第7話 お風呂、入ろっか♪


『磯崎兎羽の好感度が上がりました。(好感度:140%) 実績解除:性行為が可能になりました』


 まずい、なんだかトワりんのキャラが変だ。

 記憶を弄るアイテムのせいで、頭がバグっちゃったのかもしれない。


 その影響なのか、好感度の上がり方がヤバイ気がする。っていうか性行為可能って……。


 とりあえず、今はこれ以上親密にならない方が良いだろう。



「ねぇねぇ、一緒に寝ようよぉ~」

「いや、ダメだよ。今日はもう帰らないと……」


 嘘である。すまない、トワりん。これ以上こんな状態の貴方と居たら、俺の理性が崩壊してしまいそうなんだ。だから、ここは我慢してくれ。そして早く俺の腕を放してほしい。



「そうなんだ……。じゃあ仕方ないね」


 俺が断腸の思いで断ると、残念そうにする眉を下げるトワりん。


 良かった、諦めてくれたか……。

 そう思った瞬間。彼女はベッドに腰掛けていた俺を無理やり引き倒し、馬乗りになってきた。



「じゃあ、私の方から襲っちゃうね!!」

「へ、へぶっ!? ちょ、胸! 胸が俺の顔に……く、苦しい!!」


 俺の上に乗ったトワりんは、そのまま勢いよく抱き着いてきやがった。しかも顔を胸に押し付けるようにして。


 彼女のたわわな双丘が俺の顔面にジャストフィットしているせいで、俺は窒息死寸前である。柔らかい感触と良い匂いだけで幸せだが、息ができない。本当に死ぬ!!


 トワりんは、そんなことを気にせず、まるで駄々っ子のように足をばたつかせている。



「むふふ~、どうだ参ったか~♪」


 ……ハッ!! あぶねええぇぇ!! 危うく意識を持ってかれそうになったぜ。


 ふぅ、危なかったぁ〜。もし気を失うようなことがあれば、そのまま彼女の色気に負けて一線を越えてしまうところだった。



「げほっ、ごほ……!! 俺を殺す気ですかッ!?」

「えぇ~? だってぇ、マコトくんが帰るなんて冷たいことを言うから……」


 トワりんは拗ねたように口を尖らせる。


 冷たいって、こっちだってイチャつきたいのを我慢しているのに……。



「私、すごく寂しかったんだもん……」

「その気持ちは嬉しいけど、なにも押し倒さなくたって……」


 俺の抗議に対して、トワりんはニヤァと笑みを深める。



「それってつまり、無理やりじゃなければ良いってこと?」

「いや、そういう意味じゃないんだけど……」

「うふふ、照れなくてもいいのに~」

「あの、そろそろ本当に起きませんか……?」


 俺はジト目を向けるが、トワりんはまったく意に介していない。むしろ嬉々として俺の上に跨ったままだ。



「う~ん、でもそうだね。そろそろ起きようか」

「はぁ、良かった……」


 ようやく解放されると思ってホッとする。しかしトワりんは俺から離れようとしなかった。それどころか、彼女の右手が俺の下半身へと伸びていく。



「~~っ!?!?」

「さぁて、こっちのマコト君もおっきしましょうね~?」

「なにやってるんですか先生!! あっ、あっ。それ以上は本当に……」


 制止するよう訴えかける俺の言葉とは逆に、トワりんは手のひらでズボンの上を優しく撫でまわす。それだけでもゾクっとした感覚に襲われるというのに、彼女はさらに人差し指の先で一番敏感な部分をピンポイントに刺激してくる。


 それはまさに職人技のような手捌きであり、次第に意識が遠退いて――。


 ドクン、と心臓が大きく高鳴る。それと同時に股間が熱くなり、頭が真っ白になった。そして、目の前には満足そうな顔を浮かべるトワりんがいるのであった。



「お風呂、はいろっか♪」

「ひゃい……」






「……」

「もう~、悪かったってば。ゴメンね?」

「先生。言ってることと、やったことがまるで違いますよ!?」

「でも気持ちよかったでしょ?」

「…………はい」


 あれから1時間後、俺たちはリビングの床に移動していた。


 そして俺の背中から抱き着きながら、教師とは思えない発言を繰り返すトワりん。色んな意味でスッキリとさせられた(しかも数ラウンド)俺は力なくガックリと項垂れた。


(はぁ、どうしてこんなことに……エロくなるような効果のアイテムは使っていないはずなのに。……まてよ? もしかしてトワりんって、元々こんな性格だったのか!?)



「うりうり、どうだ~。今度はベッドでしちゃう~?」

「シャレにならないですから、ホントに!」


 俺の耳元で怪しげに囁きながら、トワりんは心から楽しそうに俺の身体を弄ぶ。

 ドSな彼女も魅力的ではあるんだけど……これ以上は本当に俺の身が持たない。心を鬼にして、トワりんの身体を自分から引き剥がす。



「ちぇー、やっぱりダメかぁ。マコトくんは真面目なんだから……そんなんじゃ、女の子を満足させてあげられないよ?」

「……」


(いやいやいやいや、それを教師のあなたが言っちゃ駄目でしょうに)


 思わず心の中でツッコんでしまう。


 ただ、トワりんの言うことも一理はあるかも。


 確かにエロゲの主人公のように、女性を喜ばせるテクニックがない。ゲームなら選択肢を選ぶだけで済むけど、現実だとそういう訳にもいかないか。現に今だって、トワりんの手玉に取られているわけだし。


 かといって実戦で練習するわけにも……。



「ねぇねぇマコトくぅん……ならせめて、他の女の子がキミに近寄らないように、マーキングしてもいい?」

「はいはい、分かりましたからどいて下さい」

「あ、言ったね? んーちゅう。ちゅうう……」

「ああっ、ちょっと……マーキングってキスマークかよ!!」


 気付いた時にはもう遅い。

 彼女は俺の首元にヒルのように吸い付き、いくら引き剥がそうとしても離れない。それどころかどんどんと激しさが増していく。



「んん~、若い男の子の身体って美味しい~」

「サキュバスですか、あなたはっ!!」


 結局この日はお昼を過ぎるまで、俺はトワりんに蹂躙され尽くされた。




 ――――――――――――――――

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