第5話 わたしのかんがえたさいきょうのぞうさん
キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴って休憩時間になった。
「ねぇ、かすみちゃん?問題出してあげよっか?」
腕を鼻に当て、プラプラさせながらほのかが聞いた。
「…いや、いいや。」
かすみは、持参したかわいそうなぞうの絵本に目を向けながら言った。
「わかった。じゃあ、問題です!」
「でしょうね。」
「ゾウはゾウでも足が6本、尻尾が2本、目が3つのゾウはな〜んだ?」
ほのかはニヤニヤしながらかすみを見た。
それに対してかすみは拍手をしながら言った。
「すごいじゃない、ほのか。ちゃんと問題として成立してる。やっぱりほのかはやればできる子なのよ。ママ嬉しいわ〜。」
「うん!じゃあ、問題答えて!あと、かすみちゃんがママなのは死んでも嫌だから冗談でも二度と言わないでね!」
かすみは顎に手を当て考え始めた。やがて、答えが出たのか少しニヤッとしてほのかの方を見た。
「わかった〜。それ、『想像』でしょ?」
「ブブー!違いまーす!」
ほのかは手でバツを作って言った。
「は?違う?」
かすみはほのかの予想外な言葉に驚いた。
「正解は、『ニーオゾウ』でした!」
「…は?なに?ニーオゾウ?何よそれ?」
「さっきの問題の答えだよ!足が6本、尻尾が2本、目が3つのゾウ、それは『ニーオゾウ』!」
ほのかはそう言って1枚のルーズリーフをかすみに見せた。
そこには、ほのかの言った特徴を持ったゾウらしき生物の下手くそな絵が描かれていた。
「…ねぇ?それ、ほのかが考えたの?」
「そうだよ!」
「だったら、わかるわけないでしょ?その問題の答えは想像でしょ?ニーオゾウじゃなくて。一般的に知れ渡ってるものが答えじゃないと問題として成立しないから。」
「え、そうなの?ふーん。じゃあ、気を取り直して別の問題!」
「…」
「ゾウはゾウでも足が8本、尻尾が4本、目が1つのゾウはなーんだ?」
「え?だから、想像…」
「ブブー!違いまーす!」
かすみが言い終わる前にほのかが遮って言った。
「正解は、『ガジャクニゾウ』でした!」
ほのかは、またルーズリーフを見せてきた。
そこには、ほのかの言った特徴を捉えた下手くそなゾウらしき生物が描かれていた。
それを見たかすみはゆっくりと立ち上がり、穏やかな表情でほのかを見た後、急に目を見開いて大声で言った。
「わかるわけないでしょーが!!あんたが考えた生物なんて!!さっきから気持ち悪い名前のゾウばっかり出しやがって!!」
「もう!なんなの!?文句ばっかりじゃん!!こっちは親切に答え教えてあげてんのに!!かすみちゃん、ちゃんとして!問題です!足が10本、尻尾が5本、目が4個のゾウはなーんだ?」
「いるわけないでしょ!そんなゾウ!っていうか、その問題出すんならまず鼻の数を変えなさいよ!なんで、鼻は1本で固定なのよ!」
「ブブー!正解は『ハゴンゾウ』でした!」
そう言うとほのかはルーズリーフに乱雑に絵を描いてかすみに見せた。
「だから、いるわけないでしょ!!しかも今描いてるし!!」
「もう!かすみちゃん嫌い!他にも、『バーグハンゾウ』とか『ウナットゾウ』とかもいたのに!もう問題出してあげないから!」
そう言うとほのかはファ○クサインを出してから自分の机に突っ伏した。
「ちょっと!まだ話は終わって…ん?『バーグハン』って、ハンバーグ…あんたこれ昨日の晩御飯中に考えたでしょ!!今までのも全部昨日の献立でしょ!『ハゴンゾウ』とか『ニーオゾウ』とか!ただのごはんとお雑煮でしょ!ほのか!おい!こっち向け!!話はまだ終わってない!!どうせ、お雑煮とゾウがかかってるからってだけで思いついたチープなネタでしょ!!」
キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴って休憩時間が終わった。
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