和睦への道筋

 ギン達、そしてカイス達魔導騎士団との共同戦線によりピッキー率いる魔族を撃退し、ミックサック団からの死傷者を出さずにこの戦いを勝利で終えることができた。


 魔物が周辺よりいなくなった為、ルルー達がギン達と合流すべく馬車と共にギン達の元に来る。


「みんな、無事?」


 ルルーの呼びかけに最初に応じたのはブライアンであり、無事を報告する。


「おお、全員この通りピンピンしてるぜ」

「良かった」


 ルルーが安堵しているとギンはカイスに礼の言葉を述べる。


「カイス、お前達のおかげで俺達は勝てたし、ミックサック団の人達も無事だった。礼を言うぞ」

「いや、礼には及ばん。我らとしても魔族は倒すべき敵ではあるし、民間人が無法者共に危険にさらされている状況を黙って見過ごすわけにはいかんからな」


 カイスの言葉を受け、ギンはカイスにある提案を持ち掛けた。


「カイス、実はお前達に話したいことがる」

「貴様が我々にか?」

「さっきのお前の口ぶりからお前たち帝国も魔族が活動をしていたことを知っていたようだな、ならばプレツを中心とした反帝国同盟とお前達ブロッス帝国との戦いを一時休戦にして魔族相手に協力して戦うことをお前から皇帝に進言することはできないか?」


 ギンからカイスに対し一時休戦の案がでたが、ルルー達と共に戻ってきていたプラナがその場でギンにその案に対しての反対意見を述べる。


「戯言をぬかすな!そんなに早く戦いを終わらせたければ貴様らが我らの軍門に降れば済む話であろう。無駄な抵抗をいつまでも続けることがかえって戦争を長引かしているではないか!」


 プラナの反対意見に対し、ルルーが抗議をする。


「各国が帝国の支配下に置かれたくないという考えを否定できないわ。それに私達もいきなり戦争終結って言ってるわけじゃなく、あくまで一時休戦で話ができないかなって提案しているだけよ」

「それは貴様らの都合であろう。我らとて虐殺が目的で戦っているわけではない!」


 どこまでも話が平行線になりそうなことを察したカイスがプラナに対し黙るよう命令する。


「プラナよ、今は私がこの者と話をしている。これ以上の口出しは無用だ。これは命令だ!」

「はっ!申し訳ありません」


 プラナがひいたところでカイスは自分の考えをギンに話す。


「部下が失礼した、上官として詫びさしてもらう」

「いや、それでお前の考えは?」

「ギン、お前の考えも一理はある。だがそれでは魔族を討ち果たした後でも結局戦乱の世になる。それどころか魔族討伐に消極的な国が混乱に乗じ無用な侵略や虐殺をするかもしれん」


 ギンの提案に反対の言葉を述べるカイス。このまま和解の話は頓挫してしまうのか?

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