成瀬くんとギャル

 遊園地以来のバイト

 

「あ、おはようございます」

「おー、三上おはよう」

 

 …なんか緊張するな。

 付き合ってないけどデートしたり手繋いだ

 りしたんだもんな…。

 

「こ、この前は遊園地ありがとうございます

 です」

「フッ、なんだよ。その変な敬語」

「あぁ、なんかさっ」

 

「あのー、お二人は付き合っているんですか

 ?」

 いきなり出た‼︎鈴木くん。

「いや、付き合ってねーよ」

「う、うん」

「あー、そうですか。ならば話は早い」

「えっ?」

「実は、自分の友達が一目惚れしたと言う事

 で、ぜひ紹介してとお願いされまして」

「またかよ…お前…」

「お前とは?」

「三上モテるんだよなー。鈍臭いくせに」

「いえ、三上さんじゃなくて成瀬くんに友達

 が一目惚れしたんです」

「えーっ」

「何ですか?三上さん」

「あっ、いや…なんでもない。」

「成瀬くん、会ってもらえます?」

「あー、わりいけど断ってもらえない?」

「うーん…」

 何なんだよ…うーんって。

 鈴木ー‼︎

「しかし、今日来るって言ってたんですよ。

 自分連絡先知らなくて」

 

 …あー。

 

 成瀬くんかっこいいもんなー…。

 

 バイト中、どの子が成瀬くん狙いなのかと

 ハラハラしながら仕事した。

 

「あー、鈴木ー‼︎」

 ビクッ。

 来た…ついに来たんですね。

 私のライバル。

 いいわよ。

 受けてたとうじゃない。

 ウェルカムよ‼︎

 

 鈴木くんを呼ぶ元気な女子。

 うっ…

 ギャル。

 

 あーっ‼︎

 私は、今までかわいいキャラとセクシーキ

 ャラしか成瀬くんにみせておりませんでし

 た…。

 ま、まさか成瀬くんギャル好きだったりし

 て…。

 

 終わった…。

 初めての失恋。

 

「三上さん休憩どうぞー」

 て、店長ー‼︎

 なぜ今から私は休憩なんですかー‼︎

 気になるけど仕方ない…。

 私が休憩入らないと次の人が入れない…。

 

「きゅーけー入りまーす…」

「はい!行ってらっしゃい!」

 …店長は、いつも元気だなー。

 

 休憩中もそもそとパンを頬張った。

 もっそもそだよー。

 

「もう!なんでパンは、こんなにもっそもそ

 なんだよ。飲まないとやってられないわ」

 ゴクゴクゴク

 ぷはぁ

「ハハッ。お茶をやけ酒みたいに。何やって

 んだよ」

「えっ、そ、それは…楽しく一人芝居してご

 飯食べてるの」

「ふーん」

「それより、ギャルほっといていいの?」

「あぁ、断ったよ」

「えっ、ギャルも好きじゃないの?」

「もっ、てなんだよ」

「あー、こっちの話だから気にしないで」

「オレもノド乾いたな。」

「じゃあ、あたしの飲む?なんて」

「えっ、いいの?じゃあ少しくれ」

「えっ…、うそだよ。はい、コレおまけで当

 たったミニボトルティーあげる」

「マジ?サンキュー」

 美味しそうに飲む成瀬くん。

 …そのままどうぞってしてたら間接キスだ

 った?

 ってか、成瀬くんギャルも好きじゃなかっ

 たら、一体どんな人が好みなわけよ?

 

「ねぇ、成瀬くん」

「ん?」

「成瀬くんって好みのタイプってある?」

「んー…、特にない」

「えっ…」

 なんの参考にもならない。

 

「なんで?」

「あー、ちょっと聞いてみただけ」

「ふーん。ま、好きになったやつが好みにな

 るみたいな?」

「なるほどー。」

「あ、オレそろそろ戻んないと店長に怒られ

 る」

「あぁ、そうなんだ。」

 

 …成瀬くん何しに来たんだろ?

 

 次のバイトの日

「おっす、三上」

「あ、成瀬くんおはよう」

 本日も成瀬くんは、素敵です。

 

「これ、この前のジュースのお礼」

「えっ、開けていい?」

「どうぞー」

 かわいくラッピングされていた。

 なんでわざわざラッピング?

「わー、ハンカチ⁈ジュースあげただけなの

 に?しかもあれおまけでもらっただけなの

 に。」

「あー、遊園地のお礼もかねて」

「えっ、だってあれはいつも助けてもらって

 るからそのお礼なのに」

「ま、いいじゃん。」

「うん。ありがとう」

 オシャレで綺麗なハンカチを二枚ももらっ

 てしまった。

 う、うれしい。

 大切にしなきゃ。

 

 

 数日後

 るんるんな私

 ハンカチもらって幸せ〜。なんてバイトの

 帰り道歩いていた。

 

「おまえ…なんでいっつもそんなノーテンキ

 なわけ?」

 って怒られた…

 なぜ⁈

 

「全然気づかない⁉︎」

「へ⁇」

 

「はぁー…。ほんとにバカ」

「あのー、さっきから失礼じゃありませんか

 ね?」

 

 

 私は、成瀬くんの言葉にゾッとした。

 

 続く。

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