第3話 意外なお誘い〜転校先は不良(ヤンキー)校!?

最近、妙に視線が感じる。



「希美ちゃん、どうかした〜?」



キョロキョロしていると吉良君が尋ねてきた。



「えっ?あ…いや…」


「どないしたん?」


木戸君も尋ねてきた。



「さっきからキョロキョロしてるし。良い男でも見付けてんのか?良い男なら、お前の目の前に3人いるだろ?」



「ハハハ…ありえなーい」


そう言うと、私は目をスッと糸のようにし、更に話を続ける。



「何処から、そんな自信出てくんの?」

「あ?てめー、言ってくれるじゃねーか!?」

「男なんて興味ないし」



「じゃあ、女か?」と、木戸君。


「ええ〜っ!希美ちゃん、そっち系?」と、吉良君。


「いや、違うから!」



「つーか、何か気になるんだろう?」と、蒼介。


「…それがさ…」



私は話す事にした。




「視線!?」


「うん…気のせいかな?と思ったけど…なんかね…」


「お前に色気を感じる奴の気が知れねー」と、蒼介。



「蒼ちゃん!!」


吉良君が、少し強い口調で言った。


「本当、相変わらず、失礼だね!蒼介は!」


「せやけど、ハッキリせんのやろ?」と、木戸君。


「うん…だから…気持ち悪くて…きちんとした理由あれば良いんだけど…何もないから逆に怖いというか…」



「まあ、ストーカーとかなら尚更タチ悪しな」


「一人で行動すんの辞めた方がええんちゃう?」


「送迎しようか~?」


「えっ…?」



「みんなで日替わりで〜」

「いや…それは大変だから良いよ。申し訳ないし」

「せやけど何かあったら遅いやろ?」

「そうだよ~」


「……………」



「蒼ちゃんも送迎するんだよ〜」

「えええーーっ!」

「やだ!この人、すっごい面倒くさい的な言い方した!」


「わりぃか!」

「つくづくムカつく!」

「うるせー!」




それから日替わりで送迎してもらう。


それがあってか何事もなく過ごしているんだけど――――




ある日の休日。



私は一人街に出掛けた。


久しぶりにお洒落した。



いつも制服で、自分の時間なんてほとんどないのも同然で、つるんでいる相手が男の子だから尚更だ。


まあ無理もない。


私の通う高校は、共学とはいえ、男子ばかりだからだ。


久しぶりの普段着での街に、私の心はウキウキで気分が良い。


テンションがアガっている。


こんな時に彼氏がいたらな~と思う中、街をブラつく。



ショップを転々と周り、女の子の私にしてみれば唯一の楽しみだ。


だけど、一人は淋しい休日。


でも、一人の時も良い時あるんだよね?


自分の時間を楽しむ私。



午後、店内のベンチに腰をおろし休憩していると―――





「ねえ…超カッコ良くない?」

「背…高ーーい」

「モデルかな?」



そんな囁き声が聞こえてくる中、私は気にせずに携帯を弄っていた。



すると――――




「希美ちゃん」


誰かが私の名前を呼ぶ。



「?」



私は顔をあげるけど人の姿はない。



その時だ。



ツンと誰かに左頬を突っつかれた。


視線を向けると、意地悪される。


私の頬を突っついたと思われる指先が頬に触れた。


すると、そこには、見覚えのある顔。


吉良君だ。




「……!!!」


「何してんの〜?ナンパ待ち〜?」

「えっ!?いやいや、違うから!」

「そうなんだ〜」


「ていうか…吉良君、私みたいな人をナンパする人いないと思うし」


「そう?今日の希美ちゃん、可愛いよ♪」



ドキッ



「えっ?…いや…そんな事はないと思うよ」



と、言いつつ、吉良君からサラッと言われ、かなり戸惑っている自分がいた。



「そうかな〜?俺、制服姿しか見てないからかな~?」


「うん。そうだと思うよ。そういう吉良君こそ、お洒落してデート?」


「えっ?」




《本当に吉良君、超お洒落なんだけど…》



行く人、行く人、ほとんど見ては行き振り返る。


周囲も認めるお洒落なのだろう?


