第17話 独占型の才能を開花させたい ステップ6 彼女に慈しみの心を!
僕は自身の作戦の甘さと方向性の見当違いさに呆れてて仕方なかった。
なんで僕は彼女に頼み事をするという方向性に気がついていなかったのか…。
驚きである。
まぁ、後悔しても仕方ない。どうすればいいのか方向性は定まったのだから、突き進むしかない。
全てはヤンデレのために。
僕は、次の日、彼女に頼み事をすることに決めた。
さぁ、行くぞ!というか、もうこれしか策が無い。
「ねぇねぇ、ちょっと頼みたいことがあるんだけど」
と僕は彼女に話しかけた。
彼女は僕から話しかけることがあまり無いからか、少し驚いた顔をしていた。
しかし、彼女はすぐに笑顔になると、
「なに?いいよー」
と明るく言った。
よかった。ここが断られたらなんの進歩もなく、作戦は大きな方向転換をせざるを得なかった。
僕は、彼女に何日かおきに頼み事をして行った。ある時はノートを見せてもらう、ある時はパピぷのCDを貸してもらう。
僕はその度に彼女に満面の笑みを浮かべ、君の行動のお陰で幸せになることができたよ、ということをアピールした。
しかし、彼女には、数日続けても、なんの変化はなかった。彼女は定期的に頼み事をしにくる僕に嫌な顔はしないまでも、彼女の行動に僕がどう思っているのかまでは考えていないように思える。
はぁ、だめなのか…。いい作戦だと思ったんだけどなぁ。
まぁ、しかし次の作戦を思いつくまではとりあえず続けるしかない。
僕は今日も彼女に頼み事をしようと声をかけようとした。
すると、
「ん?どうしたの?ノートいる?」
と彼女から声をかけてきた。
え?と僕は驚いた。
こんなことは今までなかった。
というか、彼女は頼み事はしても、頼まれなければ相手のために何かをしようと言う気はあまりないタイプだった。
それが、彼女の方から何かしてあげようか、といった相手を想う気持ちが伝わってきたのだ。
僕は、彼女に少し変化が生じているのではないかと思った。
数日経つとその思いはより強くなり、彼女の変化は僕だけでなく様々な人が知るところとなった。
彼女は、誰かが困っているところを見ると、自分から手を差し出すようになった、自分が何かをしてもらったら誰に対してもきちんとお礼を言うようになった。
はっきり言って普通のことだ。しかし、これまでの彼女の傍若無人な態度から考えると、奇跡としか言いようがなく、しばらく彼女は別人格の人になってしまったのではないかと噂されたほどだった。
そこからは、噂で聞いた限りだ。
彼女は彼氏と仲直りしたらしい。
なんでも、彼女の方が彼氏に謝り、彼氏に尽くすようになったそうだ。
それの行為が、今までの彼女には考えられなかったこと、そして程よい束縛といいアクセントになり、彼氏は彼女に夢中らしいのだ。
よかったぁ。彼女はメンヘラからヤンデレへと変化を遂げ、彼氏との仲も一段階上がり、幸せ万々歳!
彼氏はきっとヤンデレに夢中だ。
これで僕はこの世に2人目のヤンデレを誕生させることに成功したのだ!
よかった、一時期はどうなることかと。
彼女は、開花していた才能と相まって慈しみの心を抱くことで、見事な独占型ヤンデレへと覚醒した。作戦は失敗していなかった。
彼女自身の中にも初めから、慈しみの心はあったことだろう。しかし、それが開花するきっかけがなかったのだ。
僕はそのきっかけを作ることで彼女をより魅力的にすることができたと思う。
よかった、君の魅力は彼氏に思う存分伝わっているよ。そしてその魅力は彼氏だけでなく、同性の友達にも伝わると思う。
ところで、僕が杉沢を放っておいてる、ヤンデレを生み出したら終わりって思ってると思ってない?
大丈夫、そんなことはないから。僕がヤンデレを悲しませることをするわけがないだろう。
ちゃんと手は打ってあるさ。
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