第9話 一般ポーターとの違い ※アドル視点
俺は他の男と比べて良い人生を過ごしている。強い能力とみんなが見惚れるほどの容姿で今も女には困ってはいない。
「あん、マリベルだけズルい!」
「そんなこと言うなよ。 シャルロもこっちに来いよ」
「やった! アテナも恥ずかしがってないでこっちに来なよ」
「わわわ、私は──」
俺はアテナに口づけをしながら服を脱がした。この女達は俺の才能に惚れ込んで付いてきた奴らだ。毎日どこに行っても一緒で3人の相手を同時にするのは疲れるがそれもモテる男の宿命だ。
「ねぇ、メルロはいいの?」
「ああ、あいつか。 俺に興味がないやつはいらないわ。 それより3人で気持ち良くしてくれ」
ウォーレンの代わりに入れたアイテムボックス持ちのメルロはとにかく見た目が最高だった。
だから声をかけたのに俺の才能には全く興味はなく近寄ってこなかった。
まぁ、今の俺には1人の女より3人の女と楽しんだ方がいいからな。外にいるメルロに聞こえるように声が漏れ出るほど俺達は楽しんだ。
♢
朝起きると女性同士で言い合いをしていた。
「おい、どうしたんだ?」
「だから言ったじゃない。 アイテムボックスは限度があるって」
昨日俺達があんなに激しい夜を過ごしたからなのかメルロは朝から文句を言ってきた。
どうやら荷物が収納できないらしい。アイテムボックス持ちが収納できないとはどういうことだ。
「そもそも私はお金が持てれば良いと言われてパーティーに誘われたわ」
確かに俺はメルロにそう言って声をかけたが、アイテムボックス持ちなら荷物を持ってもらうのも当たり前だ。
「お金が少ない今なら荷物は持てるだろ?」
今俺達が稼いだ金は大白金貨2枚ほどだ。
「大白金貨がどれぐらいの重さか知ってて言ってるのかしら? ここにある荷物と同じ質量よ」
指を差していたのは5人分のテントと食料だった。
確かに行きは荷物が全て入ったが、大白金貨になれば質量はあるがサイズは小さいから問題ないはずだ。
「ポーターは基本的にサイズじゃなくて質量で荷物の量が決まっているのよ」
俺は何を言っているのかわからなかった。あの男は荷物は収納できないがどれだけでも大白金を収納できていた。
だから俺はそんなことを知らなかった。
「メルロちゃんは何を言ってるの? 持てない分あなたが持てばいいのよ?」
「おいおい、流石に女性に対してそんなことはさせられないだろう」
入らない物を1人に持たせることは流石に俺もできなかった。だって食料に関してもかなりの量があるのだ。
「だってあいつはそれぐらい普通にやってこれたよ?」
聖女のスキルを持っているシャルロはお嬢様育ちで俺に一目惚れして冒険者になった女だ。俺がメルロに好意があるのを知っているのか何かある度にメルロに噛みついていた。
「あんた達がこんなに荷物を持って来なければ済むものよ。 そもそも自分の荷物は自分で運んで、お金はもらった地域で使うのが冒険者としての当たり前よ」
確かにメルロが言うことは冒険者の中では当たり前のことだ。ただ、俺達は勇者パーティーなのだ。その分一回に稼ぐお金の量が違う。
「そもそもいくつも討伐依頼を受けるのが間違いね」
そんなことを言っても俺達はそれが当たり前だったのだ。
「こんなことならあいつを辞めさせなければよかったわね。 金もいらないしなんでも言うこと聞いてくれるから便利だったわ」
魔女のマリベルもウォーレンの話を出してきた。そもそも俺以外の男の話が出るのもパーティーにいるのも気に食わない。
俺はあいつが何もできないくせにみんなから評価されるのが昔から許せないのだ。
「黙れ! 俺が運ぶから何も話すな」
いらないテントと最低限の食料以外は捨てて、俺はメルロから荷物を奪い背負った。あいつの存在が無ければ俺はこんな気持ちにならなかったはずだ。
「またメルロだけ……私のアドルを……絶対許さないわ」
シャルロは何かを言っていたが俺はあいつにイラつき話を聞いていなかった。
「ははは、俺から逃げれると思うなよ」
街に戻ったらあいつが生きていたのを後悔するぐらい痛めつけることを考えていると自然と背負っている荷物が軽く感じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます