にゅうわぁるど! 旧題 : 新日本ファンタジー

琴神こう

第1話

 「準備はできたか?」


 「はい、完了しております」


 「それじゃあ、始めようか」



  ***



 「おっつかれい」


 「冷た!?」


 「冷たいでしょ? コウちゃんの大好きなあずきバーだよ」


 「…ありがとう …… あのさぁ、この前も言ったけど、ちゃん付けはやめてくんない?」


 「別にいいでしょ、コウちゃん女の子なんだし」


 「それは見た目だけだろうが、中身はちゃんと男だ」


 「コウちゃん女の子になったとき

銀髪ロングロリ美少女だぁー! 

ってひくぐらいよろこんでたじゃない」


 「それはよろこぶだろ、ロリ美少女になるのが夢だったんだから。あと、ちゃん付けはやめろ」


 「なんでそんなのが夢なわけ?コウちゃんの感性が理解てきないわ……」


 「理解なんてしなくていいわ…ちゃん付けはやめろ」


そう2人が話していると、不意にドアから コンコン とノック音が聞こえてくる。


 「どうぞ?」


休憩時間にくるとは珍しいなぁ とロングな白銀髪のロリ美少女が、こてんと小首をかしげる。


 「休憩中に失礼します、緊急のご報告がありまして………官民共に、日本国外からのすべての通信が途絶されました」


 「はあ? それはいったいどういう……」


 「少々詳しくご説明致しまー」


 「ええぇぇぇぇ!?」


 「アカリうっさいっ!」


 「いやだってぇ! え!? は!? それはどういうこと!? まさかサイバー攻撃!?」


 「い、いえ、サイバー攻撃ではありません」


 「じゃあなんなの!?」


 「あかりうっさいてばぁ!」


 「仕方ないでしょ!? え、なに、完全に途絶しちゃったの!?」


 「はい、何度も国外に発信したようですが一切応答がなかったようです。各国の大使館からも本国と連絡が取れないとの通達が来ています。

なぜこのようなことになったのか、今は原因が分からず調査中です」


 「とりあえず、軍に出動命令だしとく?」


 「だしといて! もうしかしたら何らかの攻撃かもしれないから!」


 「わかった、それじゃあ俺は司令本部に行ってくるわ」


 「あなたはココアたちに緊急対策室に集まるように伝えといて!」


 「わ、わかりましたっ」



 ***



とある巡視船にて

 「艦長、奴ら珍しくまだ来ませんね」


 「だよなぁ、いつもこのぐらいには来てるはずなんだが…」


 「不気味だよなぁ……もしかして攻められるとかないよねぇ?」


 「艦長、何バカなこと言ってるんですかぁ?

昔ならともかく、今や世界一の経済大国にして資源大国、なんならアメリカにつぐ軍事大国ですよ?あいつらだってバカじゃないんだから攻められることなんか有り得ないですよぉ」


 「まあそうだよなぁ、心配のしすぎだな」


 「あの艦長、レーダーに反応があるのですが……」


 ***



日本国国防軍海上自衛隊P-4哨戒機にて

 「なあ、哨戒機こんなに飛ばす必要があるか?」


 「あるから飛ばしてるんでしょ?」


 「通常ので十分だろ」


 「仕方ないだろ?軍に出動命令がきたんだからよ」


 「なんで出動命令がくるんだよ」


 「あれ、知らないのか?」


 「何がだよ」


 「国外と全く連絡が取れなくなったこと」


 「…は?」


 「あのう…」


 「「ん?」」


 「今飛んでるのって対馬付近ですよね?」


 

「そうだな…それがどうかしたのか?」


 「いやその……朝鮮半島が全く見えなくて…


 「「え…?」」


このとき、天気は雲ひとつない快晴である。



 ***



国防軍総合司令本部にて

 「え…?朝鮮半島がない?」


 「はい、対馬付近を飛んでいた哨戒機からの情報です。ちなみに、このときは快晴でした」


TS銀髪ロリ美少女ことコウちゃんが、緑の迷彩柄の戦闘服を着た筋肉質の身体の中年男性から報告を受ける。

その表情は、意味がわからないといった感じであった。


 『どうしたの、コウちゃん』


コウちゃんの前にある大きなスクリーンから声がなる。

そのスクリーンに映っているのは、腰下まである黒髪ロングに鮮やかな翡翠色の瞳をした美少女ことアカリちゃんである。


 「いやそれがその……信じられないと思うが…朝鮮半島が消えたらしい」


 『いやまってまってっ!? は!? 朝鮮半島が消えた!?』


コウちゃんの普通有り得ないことを聞き、困惑の表情で応えたのは、肩下ぐらいまである亜麻色の髪に同じく亜麻色の瞳をしたロリ美少女ことココアちゃんである。

ちなみに、あのTSロリ美少女の幼馴染でもある。


 『で、でもあれでしょ、ちゃんと朝鮮半島上空まで行った確認はしてないんだよね?』


ココアちゃんは未だ困惑の表情を浮かべながらも、愛しい愛しいコウちゃんに質問をなげかける。


 「さすがにそこまでは確認してない。だが、その時は快晴で見通しが良かったらしい」


 『ということは、見落としや勘違いはありえない……』


アカリちゃんが、顎に手をついて脳内でいろいろと考察する。


 「総司令、緊急のお知らせが…」


 「ん? なんだ?」


 「その、えっとですね……尖閣諸島で警戒にあたっていた巡視船が…攻撃されました」


 「…………は?」





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