1-17:翔、初配信
Kazuha『おぉ!!配信やるんだね!そしたら一回ログアウトして色々やらないといけないから、今ログアウトして準備しよっか!』
了解っと。
一葉にフレンドメッセと送るとすぐに返信が来た。なかなかに準備に時間がかかるみたいなので、今からログアウトすることになった。
「おつかれー!!配信するんだ!?どういう心境の変化!?」
「掲示板の人にエリアボスの情報教えてもらったからそのお礼」
「えー、何で僕に聞いてくれないのさー。それでどこにいくの?」
「西のフォレストブラックベアをね。掲示板で知ったけど一葉まだそっちクリアしてないんでしょ?」
「えっ!?一番強いとこじゃん!?」
「どうせやるなら一葉がクリアしてないところをと思ってね。追いてかれたから追い越そうと思って」
「むー・・・じゃぁ、仕方ないかぁー」
「そうそう、仕方ないんです。ということで配信の準備について色々教えて」
「ん、了解!そしたらまずはー・・・」
それから一葉の指導の元、自分の配信環境を整えていく。
単にメニュー画面にある配信ボタンで行けるのかと思ったら、それだとゲーム内のみの配信になるらしい。外部に配信するには色々設定が必要なようだ。
VRGameStreamというVRゲーム専用の配信サイトでチャンネルを作成。ついでにSNSアカウントも作れと言われたので作り、チャンネルと相互にリンクを貼る。
チャンネルのヘッダー画像やアイコンは一葉の配信に映ったときの映像から切り抜いて設定する。これは気に入らなければ後から変更していいらしい。
最後にアカウント連携キー?をSLAWOの専用機器に設定する。これで、SLAWOの内部から配信できるようになるらしい。
テスト配信のため、私だけSLAWOにログインする。
ピコン『外部からメッセージを着信しました。』
ついさっき知ったんだけど、外部端末からメッセージ受信できるんだね。いままで使ったことないから知らなかった。中を見ると配信の手順が書いてあったので言われた通りに設定。配信を起動するとただの白く光る球体が私の前でふよふよと浮かんでる。説明によるとこれがカメラらしい。
「あ、あ、見れてるー?」
・なんかめっちゃ綺麗な狐が映ってるけどもしかして?
「そう、それ私。とりあえず成功だね」
・おぉー!もふもふだー!早く触りたいよー!
・少し走りってみてよ。それ切り取ってチャンネルのヘッダー画像にしたいから
「えっ、まぁ、うん。了解」
言われた通り走りまわる。
・ありがとー!めっちゃ良いのが撮れたよー!配信切って戻ってきてー!
「はーい」
それから配信を切ってログアウト。
「おかえりー!めっちゃ自然に動けてたね!!良いシーンいくつか取れたから、チャンネルのヘッダーにするやつ選んで」
撮ってもらったやつのなかから、一番かっこよく切り抜かれてる画像を選択してチャンネルヘッダーに設定。他にも最初の座ってるやつとかもあったので、これはSNSのヘッダー画像にしておく。
あっ、フォロワーが一人ついてる。誰だろう?あぁ、一葉から。そりゃそうよね。私もフォロー返しておこう。あと一葉のチャンネルも登録しておこう。
「よしよし、とりあえずこれで基本的な設定は完了。あとは配信画面のレイアウトとサムネイル、それから画質の設定をして完成だね。こっから時間かかるから付き合って。」
「えっ、これで配信できるからいいんじゃないの?」
「ダメダメー!せっかくここにストリーマーがいるんだから、拘れるところは拘らないと!!こんな質素な画面じゃぁ、リスナーはついてくれないよ!!」
「いや、別にリスナーがつかなくても「ダメー!!!絶対ダメ!!勿体ないからダメ!!」」
お・・・おおう・・・。これがプロ意識というやつですか。ここまでこだわりを見せる一葉は初めてみた。
それから一葉の指示に従って配信画面のレイアウトとサムネイル、そして扉絵と呼ばれるものを作成。それから音質と画質を確認したり、配信画面がカクついてないかなどを調整していく。そして最後にSNSで宣伝して終了。
14時から始めた作業だが、それが終わったのは17時半。三時間半もかかった。
一葉曰く、本来ならもっとかかるものだけど、妥協してこの程度の設定で済ませてるらしい。特に配信レイアウトは素人作品だから、後でデザイナーに依頼するとのこと。なにもそこまでしなくてもっていったらまた怒られた。ついでにヘッダー画像とかアイコンとかも描いて貰ったほうがいいと言ってた。
それと明日は何故か一葉の事務所に行くことが決定しました。私が一葉の配信に出た後、事務所からデビューさせないかっていう話があったらしい。で、丁度配信するならいっそのことデビューしちゃえばいいんじゃないとのこと。
それからご飯をさっと作って食べ、風呂入って配信前の確認。20時になる少し前にログインして心を整える。一葉の配信に出るときは何ともなかったけど、自分で枠取るってなると凄い緊張する。
【初配信】ー初めまして、九尾の妖狐ですー【カケル】
1029人が待機しています。
枠はすでに作成済みで、後は配信開始を押すだけ。すでに1029人が待機していて、まだ増えてってる。めっちゃ緊張する。
・wkwk
・ついにやるのか
・猛者が来た
・イケメン君楽しみー!
