2-18 勉強させてもらいまっせ
作った後の武具にでも付与ができるかどうかを試してみたかっただけなんだよね。
なので、失敗しても良いように保険も兼ねて鉄製のブロードソードを2本購入した。
「ほい。銀貨20枚。」
「ありがとよ。」
ブロードソードを2本購入し、カウンターの横にあったテーブルを借り、そこで武器に付与魔法が付くかを試してみることにした。
今回、付与しようと思ったのは自動補修。
刀身が欠ければ、その部分がもろくなり、最悪折れてしまうって聞いたことがあるから試してみることにした。
テーブルにブロードソードを置き、欠けた刀身が自動的に修復しているイメージを持ちながら、俺のマナを剣に流し始めた。
手から流れていくマナが剣に入りこむと、少し剣が光り始める。
その後、一定量マナが入った段階で光も収まってきた。
鑑定してみると、2本とも
ブロードソード:普通 自動修復(劣) となっていた。
付与魔法を見ていた親父さんは、時より「ほぉ」と「ふうむ」とか唸っていた。
そして、2つとも付与が付いたと告げたら驚いていた。
親父さんは鑑定ができないから、実際に見せた方が良いと思い、俺はその剣に刀傷をつける。すると徐々に刃が修復していく。
試みは大成功であった。
一番の問題は親父さんが鑑定できない事。
鑑定を依頼すれば、一つの武具に銀貨3枚かかる。
「鑑定しても付与がついてなければ、鑑定料分マイナス…リスクも大きい…か。」
そう考えながら、俺は親父さんを見つめる。
付与をかけるのはおおよそ可能。でも売る方がそれを理解できていないと、適正価格で売れるものも売れない。付与がついているものを如何に把握し、それを売っていく術を身につけないといけないという事になる。
「のう、モノは相談なのだが、ここにある武具全部とは言わん。これから儂が出す武具を鑑定してもらえないだろうか。」
「あぁ。鑑定だけなら良いよ。ディートリヒさん、少し待っててもらえるか?」
「はい。ご主人しゃま。」
「俺は、ニノマエ ハジメだ。」
「そうか、儂はマルゴー、そっちは娘のアイナだ。よろしくな。ニノマエさんよ。」
そういって、棚や奥にあった武具をテーブルに持ってくる。
ひとつひとつ鑑定していくその横でアイナがメモを取っている。
数にして20点ほど。15分くらいで完了した。
「ニノマエさんよ。 ありがとよ。おお、そうだ。お前ら俺の作ったフランベルグと革のアーマードレスを買ってくれるって事だったよな。って事は冒険者か。まぁ、今回いろんな意味で世話になったから、お前らには適正価格で販売してやるよ。」
俺の肩をバンバンと叩きながら、満面の笑みを浮かべる。
いえ…。適正価格で買えば、破産しますよ…。
そんな青い顔をしていると、「冗談、冗談」と笑いながら、これからも相談に乗ってくれれば、良い品を付与前の価格で買わせてくれることになった。
鋼のフランベルグ(軽量化、切れ味+1)…1本
革のアーマードレスセット(自動調整、防御+1、耐熱・耐寒)…1着
鋼のナイフ(切れ味+1)…2本
ラウンドシールド(防御+1)…1個
しめて金貨2枚と大銀貨50枚也…。
マルゴーさんは、だいぶ安くしてくれた。
次回来た時に鑑定と付与を少しすると約束して、その店を出た。
その後、冒険者ギルドに立ち寄り、ディートリヒの冒険者登録を無事完了した。
登録の時は、受付のお姉ちゃんがジト目で見ていたよ…。
それに、依頼から戻って来た冒険者からは、「娘さんにしては可愛すぎるぞ」、「薬草おっさんには不釣り合いだ」とか「あの年にして…」とゲスな笑いや驚きを隠せない輩も居る。
しかし、ディートリヒを狙って粗暴な冒険者がやって来て、打ちのめされるといったお約束のテンプレは無かった。
この10日間、薬草をギルドに納入しては冒険者達とコミュニケーション取っていたから面は割れているし、俺というヒトとなりもだいぶ分かってもらっているからね。
喧嘩なんて物騒な事、俺にはできんから。
人脈を作るって事は大切なんだよ。
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