11-16 一次面接後…
街に戻り、庭に馬車をつけて、ニコルが馬を返しに行ってくれる。
ナズナは店の前で警備をしているベリルのところに状況を聞きに行っている。
「カズ様、奥様、お帰りなさいませ。
お疲れのところ申し訳ありませんが、早速本日の第一次面接の結果をご報告したいのですが、よろしいでしょうか。」
「あぁ、良いよ。それじゃ、レルヌさん、アデリンさん、ルカさん、クラリッセさんと一緒に聞こうか。」
本館の事務所に行き、7人が席に着く。
「では、先ず販売員ですが、割符番号1~10、12、14~16、18、20の16名に第二次面接を受けていただくことになりました。なお、16名はシェルフールに住んでいる女性であることを確認済みです。」
「この16名を10名にするって事?」
「そうです。ただし、アデリンさんのお店が近日としても、レルネ奥様の店はもう少し先となります。
よって、10名採用しても、1,2週間は店員が多い状態となります。」
「でも、もう一度面接をする時間はないから、10名採用してしまおうよ。その方が効率的だよ。」
「分かりました。では10名を雇用するとして、どの店で働くのかを決めなくてはいけませんね。」
ふと思う…。
この世界には写真が無いから辛いね。
実際に会って話してみないといけないって事だ。でも、俺はそっちの方が好きだけど。
話をすれば、そのヒトの性格や考え方が分かる。
緊張したり、猫を被っていたり…そのヒトの個性が分かるから有難い。
「彼女たちが何に興味を持っているのか、だと思う。
例えば、衣服に興味がある子は、より服の事を学ぼうとする。綺麗になりたい子は化粧の事を学ぼうとするって事かな。それと、普通の子が石鹸やしゃんぷりん、服やガーター、下着や化粧で綺麗になっていく姿を見せれば、街の女性は放っておかないよね。
普通の子が綺麗になっていく姿を見れば、皆、どう思うかな?」
「そういう事だったんですね。
カズ様、私は少し間違いを犯してしまいました。
より可愛い子を選抜してしまっております。」
「落ちた4名はどんな子だったの?」
「大人しくて、少し声が小さかったので、販売には向かないだろうと判断しました。」
「俺としては、そういう子が明るくなり活発になってくれるようになると、街のヒトはびっくりするだろうね。」
「分かりました。ではその4名も追加で受けてもらいます。これからその4人の家に行き、最終面接に来てもらえるよう説得して来ます。」
「お願いします。アデリンさん、ルカさん、それでよいでしょうか?」
「ああ。あたしはそれで構わないよ。」
「わたしも問題ありませーん。」
「それじゃ、20名全員を面接しましょう。ディートリヒよろしくね。
あ、錬成の方の報告はどうしますか?」
「それは儂から報告させてもらうよ。
26人中、儂の目に留まったのは5名だけじゃ。
他の者は魔法の存在に固定観念を持っているから、新たに魔法を覚えると言うことは難しかろうて。」
「では、その5人はどんなヒトなんですか?」
「マナが中程が3人、それ以上が2人じゃ。先に言っておくが、全員人妻だから手を出すなよ。」
「いや、手を出すなんてとんでもないです。既にお腹いっぱいですからね。
その中で生活に困窮されている方はいらっしゃいますか?」
「2人いたの。中とそれ以上で1名ずつ。」
「そのヒトのマナの循環は?」
「そんなもの分からん。イチが確認すれば良いではないか。」
「それができないから聞いているんですよ。
いいですか!女性の身体を触る事はご法度なんです。さらに旦那様がおられるのに、他の男性が触ったのだの、マナの循環を良くするために、あの部分に力を持ってこさせるなどといった行為をすれば、どうなると思っているんですか?」
「そりゃ、姦通罪になるじゃろう。」
「あの…、俺がお縄につくんですが…。」
「別にヤッてはおらぬから良いじゃろう。」
「やるやらないという話ではなく、あーーーもう、面倒くさい。
兎に角、俺の妻や伴侶以外のヒトにはマナの循環についてはしません!
なので、雇用した際にはレルネさんとスピネルさんに任せます。それで良いですか!」
「イチよ、何を怒っているのじゃ?今日日、エロ医者でも触るぞ。」
何故、この場にエロという新語を皆に教える?
