第7話 ヨドバシ動物園

 キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴って休憩時間になった。


「ねぇ、かすみちゃん?問題出してあげよっか?」


 指で作ったフレームにかすみを収めながらほのかが聞いた。


「…いや、いいや。」


 かすみは、持参した動物図鑑を見ながら言った。


「わかった。じゃあ、問題です!」


「はい。」


「カメとラクダとサイが買い物をしにカメラ屋さんに行きました。さて、何を買ったでしょ〜か?」


 ほのかは、ニヤニヤとかすみの方を見た。


「ほのか、それだと答えがカメラだってすぐバレちゃうでしょ?カメラ屋さんを消して言い直して。」


 かすみは呆れた顔をしながらほのかに言った。


「あ〜!なるほど〜!そっかそっか!わかった!じゃあ、気を取り直して問題です!」


「…」


「カメとラクダとサイがビッグカメラに買い物に行きました。さて、何を買ったでしょうか?」


「いや、だからバレるから。問題文にカメラが出てきたらダメなのよ。カメラを消してもう一回言って。」


「オーケーオーケー!全部理解したよ!じゃあ、改めまして問題です!」


 ほのかは自信満々に言った。


「カメとラクダとサイが買い物をしにヨドバシに行きました。さて、何を買ったでしょうか?」


 かすみは立ち上がって叫んだ。


「だからバレるって言ってんでしょーが!!ヨドバシと言われたらもうカメラしかないでしょ!!大体、どの店に行ったとか言わなくていいのよ!なんであんたはいつも余計なことを言うの!!?」


「もう!文句しか言わないじゃん!問題出してるんだからちゃんと答えてよ!」


「だから、既にあんたが答え言っちゃってんのよ!!出題者がそれだと答える気なくなるでしょ!そっちこそちゃんと出して!」


「出してるじゃんか!問題です!カメラクダサイは何を買ったでしょうか!」


「カメラでしょーが!もう解説しちゃってんじゃんか!問題として全く機能してないわよ!!」


「もう!かすみちゃん嫌い!そんなにカメラが嫌いならヨドバシにもビッグにも、もういっちゃダメだからね!」


「別にカメラが嫌いなわけじゃないから!あんたの問題に出てくるカメラが嫌いなのよ!!だから、これからもヨドバシとビッグには行くから!私、行くからぁ!!!」


 キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴って休憩時間が終わった。

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