・カケくーん!!
コメントで見る限り結構楽しみにしてくれてるみたい。どうせやるなら楽しんでもらいたいけど、どういう反応になるのかな。すっごい緊張する中、時間になったので配信開始を押す。
・キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!
・待ってました!!!
・あれ?カケルくんは映ってない?
・ここどこ?
どうせならインパクトをということで、最初は風景だけを映して自分はカメラには映らず、数秒してから横からノソノソと画面に入っていく。丁度正面に来た辺りでカメラの方を向き、座ってお辞儀をする。
・なんかめっちゃ綺麗な狐さん!
・もふもふだー!
・え?従魔?
・うそっ!?どうやって従えたの!?
「どうもみなさん、こんばんわ。初めまして、カケルです。」
・カケルくんー!
・待ってました!!
・でも映って無くない!?
・顔見せてー!
「あぁ、プレイヤーを示すバーをカットしてたね。これでどう?」
・えっ?
・嘘!?
・狐の上にアイコンが・・・?
・いやいや、まさかね・・・
・ヌイグルミか何かだよね?
「ふふふ、焦らすのはこのくらいにしておくね。改めましてこんばんわ。カケルです。今画面に映ってる狐が私です。もしフィールドで出会っても、間違って襲わないでくださいね?」
・えええー!!!!
・カケルくん狐モード!?!?
・もふもふさせてー!
・どうしてそうなったの??
一葉の案に従ってやってみたけど、みんな驚いてくれたみたい。・・・いまちらっと視聴者数を見たんだけど、もう1万人超えてた・・・。いやいやいや、見間違いだよね。気にしない気にしない。
「どうしてこうなったのかと言われると、私もよくわかってないんですよね。なんか種族クエストというのをクリアしたら報酬でこの状態になりまして・・・」
・人型には戻れるの?
・獣化?って感じなのかな?
・実際その状態だとどんな感じなの?
「人型に戻れるかどうかだと、今の状態だと無理。種族クエストを進めていけば人型と獣型?を行ったり来たり出来るみたいだけどね。」
「狐になった感想はかなり大変。最初は歩くことすら難しかったね。たくさん練習して最近やっとまともに戦闘できるようになったところ。といっても私の場合、システムアシストが一切効かないってのもあるから、それが効く人ならここまで苦労しないと思うよ。」
予想してた通り、色々聞かれるので、質問に答えていく。
・今のカケルくんも好き!モフらせて!
・システムアシストって操作感も含まれてるのか。
・この短期間で戦闘できるようになったってすごいな。
・狐になっても強そう。
・ここでキャラリメイクしないの偉すぎる。
「いやもうほんとめっちゃ頑張ったからね。産まれたての小鹿の状態から、歩く練習して走る練習して戦う練習して・・・。エリアボス突破のアナウンスが出るたびに、私は何してるんだろうってずっと思ってたから」
・wwww
・一人だけ別ゲーしてるねww
・ちょっとかわいそう
・それは確かにwww
「でもこれで戦えるから!やっと進めるからね!ということで、雑談はこのくらいにして、今日は西のエリアボス。フォレストブラックベアに挑んでいこうと思います!じゃぁ、西の森に移動するねー」
そして、いつものように転移して西の森に移動する
・えっ!?