背も高いし、全部(すべて)において、申し分ないルックスのような気がする。


そんな彼が不良だなんて、誰が思うだろうか?



そして、吉良君は、私の隣に腰をおろす。



「じゃあ、希美ちゃんとデートしちゃおうかな〜?」




ドキッ

胸が大きく跳ねた。


サラッと言う吉良君にドキドキしっぱなしだ。



「…!!!」



「クスクス」


「もう吉良君!」


「希美ちゃん可愛いのに彼氏の一人や二人は、いたんじゃないの~?」


「…それは…」




いた試しはなかった。


友達以上無理とか?


男みたいだとか


そんな事ばっかで彼氏はいなかった。




「その反応って…意外な反応だね〜」

「えっ!?」

「じゃあ、俺の隣にどうぞ〜」

「いや…隣って…すでに隣いるし」


「えっ?」

「あれ?何か違った?」


「意味違うよ〜。確かに隣にいるけど、俺の特等席にって事だよ〜」


「特等席?」


「彼女の席」




ドキン



“彼女”


意外な言葉に反応が困る。




「えっ!?ええーーっ!いや、いや、いや、私と吉良君じゃ不釣り合い過ぎ!だって、吉良君、オシャレだし、カッコイイし…」


「ええーー、俺、フラレた感じ〜?」

「えっ!?何?マジ告だったの?」

「まっさか〜」

「えっ?そ、そうだよね?」



《ビックリした!マジ告かと思った》



「希美ちゃんって本当面白い反応するからからかい甲斐あるかも〜」


「わ、私で遊ばないでよ!吉良君」


「クスクス…ごめん、ごめん。じゃあ、俺行くね〜」


「うん」




吉良君は帰って行く。



「さて、私も休日楽しもうっと」




そして、私も席を立ち、その直接――――




「彼女、一人?」

「えっ?」



一人になるのを狙っていたと言わんばかりのタイミングの良さ。


私の前に、3人の男の人が行く道を塞ぐようにくる。




「ねえ、遊びに行こうよ!」

「ごめんなさい。私、用事があるので」

「後回ししちゃいなよ」



そう言うと、私の肩に触れ抱き寄せる。




「は、離して!」





すると―――



「彼女に何か用!?」

「あ?」



《えっ…?吉良君…?どうして…?》



「てめーには関係ねーだろ?」

「関係ありますよ〜」



歩み寄ると、吉良君は相手の手を払い除け


グイッと私の肩を抱き寄せた。




ドキッ



《わわわ…》



「俺の彼女、可愛いから、みんな放っておかなくて。

俺が、ちょっと席を外している間に、すぐに声かけられちゃうから。彼氏の俺も不安なんですよね〜」


「チッ!だったら彼女連れて移動しろよな!」


「すみません」


「行くぞ!」



3人は去り始める。



「つーか、彼女も可愛けりゃ、男もレベル高いよな?全く!クソっ!」


「本当だよなー」




「ごめん…吉良君…ありがとう…」



ポンポンと頭をすると、少し屈(かが)んで、私の顔をのぞき込むように



「デートしよっか?希美ちゃん」



ドキッ

吉良君の行動に胸がWパンチで連続で跳ねた。



「えっ…?……でも……」


「今みたいな事ないとは言えないよ〜」


「…吉良君…」


「希美ちゃんは、もっと女の子というのを自覚と意識をしなさい!!」



ツンとオデコを突っつかれた。



ドキン



《ズルいよ……吉良君……》




「行こう!」



グイッと私の手を掴み、手を繋いで街を歩いた。





いつか あなたの事 


好きになったら


あなたは 私を


特等席にしてくれますか…?



不意の行動と


詠めないあなたの行動に


私の胸は


ドキドキしっぱなしです



これが 『恋』 に変わった時


私は あなたへの想いに


気付く事は出来ますか…?









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