第27話 レコーダーはSF
学校が終わって帰宅後、
そこへ、同じく学校から帰ってきた
「おう竜也、またゲームでも……って何だ? アニメ見てるのか? ひょっとして
竜一は仕入れたばかりの知識を
「違うよ。レコーダーで撮りためた深夜アニメだよ。まとめて見ないとすぐたまっちゃうんだよね」
「? レコーダー? ビデオデッキみたいなものか?」
アニメを撮りためた、という事は「レコーダー」なるものはどうやらテレビ番組を録画できるものらしい。となるとビデオデッキの一種だろうと竜一は思った。
「ビデオデッキ? あーそういう事か……まぁそんなものだね。バイトしてためたお金で半年前にやっと買えたんだ」
「へーそうか、バイトか。そういえば火曜日と金曜日帰ってくるのが遅いけど、やっぱりバイトだったのか」
「そういう事。高校入学とほぼ同時に働き出して今では学生バイトの中では結構なベテランに入るのかな?」
竜也は学業にバイトに趣味と充実した青春を送っているようだ。
「俺も昔は見たい深夜番組があったらビデオデッキの時計をセットして時間を指定して撮ってたよ。でもプロ野球の中継が延長されて時間がずれて別の番組を録画しちゃう悲劇も起きたんだよなー」
「へ? プロ野球の中継? どういう事? 何で急にプロ野球が出てくるの?」
なぜ突然そこでプロ野球の話が出る? 竜也には意味が分からなかった。
「ああそうか、竜也には分からないか。1993年じゃ地上波でプロ野球の試合が放送されてたんだ。
世のオッサン方は嬉しかったそうだけど、そのせいで見たいTV番組がつぶれちゃって野球少年じゃない俺からしたら怒りの矛先をテレビに向けてたな。
おまけに試合が延長したら放送時間も延長されて以降の番組は放送時間の繰り下げや放送中止なんてこともあったからなー。もう最悪だぜ?」
竜一は怒りと憎しみを悟られない程度に込めて説明した。
「へー、そうなんだ。今じゃスポーツ番組なんてオリンピックやワールドカップや世界選手権以外は専門チャンネルで見るものなんだけどな」
「へー、専門チャンネルねぇ。ケーブルテレビや衛星放送みたいなものか? ところでレコーダーってどんな感じなんだ? 凄いのか?」
お互いに知らない知識を
「どんな感じとか凄いって言われても……そうだなぁ、同じ時間帯に放送される3つの局の番組を同時に録画できるのが売りだとは聞いてるけど」
「!? な、何ぃ!? 1度に3つの番組を!? 俺の頃は1つしか録画できなかったんだぞ!?それを3つ同時に!?」
「そうだよ。もっとグレードの高いものだと民放の8チャンネル全部を28日間とれるレコーダーもあるそうだよ」
「えええええ!? そ、そんな物まであるのか!? スゲェ! ビデオデッキだった頃からは考えられんものだな!」
「丁度いいや。録画の予約でもしようか」
そう言って竜也はレコーダーのリモコンを操作しだした。画面には番組表が表示され、それを選んで次々と録画の予約をしていった。
「こうやって番組表が出てくるからそれを選択して録画予約すればいいんだよ」
「えええ!? ば、番組表がレコーダーの中に入っているのか!?」
「うん。テレビのリモコンでも見れるから大して驚くような事じゃないと思うんだけど」
「何ぃ!? って事は新聞の裏面とにらめっこしなくていいのか!? 深夜アニメは変な略し方をされてるとかいう時代ではもうないのか!?」
「そういう事になるね」
新聞のTV欄はほとんど見ない竜也だが、たまに見るのでそういう点は理解はしていた。
「いやー進歩してるなー! さすが令和の時代なだけあるぜ! 同じ時間帯の番組を同時予約できるとは思わなかったぜ! 技術の進歩ってスゲェんだな!」
「
「ああそれか。いやそれが全くもって飽きないよ! 本当に技術の進歩に感動している毎日だよ」
「そ、そうか……」
気になっていた事を聞いてみたのだが、単純で悩みが無さそうである意味うらやましい。竜也はそう思ったという。
【次回予告】
「核融合反応炉」それはSFの世界では割と定番だが現実にはまだ無かったはずの物。
それがついに建設されることになると当然、竜一は大騒ぎをするに決まっている。
第28話 「核融合反応炉がついに完成!?」
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