金のキジバト

木枯らしが吹いた次の日の

晴れた空の色は

光の散乱による青の幻想


見つめることができない

太陽のきらめき

その眩しさもまた金の幻想


図書館の裏庭で見たキジバトは

繁茂するハナカタバミの緑の中

金色のオーラをまとって

佇んでいた


鱗模様の黄色い縁取りを

迷路をゆくように

目でなぞっていると

オレンジの虹彩の中の

真っ黒な瞳が

わたしを見すえた


ゆっくりと瞼を閉じ

ゆっくりとまた開けた


金色のオーラが飛散して

わたしもまばたきをした


目を閉じた束の間に

飛び去ったのか

キジバトの姿は消えていた


光と戯れたあとの

ガーデンテーブルには

開いたままの本

その黒い文字列が

また別の幻想の世界へと

わたしを誘っていた


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16817330667240660217

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