第31話 ユニークスキル

 俺はその後メジストの錬金術店に向かった。サハギンから出た魔石は濃い青色の魔石だった。


「ばあば! じいじ!」

 2人はお店の扉を開けた瞬間に飛びつくように入って行った。


「おー、可愛い孫らよ。 怪我はしてないかい?」


「今日はお兄ちゃんがサハギンを倒したの!」

 モーリンは2人を優しく撫でていたが、ニアの発言に俺の顔を威圧するように見ていた。


 2人を危ない目に合わせてないとは言わないがそんな顔で見なくても……。


「なんじゃと! 今日の魔石はどれじゃ」

 それを気にしていないのがメジストだった。あとでモーリンに何もされなければいいんのだが……。


「サハギンからはこの魔石が出ました」

 俺は濃い青色の魔石を取り出すとメジストの興奮が絶好調と達していた。


「うぉー! これはいいスキル玉になるぞ!」


「あんたはちょっと静かにしておくれ」

 あまりの声の大きさにモーリンの雷属性の魔法がメジストを直撃していた。


「この魔石はスキル玉にしてあなたが持ちなさい」

 俺はお金を優先して魔石を売るつもりだったがモーリンの考えは違っていた。


「サハギンは中々見かけない魔物だからこの魔石も強いはずよ。 この人の反応から見ても売るのは勿体無いわ」

 モーリンは今後のことも考えて自身を強くすることを考えなさいと言っていた。確かに今回みたいに急に強い魔物が出てきたら戦う力は必要となる。


「ではこの魔石でスキル玉を作ってもらいます」


「それがいいわ。 この人には私から頼んでおくわ。 拒否権はないからお金の心配はしなくて──」


「それはさすがにないのじゃ」

 倒れていたメジストは起き上がるがモーリンに押さえつけられていた。出会った時に威張っていたメジストはどこにいったんだろうか。


 俺はモーリンにお願いするとそのまま子供達を抱えて宿屋に戻った。


 2人はモーリンと話しているうちに疲れていたのか眠ってしまった。


 起こさないようにそっとベットに寝かしつけ俺は食堂に水を飲みに行った。


「おっ、今日はどうだったんだ?」

 先に食堂にいたのはロビンだった。彼はすでに酒を飲みながら食事をしていた。


「初めてサハギンを相手しました」


「おっ、それは珍しいな」

 やはりサハギンは中々出会わない魔物らしい。前まで川の中には生息していなかったのが、急にあれだけの数が隠れていたとなると何か条件があるのだろう。


「そういえば鑑定は使い慣れたか?」

 俺はロビンの話に首を傾けた。スキルに使い慣れたかどうかということに違和感を感じたのだ。


「この間は驚いていただろう? スキルは何度も使うとその性質に慣れて使いやすくなるんだ。 魔法なら魔法の種類が増えるように鑑定には見えることが増えるんだ」

 俺は確かめるためにコップに映る自分の姿を見てステータスを確認した。


《ステータス》

[名前] ウォーレン

[種族] 人間/男

[能力値] 力C/B 魔力D/B 速度B/B

[スキル] 証券口座、吸収、鑑定、回復魔法、雷属性

[状態] 身体疲労


 以前よりも力と速度が一段階上がっていた。俺は[能力値]を眺めると新しく説明が追加で表示されていた。


[能力値] 現在値/限界値

 何か身体的変化が起こらない限りは限界値は変化しない。


 俺は詳細の説明を見てため息が出そうになった。俺のステータスの限界値は全てが低かった。ロンとニアの方が全体的に高いぐらいだ。


「色々確かめることが出来たなら工夫して戦えばいいさ。 じゃあ、俺は一足先に休むわ」

 ロビンは腹を掻きながら2階に上がっていった。


 俺は自身のステータスを再び細かく確認することにした。ひょっとしたら以前と違ってスキルがわかるかもしれないからだ。


[スキル]


《証券口座》

レア度 レジェンド級(ユニークスキル)

説明 世界に一人しか覚えることが出来ないスキル。権利を金銭で購入することができる。利益は個人の権利の数に依存する。


《吸収》

レア度 ウルトラ級(ユニークスキル)

説明 世界"スピークス"に存在するユニークスキル。スピークスのスキル玉からスキルの入手が可能。スキル玉を使用するたびにスキルを吸収し自身のスキルにすることができる。


 俺はステータスには恵まれていないがスキルには恵まれていたらしい。ブリジットのスキル屋の配当でもらったスキルは珍しいユニークスキルというものだった。


 その後、鑑定、回復魔法、雷属性のレア度も確認するが、雷属性のみがスーパー級で鑑定と回復魔法はレア級だった。


 それにしても証券口座に関しては中々スキルとしてまだ鑑定が使い慣れていないのか詳しい情報を得ることができなかった。


「にいちゃ……」

「おはよう」

 どうやら2人は起きてきたようだ。俺はゆっくり目を閉じて鑑定を終えた。


「よし、ご飯を食べようか!」

 俺の声にさっきまで眠たそうにしていた2人は急いで席についていた。

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