何かって思った。それだけだよ」

「……、安心した。俺はてっきり剣術で行き過ぎた指導をしているんじゃないかと思ったぞ」

「俺がどんな奴だと思ってたんだよ!」


 アルがギンに抗議をしていると、マリンがエイムに何かを告げようとしている。


「おねえちゃん聞いて聞いて、あのね、マリン大人になったらアル君のお嫁さんになるの」

「お、お嫁さん⁉」


 マリンが突如、アルのお嫁さんになるという宣言をするとエイムが驚きのあまり声をあげ、ギンも驚きの表情を見せる。


 その状況に思わずアルがマリンに抗議をする。


「ちょっと待てよ!何でそんな事言うんだよ!」

「え、だってアル君言ってたよ『お前を守ってやる』って」

「いや、何でそれでお嫁さんになるとかになるんだよ⁉」

「お父さん、お母さんにそう言って結婚したんだよ」


 アルとマリンのやり取りに呆然としているギンとエイムにプラナが声をかける。


「アル君とマリンちゃん、私と会う前からこんな感じで……」

「そうなんですね……私達の知らない間に色々あったんですね」

「……そのようだな」


 やはり子供の心の成長は早い。そう思うギンであった。

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