帝王

 プラナと過ごす時間も束の間、ギンはプラナに対し、ブロッス帝国に行き、皇帝であるギガス、そして魔導騎士団長カイスとの戦いを避けられないことを告げるが、プラナが自身の話を聞いて欲しいと懇願する。


「私が知る範囲だけど、ギガス陛下とカイス様の本当の望みを聞いて欲しいの」

「本当の望み?」


 ギンが不思議そうに聞いていると、ブライアンがやってきてプラナに言い放つ。


「ちょっと待ってくれ、確か帝国は1強国家を作ろうとしているはずだ。それはあんたも言ってただろ」

「はい、ですがそれはあくまでも手段というか、通過点というか」

「どういうこった?」


 ブライアンが疑問を口にすると、ルルーも話に入り、プラナに尋ねる。


「その話って私達も聞いていいかしら?もしかしたら、休戦のきっかけになるかも知れないし」

「休戦のきっかけになるかどうかは分かりませんが、皆さんにも聞いていただきたい話です」

「分かったわ。みんな、こっちに集まって。傭兵団の皆さんは周りの警戒をお願いします」


 周囲の警戒を傭兵団に任せ、ギン達はプラナの周りに集まる。


 そしてギンがプラナに話すよう促す。


「それじゃあプラナ、頼む」

「ええ、まずは陛下がボース転覆を試みたきっかけからお話します」


 あまりの過去の出来事から入る為、思わずブライアンが口を挟む。


「ちょっと待ってくれ!ギガスはそんな前から今のような事を考えていたのか?」

「はい、ボースは既にあの時点で無慈悲な侵略国家となっており、陛下はそれを止めるべく転覆を試みました」


 プラナの話を聞き、ムルカが思い出すように言葉を発する。


「それでルワールは侵略を恐れ、事前に貴殿をボースの騎士の家に養子に出したのか?」

「はい、そしてルワールはボースの同盟というより実質傘下国として侵略行為に手を貸しました」


 その話からエイムは以前聞いたある話を思い出す。


「ミックサック団のリーザさんが言ってましたね、ルワールに侵攻をされたことがあると」


 更にギンも思い出したことを話す。


「父は元々侵略反対派で他の反対派と共に粛清されたとブレイクから聞いていたことがある」


 一連の話からヨナには疑問が生まれ、それをプラナにぶつける。


「ちょっと待ってよ!でも結局帝国は侵略行為をしているじゃん。何がボースと違うわけ?」

「ギガス陛下はエンビデス宰相の助言でいずれ魔族が台頭することを予見していました。その前に強力な軍事国家を作り魔族を力づくでねじ伏せる国家作りが構想にありました」


 プラナよりもたらされた新たな情報、それはギン達の考えにどう影響するのか?

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