詩を少々 2023

紅瑠璃~kururi

空と宇宙

海という宇宙

楽園リゾートの海でさえ

海原に面と向かうと恐怖を感じるものだ


海面の下は未知なる宇宙であり

海神わだつみの気配を感じるからなのだろうか


とはいえビーチは燦燦と明るく

寄せる波は繊細なレースのようだ


浅瀬に一歩足を踏み入れると

太陽に温められた海水が身体にまとわりつき

ほどよい浮力が心地よい


光が戯れる砂地の明るみを経て

クマノミが遊ぶサンゴ礁を抜け

さらに深い青の方へといざなわれる


海の断崖ドロップオフは青の階調で

深くなるほど黒に近づく


その薄闇から唐突に現れるのは

巨大なナポレオンフィッシュ

窪みの暗がりには

いぶし銀のサメが並んでいたりもする


こちらが観客なのか

あちらが観客なのか


底知れないドロップオフの中空の

アンダーウォーター劇場


息継ぎで海面に浮上するまでの

束の間の観劇は

恐怖を畏怖へと変容させてゆく


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16817139556652239568

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