第42話 父と妹弟たち 1
相続人の中でも中枢を握る人間は、私の父を筆頭に集まっているのは
知っていた。こうなるであろうと予測し、私は一年前に手を打っておいた。
そして奴らが再び接触を図って来る事も知っていた。
何故なら全てを私一人に押し付けて、皆何もしなかったからだ。
一年も経たない頃、食事中に尋ねてもいないのに、
頼りない声でぼそぼそっと言って来た。
「訴えたらしいよ」私は「で?」とだけ言った。
「難攻してるみたい」と言った。
私は何も言わなかった。当たり前の事だからだ。私は何も尋ねずそのまま席を立って自室に向かった。
その頃は危険な思想を持つ父親だった為、私は自分の部屋への通路に、赤外線センサーを設置していた。これは過剰な反応では決して無い。
私は重度の不眠症である為、睡眠導入剤を飲んではいたが、それでも深く眠れる事は無かった。父親の極わずかな教育のせいと、助けるべき時に助けなかった事により、暴力的な弟になってしまった。
弟は悪くは無かった。敢えていうならば私の言う事を聞かなかった為に起きた。
普通に強盗並みの事をされても、警察沙汰二はしなかった。あれ以来、弟は、以前にも増して、更に変わって行った。
その癖、弟が夜中騒ぐと、警察をすぐに呼んでいた。これは明らかに対処の仕方がおかしい。母親は非常に頭が悪い癖に、その事実を知らない程だった。
その為、予想外な行動を多くしていく事になった。警察を呼んだのも1,2回じゃない。真夜中に何度も呼んでいた。強盗同然に盗みを働いた三人に対しては、一切謝罪もさせず、終わらせた癖に、おかしな行動ばかりだった。
自分を怒らせたら怖いと自分で言いながら、少し言われると黙ってしまうような愚か者だった。その相手の叔母も頭は悪い。その頭の悪い叔母にさえ立ち向かえずにいた。
私は常に状況は把握していた。それは父が裏で、現実的に考えれば私に頼るしかない状況であったが、一年前、こうなるであろうと思い、私のほうからお金の請求はせずに終わらせたからだったが、私に未払いで終わらせたのも父であった為、それをきっかけに、私のほうから断絶されている事を、弟たちに言えず、更に弟たちには私と父の間で支払いの件については、話しがついていると、弟たちは思い込んでいた。
だが、実際は、私とその叔父の共謀説まで出てきた事により、私への支払いは無しで決定した。父はいつものように、面倒事の1つだと思っていた為、いつものように、私にしわ寄せを食らわせて、終わらせようとした。しかし私は、事が大きな問題になる事を予想していた。父はただ頷くだけである人間だということも。
父が叔母や叔父に、言われていることは聞かずとも知っていた。私は父を苦境に立たせる為に自ら身を退いた。しかし、決してただ退く真似はせず、地雷は敷き詰めてから、身を退いた。父の弟たちは、何故、私が協力してくれないのか分かっていなかった為、共謀説まで出た。二人でお金を分けたんじゃないか?と。
父は最初、土地が売れたらお金は払うと言っていた。しかし土地が売却されても払おうともしなかった。まだお金が振り込まれてないと言って逃げていた。
そして家が建ちだした。私は鼻で笑いながら聞いた。
「土地が売れて、家が建ちだしても、お金が振り込まれないなんてよく言えるな? 常識外れもいいところだ」と私が言っても無言で通した。
結局、隣の土地に家は6件建った。そして売れて行った。
私はもうあきれ果てて、一切喋らなくなった。
ある日、向こうから話しかけてきた。
「自分と兄弟が、さすがに可哀そうだと話し合って、百万だけ渡すと話し合って決めた」と言って来た。絶対に有り得ないと私は思った。同時に今度は何を企んでいるのか? としか思わなかった。
あの叔父や叔母、そしてこのイカれた父たちが、わざわざ今更そんな話し合いの場を設ける訳が無いと。
絶対に何か企んでいると思ったが、「わかった」と私は言って、様子を見る事にした。
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