・ちょっ、今転移しなかった!?
・どこにあるの!?
「ん、あぁ、そういやさっきいた場所の説明してなかったね。狐になったことで街に入れなくなっちゃったから、その代わりのセーフティーエリア。人化の術が使えるようになるまでは、あそこを使わせてもらえるらしい。多分使えるの私だけじゃないかな?他にも私のようなユニーク種族がいたら別だけど。」
・まってユニーク種族って何?
・この世界に一体しかいない種族のことだ。
・詳しくはこの掲示板を見てこい↓
・https://www.slawo.online.com/keijiban/#54
・ありがとう
・有能
あぁ、そっか。私は掲示板を見ていた人向けに配信してるつもりだったけど、掲示板を見てない人とか、このゲームやってない人とかが見てるのか。あとでSNSに私の基礎スペック情報貼っておこう。
「説明してくれた人ありがとう。あとで基本スペックはSNSに貼っておくね。じゃ、早速行こうかー・・・。まって、エリアボスってどこにいるの?」
・wwww
・そこからかwww
・今いる場所がわからないことには俺らも何も言えないww
・草
「だよね、今いる場所わからないとだよね。私も転移してきたのはいいものの、エンジの街から見てどの辺なのかわからないんだよね。一旦木に登って周囲を見渡してみようか。」
そして高そうな位置にある木に登り、木のてっぺんから周囲を見渡す。どこを見ても森・森・森って感じだが、大分遠くに街壁が見える。
・おお、木登りがめっちゃ自然だ
・完全に野生に還ってる
・神々しさを感じる
・お前らwww街を探してやれww
「そうだぞー。街を探してくれー。あっちに街壁があるから多分あれがエンジの街だよね?」
・多分
・ボスを倒さずに第二エリアにはいけないハズ。
・第二エリアの方は湿地帯になってて、小さい池が沢山あるから、それっぽく見えないならエンジの街で合ってる。
「おっ、西のボスを突破した人かな?情報ありがとー。とすると湿地帯には見えないからあっちがエンジであってるね。とするとボスは・・・あのデカい木のところ?」
・そうだよー
・そこは俺らも何度もいってるからわかる。
・やられまくったからな・・・
・強すぎよな・・・
・この人ならやってくれるでしょ
・HENTAIだからね
「ははは、期待してくれてるみたいだね。じゃぁ、せっかくだし全力で駆け抜けますか。」
一度地面に降りて、脚を魔力強化する。そして何かあったときように紫炎も展開して先ほど見えたデカい木の方向へ一直線に向かっていく。
・おおおお!!
・かっけぇ!!
・てかめっちゃ早いんだが!?
・まって、なんか脚光ってるけどなにこれ!?
・紫色の炎が浮いてるの超それっぽい!
「気になることはいっぱいあるだろうけど、質問はボスを倒してからね。一回で倒してみせるよ!」
・気合十分
・この人ならホントにやりそうって思えるのがこわい。
・この速度で移動しながらコメントも見れるってすごいな。
・もう少し大きく成れば人乗せて走れそう。
「そりゃもう戦闘時は今とは比較にならないほど気を張るからね。この程度なら慣れたものよ」
そして真っ直ぐ走って3分ほどで、先ほど見えたデカい木の所にたどり着いた。大木を中心に半径30mほどが開けている空間になっている。
ピコン『ボスエリアに到達しました。30秒後にボス戦闘用エリアに転移いたします。』
「おっ、合ってるみたい。情報くれた人ありがとー。それじゃ行ってくるね!戦闘してる間はコメント返せないと思うからごめんね!」
・頑張って!
・いってらっしゃい!
・応援してる!!
そしてコメントを一度非表示にして、MPポーションで使用したMPを回復。
その後、ボス戦用のエリアに転移した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます