反帝国同盟

帝国軍を退けたギン達は、スップのミッツ教の教会へと戻っていく。そんな時にブライアンがギン達全員に向けて何かを語っている。


「しかし、すげえよな」

「何がだ?」

「俺達だよ。まずお前の魔法剣。それからエイムの強力な魔法。ムルカの旦那も素手で強えつええし、俺もあの程度の奴らならちょちょいのちょいだし、俺達ってどこかの国の一個師団位の強さはあるんじゃねえのか」


 ブライアンの発言の中に自分の名前がなかったルルーが思わず声をあげる。


「えっ、ちょっと待って。私は?」

「お前はあれだよ、うーん手当係?」

「なんで、疑問形なのよ、なんかとってつけたような言い方も気にいらないわ」


 ブライアンに対して抗議をするルルーをエイムがなだめる。


「まあまあ、ルルーさん。私はルルーさんを頼りにしてますから。先程も防御魔法をかけてくださったから、魔法に集中できましたし」

「エイム!あなたは良い子ね。ブライアンみたいな大人になってはダメよ」


 エイムやブライアン達が談笑(?)をしている中ギンとムルカも会話をしていた。


「ギン殿、先程の魔法剣だが。私も実際に使っている者を見たのは初めてなのだが、なんというか信じられんな」

「信じられない?」

「うむ、魔法と剣を同時に使える者がおることがな」


 ムルカの発言を黙って聞いているギンに対してムルカが更に言葉を掛ける。


「貴殿がそれを理由に帝国に狙われているというなら何かしらの策を講じる必要があろう」


 そう話しているうちに教会に一行は辿り着き、教会へと入っていき、司祭が一同に声を掛ける。


「ムルカ、ルルー、皆さま、よくご無事で」

「司祭様、ただいま戻りました」

「それで早速ですが、先程のお話ですが」


 ルルーはギンの魔法剣の使い手であり、それを理由に帝国に狙われているかも知れないという事、そしてエイムが遠隔で魔力感知ができることを司祭に説明する。


「いかがでしょうか司祭様?彼を…ギン殿の命をどのように守っていけばよいのか」


 ルルーの問いに司祭はしばらく考え、ムルカとルルーに対して言葉を発する。


「ムルカ、ルルー、あなた方に司祭としてプレツ国の特使の任を命じます」


 突然の命にルルーは戸惑い、思わず尋ね返す。


「司祭様、何故そこで特使なのですか?そもそも何のための」

「はい、国王陛下はかねてより激化するブロッス帝国の侵攻を止めるため、各国との反帝国同盟を思案していたのです。現在国内も先の侵攻で混乱中です。そこで動きやすい我らに命じられたのです」

「しかし、ムルカ様はともかく何故私にまで?」


 一瞬の間を開け、司祭が言葉を発する。


「この旅には高位な治癒魔法が使えるあなたの存在が欠かせない、それからギン殿、あなたにこの2人の護衛を依頼したいのですが」


 司祭の意外な提案にルルーが驚き反応する。


「司祭様、何故ギン殿に我らの護衛の依頼を?」

「先程のあなたの話を聞いてギン殿達とあなた方が協力することで一部隊とは言え、帝国軍を退けた。あなた達には疑似的な遊撃部隊の役割もになってもらおうかと思いまして、無論ギン殿をプレツ軍に表立って組み込めない以上護衛の依頼という形をとらせてもらいましたが」

「ですが結局ギン殿を危険にさらしてしまうのでは?」

「先程のギン殿は帝国と戦う覚悟を決めていたように私は思います。だから私はこのような形をとらしてもらいました」


 司祭の言葉を聞いて納得したルルーは決意を表明する。


「分かりました。ですがギン殿だけを危険にはさらせません。我らもギン殿達を守るつもりで戦います」


 ルルーの力強い決意に感心する一方で司祭は釘もさす。


「素晴らしい決意です。ですが主目的はあくまで特使ということを忘れないでください」

「あ、はい、申し訳ありません」


 新たなる旅の目的が出来たギン達果たしてどうなるのか

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