砦へ向かえ

 スップの防衛兵団の隊長である二フラより、既に帝国軍が街中に侵入しており、ギン達と交戦中という情報を得たブライアンとルルー。


 その情報を得たブライアンは更に詳しい情報を二フラに尋ねている。


「それで隊長、敵の数はどれくらいでどんな奴が指揮をしていましたか?」

「敵の数は少数で、指揮をしていたのは女だ」

「女⁉まさか扇とかを使っていませんでしたか?」


 ブライアンは以前スールで交戦した将軍であるフィファーナと思い尋ねてみたが、二フラよりの返答は予想外のものであった。


「いや、剣を使用し、更に魔力障壁でギン殿の魔法を防いでいた」


 二フラの言葉を聞き、ルルーが二フラに事実を伝える。


「あの、その者は魔導騎士団の者だと思われます。我々もグラッスで交戦をしましたので」

「何ですと⁉あなた方やブライアンはあの者達と戦って生還を果たしているのですか」


 二フラも自身の剣の才覚には自信があり、それを磨くことを怠ってはいないつもりであったが、自身を簡単に上回るプラナの存在。


 そのプラナと立ち合いが可能なギン。更にかつての部下であるブライアンもそういった者達との戦いに身を投じている事実には悔しさ、驚きといったあらゆる感情が渦巻いている。


 だが次の瞬間、それらの感情を飲み込み、ブライアンに自らの言葉を伝えた。


「ブライアン、私がこのようなことをお前に言える立場ではないかもしれないが……この街を守ってくれ」


 二フラはブライアンに頭を下げ街の防衛を懇願する。その姿を目にしたブライアンは二フラに対し言葉を告げる。


「隊長、頭をあげてください。例え兵団を抜けてもこの街や国を帝国に好きにさせたりはしません」

「ブライアン……」

「だから隊長、この街はギン達に任せます。俺達は東の砦の救援に行きます」


 ブライアンの言葉を聞いて、二フラに疑問と驚きが生まれ、ブライアンに尋ねてしまう。


「東の砦⁉どういうことだ?」

「そこにも帝国軍が迫っているんです。今の話を聞いて、そいつらだけならギン達でなんとかなりそうなんで俺達は砦の方に行きます。ルルー、いいよな?」


 突如ブライアンに話を振られるが落ち着いてルルーは返答をする。


「ええ、そのほうが良さそうね」


 ルルーの返答を聞いて、ブライアンは二フラに告げる。


「じゃあ俺達行きます」

「うむ、頼んだぞ。シスター殿、ブライアンの事をよろしくお願いします」


 二フラの言葉を聞いて、ルルーが言葉を返す。


「お任せください」

「じゃあ、行くぞ」


 そう言ってブライアンとルルーは砦の救援に向かう。

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