勝利の余韻

 激戦の末、魔導騎士団長カイスを敗走させることに成功する。その際ギンが体を動かすことが困難な程のダメージを受けるが、ルルーの治癒魔法により回復してルルーに礼を述べている。


「助かったぞルルー、感謝する」

「お安い御用よ、でも今回はあなたにしては無茶をしたわね」

「それだけあのカイスという男が強かったという事だな」


 回復したギンにエイムが駆け寄り安堵の言葉を述べる。


「ギンさん、良かったです。もし私のせいでもっとひどいことになってたら私……」

「エイム……言っただろ、俺はお前を信じていたと、お前がいたから奴に勝つことが出来たんだ。いや、今回だけじゃない。今までもそうだったな」

「ギンさん……でも、もうあんな無茶は止めてください。次はお願いされてもしませんからね」


 エイムの強気の発言に少し離れていた場所から聞いていたブライアンが感心している。


「エイムも言うようになったなあ」


 ブライアンの発言にルルーが反応を示す。


「ギンが心配なのよ。さすがにエイムもギンがあそこまで無茶をするとは思ってなかったようだし」

「まあ、あんな戦い方されたんじゃあ、命がいくつあっても足りないぜ。っていうか見てる方が心臓がもたねえよ」


 ブライアンとルルーがやりとりをしている中、ギンがエイムの発言に対して返答している。


「そう言われてしまっては、次はあんなことをしなくても勝てるようにしないとな」


 ギンが自ら発言をして、しばらく考えてからルルーに聞く。


「ルルー、王都に着いたらすぐに同盟交渉をするのか?」

「今日はこのまま行ったとしても夕刻近くになると思うし、明日に交渉をしようと思っているわ」


 ルルーの発言を聞いたギンはエイムに言葉を掛けた。


「エイム、王都に着いたら頼みがあるがいいか?」

「え?はい、私に出来ることでしたら」

「すまん、助かる」


 エイムがギンの頼みを承諾しているとムルカとジエイがギン達の元へ戻ってきて、ルルーが2人に声を掛ける。


「ムルカ様!ご無事で何よりです。ジエイも無事だったのね」


 ルルーの呼びかけに2人が返答をした。


「うむ、貴殿らも無事で何よりだ」

「そうですね、とりあえず互いに情報を交換しましょう」


 ギン達とムルカ達は互いの戦闘経過と結果の情報交換を行った、その際にムルカはギンの行動に驚愕した。


「なんと⁉ギン殿、貴殿がそのような行動に出るとは、さすがに想像できなんだな」


 ムルカの発言を聞いたエイムはムルカに対して言葉を発する。


「そうなんです、ムルカ様からもおっしゃって下さい」


 エイムの発言を聞いて少し肩身を狭そうにしているギンに対し、ジエイが言葉を掛ける。


「それ程の強敵であったということですね」

「まあな、またエイムに怒られるわけにはいかないから別の方法で戦わないとな」


 ギンの発言を聞いてエイムはギンに対し抗議する。


「怒っていません。心配しているんです」


 エイムをなだめながらブライアンがジエイに尋ねる。


「まあまあ、落ち着けよエイム。ところでジエイお前と一緒に戦った女は傭兵団を従えていたんだよな?」

「はい、そうですが」

「ちょっと引っ掛かることがあるから聞くけどよ、その女、他の奴になんて呼ばれてたか覚えているか?」

「確かだったかと」


 その言葉を聞いたブライアン、そしてギン達は全てを察し、ブライアンが叫ぶ。


「あいつかーーー!」


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