第8話 出発

左腕を無くしてから2週間が過ぎた、あれから虐めっ子達の何人かがルクスの家に来て謝りに来ていた。


「俺たちお前に嫉妬していたんだ」


「あんな可愛いくて、しかも幼馴染み」


「だから、お前はこんなダメな奴だと思い知らせれば良いと思ってやってたんだ」


「許されないのはわかってる、けど謝らせて欲しい」


「「「「すいませんでした!」」」」


そう言って土下座する


ルクス「...................」


此処で許さなく、逆にあいつらのような事をすれば、また虐めは始まるだろう、なら..........


ルクス「わかった、でも条件がある」


「なんだ?」


ルクス「君たち以外の虐めっ子達はこれからもやってくるだろう」


「なんでだ?もう婚約破棄されたのに」


ルクス「君達のように、彼女.....アイリが純粋に好きだったからとは違って"みんながやってるから俺もやる""楽しいからやっている"などの本当の屑がいる、そいつらから守って欲しい」


「...........」


それはつまりあいつらの派閥からこちらに来いということだ、彼らの立場も危うくなり、下手すればルクスと同じ運命を辿る。


その勇気があるかどうか試しているのだ


ルクス「無理ならそれで良い、けど2度と関わらないでくれ」


そう言ってドアを閉めようとすると


「わかった!!」


「!?」


「おい!嘘だろ!?」


「まじかよ....」


四人組の1人が言った


「此処でお前と一生関わらない方が楽なのはわかってる、けど、俺たちはこいつにそれ以上の苦痛を与えてきた、そんなんで許してくれるのなら安いものだ」


ルクス「...................」


予想外のことに息を呑む、こんな奴らだから結局関わらない選択を取ると思っていたルクスだったが、思わぬイレギュラーがいた


ルクス「わかった、じゃあ君は許すよ、そしてこれからよろしくね」


「ああ」


そうして握手をする、もしこれが嘘であるなら、もう村にはいられないだろう。

(村長にいじめてた奴らの今までの情報が知れ渡ったら、剣聖の子孫の恥として村から追い出すと約束していたからだ。)


ルクス「それで、そこにいる3人はどうするの?」


「それは...............」


「...........」


「その...........」


ルクス「..........まぁ、良いさどうせ俺はこの村から去るから」


「.........え?」


唐突に言われて唖然とする4人


ルクス「今、俺の腕は片方しかない、けど王都に行くとある"人物"がその腕を治す?再生?させる事が出来るらしくてね」


「そ.......そんな事が出来るのか!?」


守ると誓った1人が驚く、それはそうだ、普通斬られた腕は元には戻らない、だからこそ、アイリは無能には必要ないと斬ったのだ。


ルクス「ああ、俺はお前達のせいでよく王都に行っていたからな、まぁあくまでも噂程度だ、本当かどうかわからない」


「そ.....そんな状態で行くって言うのか!?」


ルクス「勿論、でも行くのは1週間後だ、まだなくなった腕が痛むから、それが治ったら行こうと思う、その間君達には悪化させるであろう奴らから守って欲しいんだ」


要するに早く村出たいから、協力しろと言う事だ......なら


「ならそれをあいつらに言えばやらなくなるんじゃないか?」


ルクス「さっきも言ったが、皆んなが皆んな、君達のように嫉妬心で動いているわけではない、まぁ君達のやってきたことも許せないけど、それでも他の奴らは"楽しい"からやっているんだ、そんな事を知ったらどうなると思う?」


きっと"玩具"がいなくなるからあの手この手で引き留めていなくならないようにするだろう。


ルクス(本当、村長や父さん、アイリのお父さん達に散々やられているのに反省のはすらしてないからなあいつら)


普通あそこまでやられたら最早やらないと思うが、それでも影でコソコソ地味な嫌がらせなどをずっとしてきたのだ。


表上は虐めはなくなったが、それは表上の話だ、物が無くなる、仕事が増える、不慮の事故で怪我を負うなどは無くならなかった。(まぁそれがバレた時に半殺しにされていたが)


それに虐めをする派閥もだいぶ減った、最初は村単位で来たがルクス父達によって今は今の4人も含めて後7~8人程度だろう。


現に剣聖の子孫にあるまじき行為として、何十人もの村人がこの村から追放されている、それに主犯格はルクス父、アイリ父にボコボコにされているため、このまま放置しても特に問題ないと思うが、念のためにやっているのだ。


「わかった、1週間、お前を守ればいいんだな?」


ルクス「ああ、そうすれば俺はこの村から離れる、いや、出て行く」


ルクスにとってこの村には嫌思い出しかない、なのにずっといたのは単に婚約者であるアイリの為だった、その理由がなくなった今、此処にいる必要はなくなったのだ。


「わかった、お前らも覚悟を決めろ、たった1週間だ、今までの事を比べたら大した事はないだろ?」


そう言って3人に声をかける


「..........わかったよ!やるよ!やればいいんだろ!」


「上から目線ですまないが、やってあげるよ!」


「ああもう仕方ねぇ!気に食わなくてもいい、けど約束だ必ず守ってやんよ!」


覚悟を決めたのか全員が立ち上がり、そう約束した


ルクス「わかった、皆んな頼んだよ?」


「「「「おう!」」」」


こうしてルクスは、形とは言え初めて同い年で仲間が出来た


ルクス(まぁ、本当は魔法でどうにでもなるけど、バレたくないし)


————————————————————

それから1週間はとても過激だった。


ルクス父達によってやられた虐めっ子達はやられたら腹いせにルクスをやろうと決めていて1人のところを狙っていた......が


「なんで、なんであいつらがいるんだよ!?」


いつもは1人のはずのルクスが4人と共にしており、迂闊に行動できなくなった。


そして、全く反省していない事がバレ、村長に追放され、事実上虐めてた奴らは全員村から追い出された。


————————————————————

そして~1週間後~


ルクス「皆んなありがとう、それじゃあ行ってくるよ。」


「ああ、気をつけてくれ」


「案外お前って良い奴だったから、悲しいぜ」


「もし、また戻ってくることになったら、今度は友達としてよろしく頼む」


「多分追放された奴らはお前を襲いに来ることはないと思うが、気をつけて」


ルクス「ああ、1週間本当に助かった、ありがとう」


そう言って全員に握手する


ルクス父「気をつけろよ」


ルクス母「何かあったらすぐに連絡ちょうだいね」


アイリ父「すまないな、俺たちの娘のせいで」


アイリ母「せめて、せめて私たちに治せる力があれば.....!」


ルクス「気にしないでください、この村は実力主義、弱い俺が悪いんです。」


そう言って荷物を持つ


ルクス「それじゃあ行ってきます」


そう言って彼は村を後にした


ルクス「...............」


————————————————————


ルクス「.......................」


ルクスが1人で歩いて、数キロ、もう村は見えない


ルクス「は......はは.......ははは」


ルクス「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!!」


高らかに笑う、それは誰も見た事がないほどの笑みだった


ルクス「..........全て思い通り、全て完璧.......」


ルクス「..........リムル.....全て」





























































ルクス「計画通りに動いたぞ?」


————————————————————

村から追放された虐めっ子達は登場しません、多分


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