依頼

 何やら賑わっている町がある。ここはコッポ王国の都市であるタグの町である。この町は港があり、漁業が盛んである。更には港町ゆえ他国の出入り口のような役割を果たしている町であり、物流が盛んで商人たちが集まり様々な取引がなされていく商売が盛んな町でもある。


 商売の盛んさ故、商人たちは自らの財産を守っていくためギルドを作ったのである。財産を守っていくためにはギルドに登録することでの財産管理システムとしてギルド本部に預けるいわば預金システムと、もう一つは財産とともに自らの命を守るため護衛を雇用する方法である。


 この時代は各地で戦争が勃発しており、戦争の混乱に乗ずる野盗達が幅を利かせる地域もあり、魔物の生息が多い地域もあるため、安全な旅が難しくなっている。


 そのため、護衛をギルドを通して依頼するのである。雇われるものは剣や槍の腕が優れた者はもちろん、魔法を使いこなす者も必要となる場合がある。


 さて、とある商人の一団が出発しようとしているが、何やら話が行われているようだ。


 「さてそろそろ依頼した護衛がくるはずなんだががな」

 「確か、魔法剣を使いこなすという触れ込みの奴かい」

 「何か、その腕前で魔物退治をしているっていう奴らしいけどな」


 商人たちが話をしていると剣を腰に携えた一人の男が歩いてきた。


 「お待たせしました。ギルドより依頼を受けたギンと申します」


 突如現れた男は自らをギンと名乗り、ギルドの依頼を受けたと言う。


 「ふむ、ギルドの傭兵登録証は持っているようだな」


 商人の一人はギンが持っている傭兵登録書を確認して本人という確信を得たため馬車に案内する。 護衛を雇うといっても、当然誰でも良い訳ではない。ギルドからしっかりとした身分保証がある者が護衛としての依頼を受けられるのである。


 ギンと、商人の一団は馬車で町からの移動を開始した。


 今回の依頼もギンにとっては仕事の一つに過ぎない。そう思っていたのだが、今回の依頼を機にギンの運命が大きく変わっていくことをギン自身はまだ知らない

 

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