冒険者の感謝祭

感謝祭1 - 水着48

| 藤堂 未羽



響子の宣言、由真の訂正後。


響子は少し待っていてください。


そう、言い残し、由真を連れて浴室に向かった。


私は、昨日から続く騒動で疲れているのかも知れない。何せ、何度考えても4Pなら、もしかして。なんて思い至ってしまうのだから。


兄妹でなんて間違えてるのはわかってる。

妄想で終わらせるべきだとわかってる。


その事に悩んでいた頃、何度か告白された。でも駄目だった。諦めきれなかった。なら、なんで二人きりの時に迫らなかった?


そうだ、わかっていた。私は京介に拒まれることを何よりも恐れたのだ。血は繋がってないから大丈夫、なんて言えなかった。それより何より怖かった。愛香と別れてから3ヶ月。3年に渡って煮込まれた思いを、気持ちを、拒まれたくなかった。



「お待たせしました」


「お、おまたせー」


「…」



二人は水着姿だった。

響子はカチューシャの色に寄せた白ビキニ。由真は眼鏡の色に合わせた水色のビキニだった。二人とも谷間がすごい。



「…どうしたの、それ」


「家に戻る際、由真には連絡していたのです。今日はもしかしたら落ち込んだ京介さんが喜んでくれるかも、と言って」


「まー、あたしは?響子とか未羽とかと違って?スタイルよくないし?ピンでは勝負なんてかけられないから?セットだと見てくれるかも?なんて」


そっか。二人とも昔から京介のこと、憧れてたもんね。だから友達になれたんだし。


「きれいよ、二人とも」


「なんだか照れますね」


「ぅ、えへへへ」



「ほら、私たちは覚悟を決めたのです」


「去年の水着、まだ持ってるでしょ?ほら着替えた、着替えた」


「でも」


「今日をもって、妹ではなく、女と意識させるのです。幸い、金土日、今日明日明後日、少なく見積っても48時間ほど時間があります」


「その時間の中で、京介くんの意識改革を目指すよ!」


「………」



響子はズビシィと私に指差し、由真はメガネの真横で片手ピースした。


妹じゃなくて女。水着。そして48時間…これは響子と由真が私に付き合ってくれる時間であり、女としての魅力を京介に植え付ける時間。



「未羽さんに便乗させていただきますが、そろそろ私も女の子に見られたいのです」


「私も。なんせ女子コーセーだし!大人になったところを京介くんに見て欲しいし!」


「…くす。ありがとう二人とも。なんか元気出た。そうね。そうだね」



二人はさも自分のためだと、そう言っているけど、明らかに私の背中を押していた。安心させるように笑顔を崩さない。


そうだ、革命しよう!


義妹からの脱却。そう、女の夜明けが今始まる!拳に力を込めて、そう決意する。


言動ではあんなにも好意を前面に出していたのだ。次はビジュアル面で攻めるのだ!



「それ、全く伝わっていませんから」


「ツンデレなんて、伝わるわけないじゃん」


「ええっ?」

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