2-3:復帰
「おはよー翔!ご飯できてるよー!」
とりあえず調子が戻ったとはいえ、まだ何があるかわからないので、ご飯の担当は一葉がすることになった。部屋の掃除は私がと思ったらそれも一葉がやるから私は大人しくしててとのこと。これで事務所と契約してなければ完全なるヒモだったなと思いながら、ありがたくご飯を食べる。ちなみに朝シャワーに関しては、とりあえず頭を洗うだけにすることに。全身洗うのは夜だけにした。尻尾を楽に乾かせるようになれば朝もシャワー浴びれるんだけどね。
「そういや事務所との契約資料はとりあえずかけるとこ全部書いたから、あとは翔がハンコ押すだけだよ。それと今日は14時頃に陣さんが家にくるってさ。あ、事情は話してあるよ。」
「そうなんだ。信じてくれたの?」
「本当ならそれはそれで楽しいことになるから大丈夫だって。一応芸能系の事務所になるわけだから、そういう面白そうなことには寛容だよ。」
「面白そうって・・・、私は別に面白くないんだけど。特に洗うのが面倒くさいし。」
「まぁ、変な偏見はないからいいんじゃない?。今日は契約書類の受け取りと、今後について話をしにうちにくるってさ。事務所には気軽に呼べなくなっちゃったから」
「この話を知ってるのって陣さんだけ?」
「あと社長と副社長だけだってさ。このことを言いふらすことはないから安心してだって。」
ふーん、まぁいいか。来てくれるならありがたいかな。
そして朝ご飯を食べ終わり、一葉は大学へ。昼には帰ってくるようだ。
私は大学にインターネットからの受講について問い合わせをした。既に両親から話は通っているようで、受講用のサイトとアカウント情報を教えてもらった。学生専用のポータルサイトから移動できるようになっており、受講中の科目や取得した単位、そして進行中の課題がすぐわかる表が一番上に表示されている。下にスクロールすると受講中の科目が配信中かどうかが記載されて、配信中であればここから見れる。更にその下には見逃した講義一覧があり、3日前までさかのぼって見れるようだ。しかも予約をすれば講師と通話して講義について質問することができるみたい。結構便利だこれ。
とりあえず私はそのサイトで講義のアーカイブをみながら勉強した。勉強用の部屋とかないのでリビングでやってる。正直あまり集中できないが頑張るしかない。
そして昼になり、ご飯を用意しようと思ったらお昼の分まで作ってくれてたらしく、レンチンするだけでいいという状態だった。ありがたい。
私がご飯を食べ終わったくらいに一葉が帰ってきた。私はすでに昼食べ終わってたので、リビングで勉強の続き。1週間も遅れてるので急いで取り戻さないと。課題も私が寝てる間に出ている。
そして14時になり、マネージャーの陣さんが来た。
「おお・・・話半分に聞いてましたがそれは本物・・・ですか?」
「え・・えぇ、触ります・・?」
「いっ!いいんですか!?!?!是非!!!」
なんか凄い触りたそうにしていたから提案したら、眼をキラキラさせながら全力で私に抱き着いてきた。尻尾と耳を重点的に・・・。ちょっ、吸わないで。私は猫じゃない!
