再開の日まで
もっちり
第1話
「君との婚約を破棄する!」
何このテンプレ展開。アリスは、冷えた目で
この国の公爵令嬢ーーアリスは、転生者である。
床に氷を落として転倒というおっちょこちょいで転生した。
転生したと認識した瞬間こそびっくりで気絶したが、今は特になんとも思っていない。記憶喪失になったり、片方の人生の記憶しかないという記憶障害もなく、普通の令嬢としての人生を送っていた。
しかし、今並べられた、今まで読んできた異世界小説一たくさんの冤罪を並べられ、キレた。
「はぁ?あなたが男だから威張っているのでしょうが、あなたを産んだのは男ですか?基本的に育児をしてくださったのは男ですか?この世界は男だけで成り立っている?そんな大言壮語を吐かれたのはいったいどこのどちら様でしょうか?お顔を拝見したいですわ!大体、私のほうが勉強ができるから濡れ衣を着せようとなさるのですか?いい加減になさいませ!できないのなら努力、自分の得意な科目を極める、いくらでも方法はございますでしょう!挙句の果てに私の私室を覗き見?専属メイドを脅して私の性格を隅から隅まで把握した上に私自身を脅迫?それがこの国の第二王子のなさることでしょうか?それが礼儀なのですか?」
「...............」
今まで溜まってきていた鬱憤を晴らすように一気に言葉を紡いだ。その勢いに気圧されたのか、相手は黙りこくった。
「謝罪の言葉すらないのですね!私だってもう限界ですわ!さて、私はこの言葉の責任を取ってこの国から出ていきましょう。これからは公務も、国の結界も、そちらのお似合いな《《お似合いな》》二人だけでこなしてくださいませ」
「できるわけないだろう!この落ちこぼれ《お前》はそんなことさえわからないのか?」
「あら?その落ちこぼれ《私》がこなせていたことをできないとおっしゃるのですか?おかしいですわね。言葉が矛盾していますわよ」
「っ!出ていけ!今すぐ!この国から!」
第二王子は顔を真っ赤にして怒鳴った。
「わかりました。出ていきますわ」
アリスは淡々と告げると、舞踏会の会場をあとにした。
その喧騒を見ていた隣国の第一皇子は口角を上げて呟いた。
「これでアリスを私のものにできる。」
そこへアリスがやってきた。
「あら、こんにちは。私に何か御用でしょうか?」
「あぁ。少しついてきてくれないか?」
「まぁ、私はそんなに頭が悪くはありません。そんな罠にーーー」
「これでも反抗するのか?」
そういって、第一皇子はフードを外した。
「だ、第一皇子殿下!?た、大変失礼致しました!」
「別に、そんな堅苦しいのはいらないよ。私が聞きたいのは、ついてくるか、」
そういって人差し指をあげる。
「ついてこないか、だ」
そして、中指もあげる。
「ついて、いき、ます」
逆らえないと判断したアリスはついていくと渋々答え、顔を歪める。
「そんな顔をしては、折角の美貌も台無しだよ、有栖」
「っ!晴人」
驚いてそれ以上声が出ないアリス。
「晴人だよ」
「晴人っ!はるとっ!はるとぉっ!会いたかったよ!なんで先にいなくなるのよぉ!私をもう取り残さないでよぉ!」
「うん。もう離さないよ、二度」
そう微笑んで抱き合う二人。
それを空から、女神たちが見ていた。
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