激闘

風魔法を使って自らの身体の周囲を風でまとう騎士の出で立ちをしている男。それを見たギンも携えてる剣を鞘から抜いて、間合いを図っていると、男がギンに言葉を発する。 


 「良い剣だな、単なる傭兵が持っているような剣とは思えない。あんた一体何者だ?」


 男が言葉を発するも、ギンは答えず間合いを図る。


 「答える気はないか、ならば死んでもらおう」


 そう言って自らの周りにまとっている風を刃状にしてギンに向けて放つ。


咄嗟に反応してギンは自らの剣でさばきつつ回避行動をとる。


 「これほどの風魔法とは、だが呪文の詠唱がなかった。まさかお前は精霊と契約をせずにこの魔法を使っているというのか」

 「その通り。強力な魔法を使うには精霊との契約が必要だ。だが俺くらいの魔力があれば契約せずどもこれくらいのことは可能だ。第一俺は魔導士を目指しているわけではない」


まるで自らを魔法も使える騎士と言わんばかりの発言ではあるが、男のある姿を見てギンは言葉を発する。


 「そう言う割には、さっきから剣を一度も抜いていないがどういうことだ?」

 「はっ、剣はあくまでも魔法を使うまでもない雑魚を斬るための物だ。あんたはさっきの動きから魔法を使った方がいいと思ったんだ。要するに俺に強者だと思われたことだ。感謝しろよ」


 かなりの上から目線の発言にギンは静かに怒りを覚えるが、同時に男の底にも気づいたようであった。


 「今のではっきりした。お前には剣では勝てる」

 「ふん、だがどうやって俺に剣勝負を持ち込む?あんたは俺に近づくことさえ出来ないぜ。」


その言葉を放った瞬間、ギンの指から火球が放たれて男をひるませた。


 「うおっ、火の魔法か」


ひるんだ隙をみてギンは男に剣で斬りかかるが男は回避行動を取り、ギンから距離をとる。ギンも魔力を開放し、自らの周りに謎の気をまとわせる。


 「なんだ?あの気はまさか肉体強化型の魔法か。だがそんなもん風の刃で切り裂いてやる」


男はそう言って、風の刃をギンに向けるが、ギンは剣でさばき、さらに目にも止まらぬスピードで男の身体に斬撃を喰らわした。


「ぐわあああつ」


男の体を覆っていたプレートは破壊され、男もプレートが破壊された衝撃で大きなダメージを受け、その場に倒れこんだが、意識はありギンに言葉を発する。


「ま、まさかこれが噂に聞く魔法剣ってやつか。剣技と魔法を掛け合わせる高等技術。並の腕では不可能なはずだ。それにあんたは明らかに剣の威力を魔法で底上げしやがった。一体どういうことだ?」


ギンが使用した魔法は自らの肉体の速度強化と剣に魔力を込め強度をあげたものであった。剣に魔力をなじませる技術は魔力の強さ以上にコントロールが大事である。ギン自身も精霊と契約していないため、使える魔法は初歩的なものである。しかし自らの剣技をより生かすために魔力コントロールを重視するという道を選んだのであるが、ギンはこの事実を男に告げず、拘束するのであった。


「とりあえず、お前の身柄は拘束させてもらう。後でギルドに引き渡し、お前の身元を調べてから処遇をゆだねるとする」


しかし、次の瞬間、男の身体が突然発火をしてしまう。


「う、うわあああ」


危険を感じてギンと商人たちは男から離れ、間もなく男の身体は燃え尽きてしまう。


「な、なんだーーー!」


男が燃え尽きてしまったため男の正体を掴むきっかけを失ったギン。

今までにないことが起きている予感を感じているギンであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る