第4話⁂噂の出どころ⁈⁂


 ある日突如として、人々にもたらされた真実なのか、それとも只の都市伝説なのか、まことしやかに囁かれる、毛むくじゃらの”オオカミ怪人”の噂。

 出所は一体どこなのか?


 東京都内と言っても広いが、最初の”オオカミ怪人”の目撃情報はどこなのか⁈

 更には真夜中に響き渡る美しいバイオリンの音色。


 そんな二〇一五年四月某日のある日、東京都台東区浅草に有る、この〔OUGI探偵事務所〕に若いカップルが、やって来た。


「最近巷で評判の”オオカミ怪人”を探して欲しい!」


 何か?見るからに不釣り合いのカップルで、よくよく聞くと夫婦だと言う事が分かって来た。


 この椿辰也と名乗る男性は〔DREAMエンタープライズ〕というイベント会社経営の社長らしいが実態は定かではない。


 何とも怪しげな風貌の目深に中折れハットのホンブルグを被り、更にはサングラスの為、ハッキリとした年齢や顔形は確認できなかった。


 一方の妻で麗奈と名乗る女性は、ス-パ-モデルのような高身長に加えて、小顔の八頭身美女で、こんな下町情緒溢れる昭和感漂う街並みには到底ふさわしくない、それこそ有名雑誌から飛び出して来たような美女である。


 怪しいと思いつつもそこは仕事なので、深く詮索しないで美咲と直樹の二人は早速捜査を開始した。


 調べていく内に、早速その『オオカミ怪人』に関する情報がもたらされた。

 それは……どうも、高名な医師が研究の為に実験材料として収容していたが、その狼のように体中に毛が生えた突然変異の人間が、深夜に逃げ出して、それを目撃した人々によっての通報だったと言うのだが、まだはっきりとは分からない。


 その出所を懸命に捜す〔OUGI探偵事務所〕の社長美咲なのだが、益々ヒートアップする悪質な情報に呆れるばかりの美咲。


 ある時は手足の無いダルマ人間を目撃した。

 またある時は小人症(小人人間)を目撃した。


 そんなある日、とうとう人づてに妙な男を目撃したとの情報が…………。

 それは……なんとダルマ人間が存在していると言うのだ。

 そんなとんでもない情報を耳にした直樹と美咲は、早速目撃された東京都西多摩郡に有る、奥多摩湖のほとりにある寂れた民家に向かった。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇


 実際に有った話らしいが、 若夫婦が海外旅行に出掛けて街中にある衣料品店で、気に入った服があった。

 そして…試着するために試着室へ………。


 だが、一向に妻が試着室から出て来ない事に不審を抱き、声を掛けたが返事はない。

 ゆっくりと扉を開けると、そこに妻の姿はなく、試着するために持っていった服だけが落ちていた。


 現地警察に通報したが、外国人であるという事と目撃者が居ない事から、早々に調査は打ち切られてしまった。


 数年後、夫は妻と行った海外旅行に 会社の慰安旅行で出掛けた。

 その夜、付き合いで会社の上司や同僚と共にバーのような店に入った。

 そこはストリップ小屋のような店で、壁に妻と行った海辺の絵画が飾ってあり、妻と行った場所がオーバ-ラップして辛さの余り、早々に店を出ようとした。


 すると同僚が「上司と二人きりは気まずい」と引き止めたので致し方なく席に着いた。

 諦めて舞台に目をやると、舞台の役者らしき人物が何か話しているが、言葉が通じない。

 何が起きるのか、場内に緊張感が立ち込める。

 シ~ンと静まり返った舞台に引き連れられて来たのは、なんと両手両足を根元で切断され、壁に固定された真っ裸の女に目が行った。


 その女は、手と足が根元から切断されて更には、舌も切断されているらしく、よだれを垂らし、不安で押し潰されそうな目で空を見つめている。

 よくよく見ると、その女は夫が探していた妻だった。


 ダルマ人間とは両手両足が生れつき無い人や、故意に切断されて無い人の事を言う。

 まさにこの女が探し求めていた妻だったのだ。

 酷い話だが、こんな事件が実際に起きている。


 恐ろしい話だが、現在、女、子供を拉致して臓器売買や、売春目的などで、被害に合う事例が多く報告されている。


 旅行と言ってもあまり人の立ち寄らない場所に行くのは、危険極まりない。


 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇

「狼男症候群・多毛症」は、遺伝子の異常により、色の濃い毛が過剰に生える病気で

「狼男症候群」の多くは狼人間と呼ばれ、昔はサーカスの見世物にされたりしていた。

 脱毛したり削いでも、また直ぐ生えて来るらしい。

 全く困ったものだ。


 だが昔は見世物小屋が有って『フリークス』と呼ばれ、見世物として人気を博していたらしい。


 現在は見世物小屋は希少な存在となったが、江戸時代初期に、見世物小屋全てで行われ、全ての見世物小屋で常に大盛況だったショー。

 それは美女とヘビのたわむれるショー。


  美女がヘビを首や手足に巻きつけたり、頬ずりしたりして、ペッティングをするだけのショー


 しかし御上からは、しばしば中止要請が出ていた。その理由は動物を虐待するのは、ヘビが可哀想だからだ。

 動物愛護の観点から厳しく取り締まりが行われていた。


 なんと、 ヘビを扱いやすくするため酷い事をしていた。

 捕まえて、ウロコの縁にある細いトゲを酷い方法でむしり取り。さらに、木綿の布を口に突っ込み、一気に引き抜き歯を全て抜き取っていた。


  ヘビは弱り、扱いやすいということで素人同然の美女でも簡単に扱えるが、お上からは常に厳重注意を受けていた。


 また美女がヘビを食べるショ-も人気を博していた。

 ヘビも何とも可哀想にその内、弱体化して死んでしまう。

 だが、儲かるのでお上からの要請を守る小屋は無かった。


 その内に「生類憐みの令」というのが将軍肝煎りで正式に発令され、徐々に見世物小屋も様代わりしていった。


 また、奇形の子供や性行為を覗き穴で見せるなど、更に身体障害者や知的障害者の人に芸をさせてお金を得る等の、悪行に一般市民の声や労働基準法違反の観点から徐々に減少して行ったものと思われる


 それでも…身体障害者や知的障害者の人々からは苦情が出ていたらしい。


 要するに一般市民の声は非常にありがたいが『廃業になればおまんまが食べられなくなる』そういう理由もあるようだが、見世物小屋の生活は想像を絶する酷い事が有ったらしい。


 さ~て本題に移りましょう。

 本当にダルマ人間や小人症(小人人間)などが、こんな奥多摩湖近辺に住んでいるのか?

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