第6話登校拒否

月曜日の朝、いつもの時間に暁人が起きてこなかった。


「暁人ー?起きてるの?」


私は暁人の部屋へ向かう。


正直、こんなことは初めてだった。

体調が悪くても、リビングには必ず顔を出してくれる。


暁人は、私と旦那が仲悪いことも分かっていて、いつも、私の味方でいてくれて、手のかからない子だった。


朝も小学校の時から、目覚ましで必ず一人で起きてきてくれる。なのに、そんな暁人が目覚ましの音聞こえないわけがない。


やっぱり、金曜日に帰ってきたときから変だとは思っていたが、ここまで深刻だとは思ってもいなかった。


「暁人、はいるよ?」


入ると、まだ布団にくるまっている暁人の姿が目に入る。


「大丈夫?」


「今日、学校休む」


布団から顔も出さずに、暁人は答えた。


こういう時、あまりしつこく理由きくのは良くないって、聞いたことがあった。


「そう、じゃあ、学校に電話しとくね。朝ごはんはたべてね。お母さんパートだから3時には帰るから」


「んー」


一応、無視せず反応をくれるのは、暁人の優しさだろう。


この状態を、私は母親としてどうやって解決させたらいいのか、とりあえず、今日は体調不良として学校へ連絡いれよう。


「もしもし?三上暁人の母ですが、息子が体調不良のためお休みさせていただきます」


私は電話に出た先生にとりあえず、要件を伝えると、パートへ向かった。


アプリを開いた時に、メッセージが入ってたが、今日は誰とも会えない。


そんな気分にならなかった。


そんな時、ふと、悠平さんの顔が浮かんだ。


学校の先生だって言っていた。

登校拒否になりかけている息子への対応は、きっと早い方が、立ち直りも早いはず。


私はパートの休憩で悠平さんにLINEを送ることにした。


しかし、息子…と打ってすぐに手を止めた。


マッチングアプリ出会ってる男性に、結婚を隠しているのに、息子のそうだんなんて、私は何を考えているのだろう。


すぐに、息子の文字は削除した。

でも、どうにかしたい。


[お仕事中すみません。甥っ子なんですが、今まで、学校を休まなかった子が、行きたくないと言い出したみたいで、そんな子供への対応の仕方アドバイスいただけないでしょうか]


都合よく使うつもりはない。

この文章を送っただけでも、私の中で罪悪感が生まれる。


でも、助けてほしい。

頼れる人が、他にはいない。


旦那に話すべきかも悩む。

きっと、私を責めるに決まっている。


ただのパートしかしてないのに、ろくに子育ても出来ないのかって、罵るのが目に見える。


今、そんな言葉を言われたら、私は耐えれそうにない。

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