大胆な成瀬くん⁉︎

 本日バイトの日

 成瀬くんに言われた通りにセクシーな服を

 やめた。

 

「おはよう、成瀬くん」

「おー、そんな爽やかに挨拶してないで早く

 仕事入れ」

「えっ、でもまだ時間じゃないよ?」

「今日鈴木休みなんだよ」

「あー、わかった。すぐ着替えてくる」

「おう」

 

 急いで着替えて成瀬くんと一緒にバイト。

 ルンルン。

 …でしたが本日も脈なし。

 収穫まるでなし。

 

 さ、帰って作戦練り直し!

「じゃあ、お疲れ様でーす」

 グキッ

 

 あ〜ぁぁっ

 

「いったぁーっ。」

「おまえ…なんでそんなヒール高いの履いて

 来たんだよ。」

「えっ、だってセクシー系やめなさいって成

 瀬くんに言われたから、せっせめて足元だ

 けでもオシャレしたくて…」

「はぁ…バカだなー」

「っ、そんな大きなため息つかないでよっ」

「ホラ、乗れよ」

「えっ?」

「後ろ乗れ。送る」

「いいの⁈ありがとう!」

 

 まさかの成瀬くんと自転車の二人乗り。

 わーい。

 

「あの、なんかいっつもありがとう。」

「うん。いいよ。だってわざとやってんだろ

 ?送ってほしくて」

「はぁ?違うし!」

「ちょ、暴れんなよ。ちゃんとつかまれ。」

 成瀬くんが私の手を成瀬くんの腰にまわし

 た。

 

 成瀬くん…好き。

 

 でも、声に出してぜったい言わないんだか

 らっ。

 どうせバカにされるだけだし…

 

「あ、家ここ。」

「おう、じゃあな」

「うん、ありがと」

 ポンポン

「お大事に」

 

 ⁉︎   ⁉︎   ⁉︎

 

 なぜ…なぜ頭ポンポンなんてしたのぉ〜。

 嬉しすぎなんですけど〜。

 これ以上優しくされると辛いっつーの‼︎

 

 

 成瀬くんがよくわからないまま毎日が過ぎ

 ていく。

 そしてそれと同時に私のおもいは積もる一

 方…。

 

 バイトの休憩中。

「ねぇ、成瀬くん」

「あ?」

「いつもイヤホンしてるけど何聴いてるの」

「あぁ、聞きたい?」

「うんっ」

「なんで?」

「えっ…なんでって。ホラみんなどんなの聴

 いてるのか興味ってかさ。」

「ふーん、ホラ」

 

 ‼︎   ‼︎   ‼︎

 

 こ、これは…

 

 成瀬くんは、曲を聴いてるんじゃなくて英

 語の勉強をしていた。

 

「成瀬くん勉強してたんだ。ごめん…じゃま

 して」

「ううん。もう存在自体じゃまだから平気」

「はぁ?ひっどい」

「フッ、うそだよ」

 って言った時の成瀬くんの顔がお顔が…

 すーっごく素敵すぎて一瞬キュンってしち

 ゃったじゃんか!

 ま、

 存在自体じゃまなんて冗談とは言えショッ

 クだったけど…。

 

「そろそろ休憩終わりだ。」

「あっ、ほんとだねっ。」

 うわっ…

 思わずつまずいて成瀬くんに軽くハグをし

 てしまった。

「おまえさー、ほんっとおっちょこちょいだ

 な」

「アハハ…ごめん」

 トンっ

 へ?

 

 えぇェえ〜⁈

 

 なぜ?なぜ成瀬くん私に壁ドンしてるの⁇

 しかもどんどん近づく顔と顔…

 

 ぎゅって目を閉じた。

 き、キス?

 する?

 ついに結ばれる…時が

 かと思いきや口をムギュ〜ってタコみたい

 にされた。

「バーカ。おまえ油断しすぎなんだよ」

「へ⁈」

「おっちょこちょいもたいがいにしないと危

 ない目に遭うぞ」

「はぁ…ってかさ、今目瞑ったのは成瀬くん

 のドアップにびっくりしただけだからっ。

 別にキスとか望んでたわけじゃないんだか

 らね」

「あー、そうっすねー。」

 んもうっ、なんなのさー‼︎

 ってか、

 びっくりした。

 キスされるかと思った…

 

 ストン

 

「おい…休憩終わりだぞ?なんで座り出した

 ⁇」

「あっ、急におなかがいたたた…」

「しゃーねーな。なら落ち着いたら来いよ。

 それまでなんとかやっとくから」

「う、うん。ありがと」

 

 …まさか腰抜かしたなんて言えない。

 ぜったいバカにされるもん。

 

 おかしいな。

 今まで付き合った人とキスとか全然しても

 腰なんて抜かしたことなかったのに…

 

 数分後

「あ、戻りました」

「おう、もういいのかよ?」

「うん」

 

 成瀬くんは、たまに口が悪くなるけど意外

 と優しいし気にかけてくれる。

 

 にしても…壁ドンとかいきなりは、ないよ。

 刺激強すぎだから。

 

 成瀬くんを見ながらムッて口を尖らせた。

 

「何?口つきだしてチューの催促なわけ?や

 っぱりしてほしかったの?」

「もうっ、違うからっ」

「いいよ、オレは」

「えっ、あの…」

「うそだよ。遊んでないで仕事‼︎」

 目の前で手をパンってされた。

「んもー、びっくりするじゃん」

「あぁ、仕事中に間抜けな顔すっからさー、

 つい」

「ひど〜い」

 ハハッ

 

 こうして成瀬くんとのバイトを日々楽しく

 過ごしました。

 

 これって進展あったのかな…⁈

 成瀬くんがわからんよー‼︎

 

 

 続く。

 

 

 

 

 

 

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