「陣さん!帰ってきて!」
「ハッ!!すいません、私モフモフが大好きなので・・・つい・・・」
私が突き放す前に一葉が離してくれた。モフモフが好きなのはわかる。正直自分の尻尾を枕にして寝てみたい気持ちはある。めちゃめちゃ気持ちいい。そんなことはともかく、リビングに上がってもらった。
「はい、契約書類、確かに受け取りました。今後ともよろしくお願いします。」
「あの・・・、こんな状態になってますけど大丈夫なんです?」
「えぇ、基本は配信しかしないですから。それにリアルイベントでるとしても、ゲームとかアニメ関連なのでそのままの姿で問題ないでしょう。最新型のコスプレにしか見えないでしょうし。」
「そ・・・そうですか。」
「さて、これからについてですが、事務所所属として活動してもらうのは7月10日(土)からとなりますが、その前にHPに乗せる紹介ムービーを来週作成しますので協力をお願いします。その時はこちらからお迎えに上がりますね。あとはデビューと同時にデビュー記念グッズも出すのですが、何か希望はありますか?」
「えぇっと、グッズってどんなのがあるんでしょうか?私その辺り疎くて・・・」
「そうですね。よくあるのはアクリルスタンド、アクリルキーホルダー、缶バッジ、クリアファイル、タオル、この辺ですかね?」
「な、なるほど。そうなんですね。正直どんなのがいいとかあまりわからないのでお任せしたいですが・・・。あ、SLAWOで使ってるアバターをイメージするようなロゴがあるといいですかね。九本の尻尾でFunkyAegisのロゴを描くみたいな感じだと良さそう?」
「おお、それはいいですね!狐を使うのは確定だったんですけど、その考えはなかったです!翔さんのイメージロゴはそれにしましょう!あとは何かありますか?」
「んー、特にないですね。まだ私を象徴するのって狐ってことくらいですから」
「そうですか。では後はこちらで進めてしまいますね。」
「はい、お願いします。」
とりあえず、グッズについてはこれでいいらしい。
「では次に、SLAWOの広報モデルの仕事内容について詳細を説明しますね。」
内容としては、CMの撮影、雑誌に載せる写真撮影、公式イベントへの出演、ゲーム内イベントへの協力が主となるようだ。最初に行うことはCMの撮影と雑誌に載せる用の写真撮影、それとインタビューも行うようだ。これは7月11日に撮影などして、8月から公開される予定とのこと。
次に公式イベントが8月にあるのでそれに出て欲しいのと、公式イベントに伴い、ゲーム内でもイベントを実施するのでそれにも協力してほしいということ。
それ以降の話についてはまだ未定だが、その先もまた何かしらで依頼する予定のようだ。お金についてはそれぞれが別案件扱いとなってるので、それごとに支払われるらしい。まぁ、特に問題ないかな。
「はい、とりあえずこんな感じですね。あとはー、あ、配信のレイアウトとかアイコン画像とかはどうします?」
「あ、それは僕が依頼済みだから大丈夫だよ。デビューした後にロゴさえ入れて貰えればOKかな。」
「そうなんですね。ちなみに後から加工してもいいって許可とってます?」
「ロゴ入れるくらいなら大丈夫だよーっていう回答貰ってるので問題ないです!」
「おぉ、流石ですね。では大丈夫ですね。後は配信用タグとかファンアートタグとか色々細々したことを決めたりするんですが、それは一葉さんに聞いてください。何か確認しておきたいことはありますか?」
んー・・・なんかあるかなぁ・・・。特に思いつかないからいいか。
「んー、特にないですね。大丈夫です。」
「了解です。では最後にこちら契約書の控えを渡してますので、なくさずに保管してください。それでは私はこれで」
そして陣さんを見送り、今日の話は終わり。
その後一葉は配信を開始し、私は講義のアーカイブを見て勉強を進めて、課題をこなしていく。
そして18時になったので晩御飯を食べる。今日の晩御飯は一葉が作ってくれたミートソースパスタと、コンソメスープ。ん、美味しい。
ご飯を食べ、その後風呂に入る。洗うのが本当に大変なので一葉に手伝ってもらいながらあらう。なんかもうイチャイチャとかそういう雰囲気ではなくなるのが悲しい。これはどうにかしたいなぁ・・・。
そのおかげで一葉と肌が触れてる時間が伸びたので嬉しかったりするわけだけどね・・・。
風呂から出て体を拭き、髪と尻尾を乾かす。昨日は犬用石鹸を使ったのだが仕上がりがゴワゴワしたので、今日は石鹸シャンプーを使用した。かなりフワフワした仕上がりになったのでこれは正解かもしれない。他にも色々と母から受け取ってるので、色々と比べていく予定だ。
そして20時になったのでSLAWOにログインして、配信を開始する。
【第二回】お久しぶりです、軽く狩りしながら雑談。【カケル】
2151人が視聴しています
・おかえりーー!!
・体調大丈夫?
・待ってたー!
・復帰待ってました!
ちょっ、枠取ったばかりなのに2151人て・・・。そんな増えることあるの?
