第112話 スキル玉【幸運】
スキル玉を目の前にして俺はどうしようか迷っていた。
「んー、やっぱりロンの方が良さそうじゃないか? スキル【収集】だと採取に向いてそうだけどな」
「でもにいちゃがもらったやつだし、にいちゃといるとオラもニアも幸運になるでしょ?」
「私もお兄ちゃんに会えただけで運がよかったと思ってるよ?」
2人の話に少し涙が出そうになった。
悩んでいるのはミスリルダガーを配当でもらった時に同時に手に入れたスキル玉だ。
《幸運》
レア度 ウルトラ級(ユニークスキル)
説明 世界「スピークス」に存在するユニークスキル。スピークスのスキル玉からスキルの入手が可能。自身の運が上がり、スキルレベルが上がるたびに良いことが起きるようになる。
習得系のスキル玉は一度使用してしまうとそのまま使えなくなってしまうのだ。そのため誰が使うかは考える必要があった。
「オラはみんなを守るスキルがもらえた時でいいよ」
「私も魔法か杖のスキルの時でいいかな」
2人は遠慮してるのかなスキル玉を受け取ろうとしない。
「なら俺が使うね」
スキル玉を手に持ち発動させた。これで俺は幸運体質となったのだろう。
「じゃあ、冒険者ギルドに向かおうか」
俺達は依頼を受けるために冒険者ギルドの向かった。
「ウォーレンさんぜひパンを持っててください」
「うちの野菜もどうだ? ちゃんと食べないと大きくなれないぞ!」
「野菜じゃダメだろ! 肉を食え!」
ここ最近王都の中を歩いていると声をかけられることが多くなった。
しかし今日異常なほど声をかけられた。これが幸福がもたらしたスキルの効果だろうか。
「ウォーレンちゃん、そんなに荷物を持ってどうしたのよ?」
冒険者ギルドに着く頃には抱えきるには大変なほど食材を渡された。
初めはアイテムボックスに収納していたが、たくさん声をかけられるため、あえて持つようにすると何も渡されずに済んだ。
「よかったらこれ使ってください」
冒険者ギルドには小さな食事処が付いている。ローガンに渡すと奥にある調理場に持って行った。
「そういえば今日ウォーレンちゃんに会いたいって人が後で来る予定になっているわ」
「じゃあ、それまでには帰ってこればいいんですね」
今日は獣人の子達と一緒に採取の依頼を受けることになっている。
採取自体そんなに時間はかからないし、子ども達を見守る保護者として着いていくだけだ。
「あっ、お兄さん!」
彼女達を待っていると来たのは、ミンとハリスとホークスだった。
俺の影響からかこの3人は冒険者を希望していた。まだ獣人化の力も未知数のため、戦える武器として観察するのも俺の仕事だ。
「ローナさん行ってきます」
「気をつけていってらっしゃい」
子ども達はどこかウキウキしており、側から見たらピクニックにいく姿に見えたのだろう。
気づいたら王都に出るまでにも、また声をかけられ荷物を抱えていた。
幸運体質も良いものではないことを知ることとなった。
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