【長編】円卓の暗炎(第一部完結済み)

ふろたん/月海 香

第一部 最後の円卓の騎士

第十代円卓騎士の集い

プロローグ

「ベルも、頼んだよ」

 幼い子爵ししゃくオリヴァーはそう言って事切こときれた。

安宿の粗末なベッドの上で死んでしまった伯爵家の跡取りオリヴァー。

金の髪は冷たく、エメラルドのように美しい瞳はもう二度と傭兵ようへいベルを見つめることはない。

全身を黒い布でおおった傭兵のほかに、側にはすすり泣くオリヴァーの二人の部下がいた。

「オリヴァー様の言う通りにしよう。最後の命令だ」

「ああ。……ベル」

「……何だ」

「聖剣を頼んだぞ」

「オリーの頼みだ。聞いてやるさ」

「ありがとう……」

 オリヴァーの部下たちはオリヴァーの遺体いたいと共に道を引き返し、傭兵ベルは聖剣とオリヴァーの兜を持って道を進んだ。

聖剣タラニスを円卓へと返すために。

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