「わわっ、最初から沢山いるね。みんな久しぶりー。見てくれてありがとー。今日はリハビリがてら適当に狩りしてくるねー」
・適当(蹂躙)
・蹂躙(適当)
・狩場が壊れる・・・
・辻斬り狐
「ちょっ!?リハビリだからね!!別にそんなことしないよ!?」
・つまりやろうと思えばできると
・そういうことか
・やっぱりYABAIじゃないか
「だーもう!とりあえず今日は北に行くからね。行ったことないから、東の草原から回ることになるけど。」
・了解
・注意警報だしとく
・間違って襲われないようにね
「おー、気が利くリスナーさんありがとうー。んじゃ移動しよっか」
そして、転移で東の草原にいき、そこから北に向かう。北も変わらず草原だが、奥には雪原が見える。他の方角には雪ないのに、なんでこの方角だけ雪原があるんだろう。この世界の気候は不思議だ。
北はというと手前の方はホーンラビットしかいないのでスルーして雪原まで進む。雪原には毛が白いウルフが多く、偶にホーンラビットがいるくらい。初期エリアということで、どの方角も生息モンスターに差はないみたい。
とりあえず紫炎と看破用に狐火・蒼を展開して動きながら適当に狩をしていく。
「そういや、私一週間ログインしてなかったんだけど、その間なんか動き合った?」
・しいていうならAegisOneが全方角の第一エリアボスを突破してたくらい?
・あとランっていうソロプレイヤーもかな
・カケルくんのおかげでエリアボスの突破率は大分上がった
・順当にレベル上げてけばクリアできるようになったもんな
・流石にソロは厳しいけどパーティならな
「あ、そうなんだ。やっぱみんな魔力感知と魔力強化使ってなかった感じ?」
・そうそう
・最初から使ってたのはランって人だけかな
・魔力操作を応用して足場作って空飛んでる人か
・そんなことできるの?
・まじか
グオア!
途中ホワイトベアLv16が出てきたが、ボス戦と同じように目を抉って中から燃やして終了。簡単ですね。
「え、魔力操作で足場作ったりできるの?」
・さぁ?
・出来たとしても俺らには無理
・本人は魔力を爆発させてるっていってた
・足場作ってるわけじゃないのか
「あー、爆発なら確かにできなくはないのかな?結構な魔力量必要そうだけど」
・できるのか
・やってみて欲しい。
・見たい
「あ、でも私は無理だよ。爆発だと自傷ダメージ入るからそれのケアしないとすぐ死んじゃうし。」
今度はホワイトウルフという白いウルフが出てきたが、魔力強化した爪撃で首を切って終了。あれ、これもしかして首切ったら即死判定ある?
いろいろ試してみよう
・VIT低いから使えないか
・自傷ダメ入るとなぁ
・すぐ死んじゃう(敵が)
・首狩り始まったな
・モンスターの解体ショーが始まった
・また変な称号付きそう
「ちょっ、どこまでやれば部位破壊判定になるのか試してるだけだから!変なこと言わないで!」
全く心外だよ。私はただ首を切り落としたり足を切り落としたりしてるだけなのに。とりあえず分かったのは切り落とした部位は再生しないこと。再生する種族とかいそうだけど、その場合はスキルが必要になると思う。部位破壊できるかどうかで攻略難易度結構変わってきそう。切り落とすまではいかなくてもボス戦の時見たく腱を切るとかでも十分いけるみたい。
この辺は割と現実の肉体構造に即してるんだね。当然ファンタジーだからそれに従わない生物とかいるだろうけど、基本はそういうものと思って良さそうかな。
・筋肉とか骨とかしっかり作り込まれてるみたいだな。結構有用な情報だな。
・映像は中々にえげつないけどな
・いうな!
・ボスだけかと思ったけど、通常モンスターにも適用されてるのか
・凄い作り込みだな
「ね、ほんと凄い作り込みだよね。見えないとこまでしっかり作られてる」
・
・
・
「それじゃ、今日の配信はこれで終わるねー。またねー!」
・おつー!
・おつつー!
・またねー!
・楽しかった!
それからゲーム内時間で3時間ほど狩りを行ったところで配信を終了してログアウト。特にレベル上がったりスキルが上がったりってことはなかった。久しぶりのSLAWOでちゃんと動けるか不安だったけど、問題なく動けてよかった。なんなら前より動きやすくなった気もする。
リアルはまだ21時だがゲームはしない。何せ一週間分の遅れがあるので勉強しないといけないからね。それから23時ごろまで勉強して一葉と一緒に寝た。
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