第28話 ねぇ、バトルしようよ?
『ジェヴォーダン監督の最新作! Rush!! 蘇る
テレビから最新映画の予告が流れる。
「Rush!! の最新作、観たいなぁ!」
それを見て、りょうたは瞳を輝かせている。
「......そういえば、Rush! ってE・Bとコラボしてるんだよな」
それを見て、良行は思い出したかのように口にする。
「ねぇ、おとうさん。久々にバトルしない?」
りょうたのいうバトルとは、E・Bの通信対戦のことである。このゲームは、自身の育成したビーストを用いて他のユーザーと通信対戦することができる。
もちろん、インターネット環境が整っていれば世界中のユーザーと対戦することが可能だ。
「お、いいねぇ! 今度は俺に勝てるかな?」
E・Bは、子供だけでなく大人からも熱い支持を得ている。その理由は、Rush!! をはじめとした様々な作品とコラボレートしているからである。
「僕は図鑑を集めながら完璧なビーストを探した! いろんなビーストに勝てるようなコンビネーションを探した! だから、今日の僕はおとうさんに負ける気がしない!!」
良行の言葉で、りょうたの闘志に火が付いた。男というのは何かと勝負に熱くなる。たとえそれが、小学生とて例外ではない。
『バトル!!』
その掛け声とともに、二人の戦いが始まった。対戦は、各自手持ちのビーストから3体を選択しバトルをする。そして、先に3体のビーストを倒した方が勝ちとなる。
「メガロドン、君に決めた!!」
ビーストはそれぞれ木・火・土・金・水の5つの属性を持っている。属性は五行思想に基づき、互いに優劣関係を持つ。
りょうたが繰り出したのは、水属性のメガロドンと呼ばれるサメのビーストである。
「伊達政宗、任せた!」
良行が繰り出したのは、侍の人型ビーストである伊達政宗。属性は水で、メガロドンとの優劣関係は発生しない。
「......えっ、伊達政宗!?」
りょうたが驚くのも無理はない。伊達政宗は、√豆原作漫画であるR・O・Pとコラボレートした期間限定ビーストなのである。
しかも、特別なストーリーを全てクリアした上で無作為に配布される貴重なビーストだ。余談だが、のりこのお気に入りビーストでもある。
「ふふっ、最初からクライマックスさ!」
良行は不敵な笑みを浮かべる。彼は、早くも勝利を予感しているようだ。
「負けるもんか!」
両者のビーストが対峙すると、グー・チョキ・パーを模したアイコンが画面に表示される。プレイヤーは、一定時間内にいずれかのアイコンをタップしてじゃんけんをする。
その勝敗によってビーストの攻撃力が加味される。そして、このじゃんけんをどちらかのビーストが力尽きるまで繰り返すのだ。
「おとうさん、そろそろいかせてもらうよ?」
りょうたは不敵な笑みを浮かべる。スマートフォンの画面には、必殺技のアイコンが点滅している。
攻撃を一定数繰り返すと、ビースト固有の必殺技が使用できる。どうやら、彼はそれを使うつもりらしい。
「......来るかっ!」
その言葉に、良行は身構えた。
『必殺! メガロファング!!』
メガロドンが海原を泳ぎ回る演出とともに、必殺技が繰り出される。このゲームは必殺技の演出にも定評があり、この演出を目的にE・Bをプレイしているユーザーもいるほどだ。
海原から迫り来るメガロドンの姿は、パニック映画の恐怖感を再現している。政宗は、怪物に飲まれてしまうのか......!?
「よしっ、今だ!!」
良行は、この機を虎視眈々と待っていたようだ。彼はすかさず、スマートフォンの画面に点滅した必殺技アイコンをタップする。
『伝家の宝刀、
政宗は等身大の太刀を頭上へ振りかぶると、それを勢いよく振り下ろした! その一撃はメガロドンを直撃し、大ダメージが入る。
「ひょぉっ!?」
政宗、会心の一撃! もはやメガロドンは虫の息だ。
「一気にいくぜ、りょうた!」
ゲームの前では、大人も子供も関係ない。一度バトルを始めてしまえば、たとえ何人たりともビーストマスターなのだ!
「せめて、悪あがきはしておきたい……!」
政宗の体力はまだ有り余っている。さりとて、ここで易々と引き下がれない。
男の戦いに背中は向けられない! りょうたは、満身創痍のメガロドンで政宗へ必死の抵抗を続ける。
「これでとどめだっ!!」
しかしその抵抗も虚しく、メガロドンは断末魔の叫びを上げて力尽きる。
『見たか、これが独眼竜よぉ!!』
伊達政宗の勝利演出が流れる。長身の太刀を上段に構えるその姿が、何とも雄々しくて絵になる。
りょうたが次に戦うビーストを選出するため、しばらく待機時間となる。
「頼んだよ、ワーウルフ!!」
りょうたの繰り出したビーストは、甲高い雄叫びとともに登場する。
「これが、漆黒の狂戦士......!」
そのビーストの重圧に、良行は気圧される。
「戦いはこれからだよ、おとうさん?」
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