第114話 祝賀会パーティー
俺達はウィリアムに招待された祝賀会にきている。貴族達が遠目で見ているがその反面モーリンは女性達に囲まれていた。
プリシラがモーリンの熱烈なファンだったが、貴族の女性達からも同様にファンが多いらしい。
「にいちゃこのお肉美味しいよ?」
ロンは口にいっぱい食事を頬張っていた。どことなく貴族達の視線が気になるのは俺が勇者として認定されるからだろうか。
「よっ、ウォーレン!」
キョロキョロとしている俺にエヴァンは声をかけてきた。いつも鎧をつけているが今日は普段とは違う装いをしている。
「なんかこうやってみると王族って感じだな。 目がチカチカしてきたよ」
エヴァンはウィリアムの血を引いているのか今日はいつもよりキラキラオーラを放っていた。遠くから見ている令嬢達の視線も痛い。
「それでも俺に話して来れるやつはウォーレンぐらいだけどな」
王族となれば気軽に話せないのだろう。周りにいる歳が近い貴族達が俺見て睨んでいるのはこれも関係しているのだろう。
その時ラッパの音が鳴り響いた。
国王様の入場を知らせる音だ。間近で見たことない国王様に俺は圧倒されていた。
ウィリアムの父で、エヴァンの祖父と言うだけ光り輝くオーラが強い。
「これから勇者認定の儀を行う」
事前に説明を聞いていたが、俺は国王の前に立つと緊張してきた。
「にいちゃがんばれ!」
「お兄ちゃん!」
そんな俺をロンとニアは応援していた。俺は国王の前に行くと感謝を述べられた。
その時の記憶は緊張しすぎて覚えてない。とりあえず難しい言葉を並べていた。
「何か報酬をあげようと思うが何がいいか? 爵位はどうだ?」
爵位という言葉に俺はすぐに首を横に振った。俺が爵位を貰ったところで貴族になっても何もできないのが目に見えている。
「一つだけお願いを聞いて頂いてもよろしいですか?」
「行ってみなさい」
「ありがとうございます。 国王様は奴隷社畜を知っていますか?」
俺が話した瞬間に国王の眉間に皺が寄っていた。
「以前マルティーで輸送される前の獣人を救助する機会がありました」
俺はマルティーであった出来事を隠さず国王に伝えた。今まで時間が明るみになってはいなかったが、俺が求めるのはその獣人達への待遇についてだ。
「そこで救助した獣人はある商会の援助でどうにか暮らしています。 商会は親がいない孤児や彼らの援助をしていますが、資金にも限度があると思います」
「使えないやつにお金を使ってもな……」
「そもそも獣人って弱いらしいしな」
「静粛に!」
貴族達は文句を言っていた。国からお金を援助することになれば、貴族達の負担割合は多いのだ。
「それでウォーレンは獣人に未来があると言えるのか?」
国王の言葉に俺は頷いた。すでに獣化ができる獣人達にも人と同じ知識は学べる。ロンとニアに関してはその辺の人より強いだろう。
「では今回の報酬は孤児への援助に当てよう。 それでは引き続きパーティーを楽しんでくれ」
どうやら俺の意見が通ったようだ。これで獣人や孤児に新しい未来が作られるようになる。
ロンとニアを見ると二人は笑っていた。
この時のウォーレンの行いが、後に英雄ポーターと言われる一歩となった。
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