転校先は不良(ヤンキー)校!?③〜吉良 優人 編〜
ハル
第1話 出逢い〜 転校先は不良(ヤンキー)校!?
「希美(のぞみ)」
「何?」
夕食中、私の母が話しかけてくる。
「仕事の都合で引っ越しが急に決まったんだけど」
「えっ?」
「学校の方も変わる事になるけど…どうする?」
「仕方ないよ」
「そう?」
そして、私は転校する事になったんだけど――――
「………………」
「…間違って…ない…よね…?」
共学と聞いていた私の目の前に聳(そび)え立つ学校内は男子ばかりだった。
「…帰ろうかな?だけど…手続き必要だし…」
私は勇気を振り絞って入って行く。
注目を浴びるのは当たり前だ。
かなり視線が痛い。
そして――――
「ヒュ〜♪可愛い〜♪」
一人の男子生徒が声を掛けてきた。
「見掛けない顔だけど、どうしたの?」
と、別の男子生徒。
「迷ったの?」
また、別の男子生徒。
《うわー…面倒な奴等に会ったよ…最悪…》
見た目不良だと分かる男子生徒に遭遇した。
「いいえ!ちょっと用事で」
《チャッチャッと済ませて帰ろう》
「用事なんて後回しにしてさ、俺達と遊ぼうよ」
「ゴメンなさーい」
「えーっ!良いじゃん!」
「…やだぁ〜、あなた達、私、こんなだけど…実は……お・と・こ・の・こ・なんですぅ〜♪」
ウインクをした。
「え゛っ゛!?」
「…なっ!」
「し、失礼しましたーーっ!」
足早に逃げるように去った。
「おとこぉぉぉぉっ!?」
ビクッ
叫び声に驚く中、バッと振り返る視線の先には、3人の男子生徒がいた。
彼等も明らかに不良っぽい。
「………………」
「ホンマか?」
関西弁でいう男子生徒。
「………………」
二人は唖然としている。
「えっと……」
「…お前っ!女だろっ!?」
「…それとも…女裝が趣味なのかな~?」
「…さ、さようならっ!」
私は慌てて去る。
「今のは…女やろ?」
「女だろ?」
「女の子だと思うよ〜。転入生じゃないかな〜?」
「えっ!?男子校と変わらない学校なのに、女の転入生はマズイだろ?」
「ほとんど男ばっかやで?」
「…本当は共学になっているんだけど〜流石にね〜今年からっていうのはね〜…タチ悪いよ~」
「………………」
そんな私は手続きを済ませる。
「あの!ここは共学で間違いないんですよね?」
「はい…ただ、今年からでして、入学式当初は女子生徒は結構いたのてすが……」
「そう…ですか…じゃあ、男子校と変わらないんですね…」
「ええ。しかし我が校から他の高校を紹介する事も可能ですよ」
「いいえ。引っ越し直前、ここの高校を選んだので…元住んでいた家に戻って来たので大丈夫です」
「そうですか…よろしかったですか?」
「はい。それでは、失礼します」
そして、私は、転入する事になったんだけど―――
「今日から、ここのクラスに転入された棚峅さんです」
「棚峅 希美(たなくら のぞみ)です。よろしくおねがいします」
「すみませーーん。遅れましたーー」
一人の男子生徒が遅刻して登場だ。
「………………」
「また、遅刻か!?」
「ウィーッス」
「先生、おはよう」
次々と3人が遅刻してきた。
「おっ!優人の言った通り、マジ転入生や!」
「しかも、このクラスってありえなくね?」
「まあまあ」
「………………」
《この人達って…確か…》
「で?先生、その子、女子なん?」
「正真正銘の女?」
「…そうだが…」
「ふーん…つーかさ、ヤバくね?ここの学校、ほとんど男ばっかだし。ハイエナの中に投げ入れられてるもんじゃん」
「なあなあ、ホンマに転入してきたん?」
「そうですけど…?」
「辞めた方が良くね?」
「私も迷いましたが、引っ越し先が元住んでいた家になる為、選ばざるを得ない状況ですので!まあ、気が変わったら、また、変えるかもしれません!とにかく、よろしくお願いします!先生、私の席は?」
「それがだな……」
「ここしかないよ〜。お姫様〜」
王子様のような笑顔で言う男の子。
「お、お姫様ぁぁっ!?」
2人が、口を揃えて言った。
「いやいや、あれは、お姫様キャラじゃねーぞ!」
「うんうん」
「そうでしょうねーー」と、私。
私は仕方なく向かうと席についた。
席につき彼等は普通に授業を受けている。
《珍しい…不良だったらサボるんじゃ…》
そう思う中、3人を見渡す。
「何だよ!」
「えっ?」
「何か用なん?」
「いいえ」
「俺達みたいな不良が真面目に授業受けてるのが不思議なんじゃないの〜?」
「………………」
「図星かよ!」
そして1日を無事に終えた。
「はぁぁ〜、終わった…」
私は溜め息を吐きながら言うと、足早に帰る。
正門を出ると
「あれーー?新しい子?」
「転入生?」
「えっ?」
他校生の不良と思われる奴等が私を見て尋ねた。
「超可愛いんだけど?」
「どう?遊びに行かない?」
「無理!」
「即答かよ!」
「はい!それじゃ!」
去り始める。
「おいっ!待てよ!」
「何ですか?」と、足を止める。
「付き合ってくれても良くね?」
「嫌です!私、忙しいので!」
「冷てーなー」
「女の子なら街に沢山いるじゃないですかー。私みたいな真面目そうな女子なんて相手するだけ無駄ですよー」
「別に良いじゃん!」
「そうそう。遊びに行く位さー」
《しつこい!ウザーー!》
そして肩に触れてきた。
「触らないで下さい!」
ドカッ
ヒジ鉄をくらわせる。
「うっ…!ってーー」
「大丈夫ッスか?」
仲間が尋ねた。
「あら?ごめんなさ~い。驚いちゃって、つい…」
「この女…」
「大丈夫?それじゃ、ごめんなさ~い。失礼しま〜す」
「次は絶っ対!連れて行くからなっ!」
《誰が行くかっつーの!》
私、棚峅 希美(たなくら のぞみ)16歳。
眼鏡を掛けて真面目ぶってるけど、武術を嗜(たしな)む程度ではあるが、祖父から指導を受けていたのだ。
今も尚、現在進行系で、時々、稽古に行く。
「はあぁ〜……何か大変な所に転校したかも…」
そう思いつつも、家路に帰宅した。
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