俺が彼女に振られてから義妹の様子がおかしい

タルまら

第1話


 春休み明けの始業式の日、誰もがまた始まる授業への憂鬱と新しいクラスへの期待が混ざったような気持ちでいるだろう日――


 そんな日に俺は悲しみのどん底に沈んでいた。


「私たち別れましょう」


 そう言ったのは俺の彼女である氷川ひかわ 麗子れいこだ。いや彼女だったと言うべきか。

 彼女は長い黒髪に端正な顔立ちをしていてスタイルもいい。

 例えるなら氷でできた薔薇が想起されるだろう。

 家がお金持ちだという噂もある学園のアイドルだ。

 

 一方俺は特に秀でたところもないような冴えないモブだ。

 空手で結構いいところまでいったこともあるのだが今はもうしていない。


 話がそれた。


 一年の夏、勇気を出して告白して付き合えたのだが今こうして振られている。

 俺は呆然としてただ立ち尽くしていた。


「それじゃ」


 彼女はそう言い残して去っていった。


 俺は呆然として引き留めることも理由を聞くこともできなかった。




 氷川 麗子side


 私は彼、東堂とうどう 京介きょうすけを振った。

 別に彼が何か悪いことをしたわけではない。むしろ今でも愛している。

 あまり表には出さなかったが告白されたときも叫びそうなのを必死に我慢していた。

 私が彼を振ったのは家の事情からだ。


 ――数日前――

 父に呼び出され、なぜ呼び出されたか考える。

 最近自分の周りで起きた出来事を思い出してみるが特に心当たりはない

 考えても埒が明かないのでさっさと行ってしまおう。


 自慢ではないが私の家はかなりのお金持ちだ。

 父は祖父の会社の跡を継いで社長になった。


「ただいま参りました、父上」


「お前の結婚相手が決まった。笹葉ささのは食品のところの次男坊だ。明日顔合わせがあるから準備しておけ」


 父はそう言うと部屋を出て行った。

 確か笹葉食品の社長は父と仲が良く私が幼いころに互いの子供を結婚させようと

 お酒を飲みながら話していたような気がする。


 父は昔から一度決めたことを変えない人だった。

 きっともうお付き合いしている男性がいると言っても別れろと言って終わりだろう。

 どうすればいいのかわからないまま私は眠りについた。




 顔合わせが終わった日の夜、私はこれからどうするか考えていた。

 相手の方はとても親切にしてくださったので悪い人というわけではないと思う。

 相手の笹葉ささのは かけるさんと結婚してもきっと幸せなのだろう。

 そして私は父に逆らうこともできずしばらく様子を見ることを決めてしまった。


 そして始業式の日、いつまでも彼を私に縛り付けるわけにはいかないと思い


「私たち別れましょう」


 と言った。そのとき彼はとてもつらそうな顔をしていて、それを見ると胸がズキリと痛んだ。


「それじゃ」


 私はそれだけ言ってその場を去った。

 後少しでも残っていると泣き出してしまいそうだったからだ。


 彼は私のことを嫌いになったかもしれない。

 それでも私は彼を振った。

 彼を私に縛り付けたままにしておきたくなかった。


 親に逆らうことも彼をきっぱり諦めることもできなかった私だけど、彼に迷惑をかけることだけはしたくなかった。












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 どうも作者のタルまらです。

 いきなり振られたり少し話が重いですが一応ラブコメを書いていこうと思っています。

 この作品は私の処女作で一から手探り状態で進めているので暖かく見守って下さると幸いです。

 ハートや星、コメントなどもらえるとありがたいです。

 とても喜んで多分3倍速くらいで書けるようになります。


 誤字報告や文法や意味の誤りなどあればズバッと教えて下さると幸いです。


 どこまで話が続くのかも決まっていない見切り発車ですがどうかご親切に付き合っていただけると幸いです。


 p.s.

 ハートやコメント欲しいな~


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