それは“迷い人”の請け売りだろ。
「皆に言っておくよ。
いいかい、女性が子供を授かる器官を“子宮”という。
その言葉を出すことも出されることも恥ずかしいことであると俺は思っている。
ましてや、旦那さんがいる女性に“子宮”の話をすれば、どうなるのか想像がつかないか?」
「それは、カズ様とその女性の子宮に…、あ!子を宿すという事ですね。」
「そんな大きな声を出さなくても、皆聞こえているよ…。
だから俺の固定観念というより、信念としてもう一度言うよ。
妻と伴侶以外の女性にはマナの循環を手ほどきすることはしない!分かった?」
「じゃぁ、社長はあたいのマナを循環してくれないって言うのか?」
「伴侶になれば別だという事。だけど、これ以上妻も伴侶も増やすつもりはないからね。」
「そうリキまなくとも良いじゃろ。それに、イチの力量であれば、まだ増える可能性もあるからの。」
俺は一体何なんだろう…。
そのうち、あのキャンタマを使って、血を残すため酷使されるのだろうか…。
「カズさん、単純にカズさんがマナの循環の際に、その言葉を言いたくないと言ってくれればそれで良いんですよ。あとは私共で行いますので。」
「ありがとうメリアさん…。俺を分かってくれている…。」
「という事で、今晩は私ですね。」
「いえ、それはいけません!順番は守っていただくのが……」
「ちょと、夕食まで一人にさせて欲しい…。」
いろんなドタバタの結論が何で夜の順番になるのかが分からん。
しかし、マナの循環が良くなればそれだけ錬成などもできるのではないか。
でも、俺が話すとセクハラになるからメリアさんとレルネさんに頼む。
それだけの事だよ。簡単な事だ。
『ニノマエさん、どうしましたか?』
『セネカ様、なかなか女性と話すのは難しいですね。』
『この世界とニノマエさんの世界では少し違いますからね。
でも、そのあたりはメリアドールさんとレルネさんが上手くやってくれますよ。
心配することはありません。
それに…。』
『それに?』
『レルネさんも、石鹸やしゃんぷりんの製造が重なってお疲れなんですよ。
そういった事を分かってあげるのも夫の務めですね。』
『あ…。そうですね。彼女たちは一生懸命作ってくれた結果が今に至ってるという事ですものね。』
『そうですね。彼女たちにも労いの声をかけてあげてくださいね。』
『そういったさりげない事ができれば良いですね。』
『ニノマエさんならできますよ。』
『ありがとうございます。元気になりました。』
『ふふ。では一つ“貸し”という事で。』
「レルネさーん、スピネル、ミリー、ちょっと部屋まで来て欲しいんだけど…。」
3人を寝室に呼び、ベッドに寝かせる。
「なんじゃイチ。夕食前に3人を相手にするつもりかえ?」
「そんなんじゃありませんよ。んじゃ、うつぶせになって寝てください。」
一人一人の背中、腰、肩、腕とマナを込めてマッサージをしていく。
うわ、こんなに凝ってるんだ…。そりゃ疲れるよね…。
「みんな、ありがとね。
石鹸とかしゃんぷりんとかいっぱい作ってくれたから、順調な滑り出しを迎えることができたよ。」
「ニノ様、どうしたんですか?
急にこんな事してくださるなんて。」
「明日は嵐かもしれぬの。ほほほ。」
レルネさんよ…。結構凝っているね。
少し強くツボを押す。
「うりゃ…、痛い…が、効くのぉ~。」
「この部分を押すと、ピリッと来ますが、少し我慢してくださいね。」
「ふぎゃ…」
これで一人完成。
「ミリーさんは首筋か…、ちょっと痛いけど我慢してね。」
「はい。って、いったぁーーーーい!」
二人目完成。
「スピネルさんは頭痛か…、マナがこの部分に溜まってるから、ここをほぐすと良いですねっと。」
「あひゃ…。くすぐったいですが、気持ちいいです。」
三人目完成。
「どうです?」
「イチよ。これを毎晩やってくれぬか?」
「ほんとは風呂でやった方がいいんで、今晩からは皆をマッサージしようか。」
「主様、主様がおやりになられている施術を広めることはできませんか?
多分、肩こりや腰が痛いヒトは沢山いますよ。」
え?マッサージ屋もですか?
流石にこの街では…、あ、クローヌか!
一筋の光明が見えた。
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