昔の自分...?

外に出てみたら今とは大違いだ。

付近を走っているのは昔ながらのガソリン車、今は全くない電信柱、さらにはインターネットのお陰様で閉鎖したコンビニなど...

昔にタイムスリップしたみたいだ。

直後、後ろから声がした。

健二けんじ、おまえだろ?」

振り向くと昔の友達がいた。

坂上さかがみそうただ。

10年前、酒に酔ったまま走ってきた車に追突され、亡くなった人だ。

「おい、反応しろよ...中山健二なかやまけんじだろ?」

「あ、うん...」

自分がまだ慣れていないことに彼は気づいていない。

というかなぜここに?

もしや私、脳卒中で死んだのか?

「今、2053年だろ?」

私は聞いてみる。

「はぁ?何言ってんだよ全く...今日は2018年7月29日11時55分37秒。小説にはまりすぎだよ...」


なんだと...?

35年も前に来たのか...?

しかもいつものように詳しい時間を...


「おーいどーしたんだーいきゅーにかたまって...」

彼の棒読みではっとした。

「いや、まさか35年も前にきたなんて思ってもいなかったよ...」

「未来人かよ!お前の言っていることはいつもいつもわけわかんねーな..."こんぽねーと"とか"くらうどふれあ"とか"じゅんかそうかなんとか"みたいにさ...」

「本当だって!」

「いやいや、顔洗ってきた方がいいんじゃないかな...(笑)」

あーもう!

「まぁいいや!」

元の家に戻ると、そこには亡き父と母がいた。

数年前に亡くなっているはずなのに...なぜ...?

まぁいつもしてた通りに振る舞うか...

「ただいま、いまかえってきたよー」

「けんちゃん、今日の昼はホットケーキだよ!おとうさんの腕前、(また)見せつけてやるぞ〜」

「あ、うん!ご飯食べる時間になったら言ってね〜」

適当に返して自分の部屋に行く。

ASUS EEE PC 1001PXがそこにはある。

5回ほど試行錯誤して、やっとWindows 7に入れた。

パスワードは意外に単純だった。

さすが、「昔の少年」だ。

そこのデータを見ると、どうやら小学6年生の頃の自分になったらしい。


「もし自分が仮に2人いるとして、そして元の自分が帰ってきたら、自分が2人いることになり、この世界では矛盾して、自分は自分と口論になるかもしれない...いや待て、"自分が2人"をわかってもらえるか?でも...」


考えが無限ループする。

「いつもこのPCでジョークソフトをつくって公園とかに持って行ったっけ...」

ふと、そう思うと何かと懐かしい記憶が蘇ってくる。

「まぁ一旦置いといて、とりあえずこのPHPを開いてみよう!」

適当なファイルをダブルクリックした。



...

$posted_comment = $_POST["comment"];

$posted_comment = htmlentities($posted_comment);

...


昔に作ったプログラムを見ながら、一人で思い出にひたる。

昔得意だったPHPだ。

今はPerl、CGIと統合され、新しくPHP_V2という名前になっている。

未来の自分はもう、そっちの方しか知らない。


「ごはんできたよ〜」

あっ

弟の声だ。

まだ声がたかい。

「お兄ちゃん、早く行こうよ。おいしそうな匂いがするよ〜」

手を引っ張られ、無理やりリビングへ行かされる。

優二ゆうじだよな...」

「何言ってんの?さっきから...そうだけど...」

「ははは...ちょっと気になることがあってな...」

「頭でもぶつけたの?大丈夫?」

出た。

本日二度目の「馬鹿にされる時間」。


「おーいきこえてますかーきゅーきゅーしゃよびましょかー」

イラつく棒読み。

「いや何もしなくていいから。」

「だって大丈夫そうじゃないじゃん。」


まぁ確かに心は大丈夫じゃないけど。


まぁいいや。



「「「いただきます!!」」」

みんなで挨拶をして、ホットケーキを食べ始める。

「生前の父は、この料理が上手だったっけ...」

!!!

やばい、口に出してしまった!

「生前って今も生きてるよー!!殺さないでくれ...(笑)」

ハハハッ...

笑いでなんとか持ち堪えた。


「そういえば、けんじ、どうやって帰ってきたんだ?水曜日からいなくなっていたんだよな...

最初は怖がらないように優しくいつもの声で接したが、ふしぎでなぁ...

警察に電話して、一緒に捜索してもらうことになったのだが...なぜか見つからなくてなぁ...

こっちはずっと会いたかったんだぞ...」


急に自分が誘拐されたことにされる。

確かに、前誘拐されたこともあったっけ...



「ともかく、もし何かされたらすぐ大声をあげるんだぞ!

すぐに殺されてしまうかもしれないからな!

まぁこれでよしとしよう...一件落着だな...」

強めの口調で来た。

相変わらず父さんは優しいなぁ...


「とりあえずわかった。そうする。」

そう返して皿の上にあるホットケーキの最後の一口を食べて、「ごちそうさま」といった。


さて、これからは...どうするかな...






次の日は学校だけど、うまく昔の記憶でやっていけるかな...

不安ばかりだ。


「学校」へ続く.....

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