4月7日


 今日もまた、部屋の片付けの続きをしていた。あと2日で、この家からは出なくては行けないというのに、まだまだ物があった。

 あれもこれも、「あの本のせいだ」と悪態をつきついていた。

『サクラの本』その本自体はただの恋愛小説だった。謎なんてない。それなのに、これを渡した時に彼女は確かに「謎が解けるといいね」と言った。

 その事が気にかかってその日はそれ以上掃除に手がつかなくなってしまった。

 きっと彼女もこうなることが分かっていたのだ。彼女はいつも、僕の困った様子が見るのが好きだった。

 こんな僕を見て彼女はまた笑うだろう。


「ふふふっ。何をそんなにじっと見ているの?」

 そう声をかけられたのは、春休み始まってすぐ、まだ肌寒く桜の蕾はぐっと閉じていた。

 僕は目の前にあった文字達から目を離して、声がする方を見た。

「現代文?へー国語の教科書?読んでるんだ。」

 彼女は落ち着いた雰囲気を放っているのに、どこかまだ幼い子どものように見えた。

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