続・隙(あらば)自(作品)語(り)シリーズ第2弾テーマ「仮面」編

 第3回山羊座賞のテーマが「仮面」と発表されてから、三作品ぶんのネタが浮かび上がってきたのですが、参加させたのは最後に出てきた『崖下の獅子』でした。他の二作品であるところの『贖罪の可能性』と『獅子心中のミス』を含めた隙あらば自作品語りを書いていきます。三作品の内容に触れていくので、ネタバレ注意です。


 山羊座賞とはなんぞやといいますと、千織さんが月一で開催している自主企画になります。今月(11月)が第3回。第1回は「となり」「ひとり」で第2回は「テスト」でしたね。自分は第1回の時には連載を書いていたり公募に出す原稿に追われていたりしたので、第2回からで参加しています。毎回細かい感想をいただけて嬉しい。


 https://kakuyomu.jp/user_events/822139838565732373

 自主企画ページはこちらです。


 余談ですが、第五回アキテン(偽)の感想文は山羊座賞の感想形式をリスペクトしてパクりました。良いと思ったものの良いところは真似していきたい。


 結果として、書きやすかったです。ただし、自分は気になるところや読んでいる中でひっかかってしまったところなどはなるべく指摘しないようにしました。企画立ち上げ時に言っていたならともかく、この感想形式にするよーんって言い出したのが後出しですしね。自分が勢い任せにわーっと書いて「最高傑作だぜ!」で提出し、あとから「ここおかしくね?」と気付くタイプなので「お前に言われたくないよ」と思われてしまいそうなのもあります。考えすぎかな。公開する前に一晩寝かせて読み直してから出しなさいよね。って思うんですけど長編でも書いたら即公開してしまっています。懲りないねえ(成長しなさい)。


 まず、この「仮面」というテーマの解釈なのですが『崖下の獅子』では“母親という役割”になっています。『贖罪の可能性』だとオーソドックスに“演技”ですかね。自分は秋乃晃というキャラで創作活動をしています(意訳:現実のわたしと小説を書いている秋乃晃とで切り離しているつもりだよ!)


 三作目の『獅子心中のミス』が“本来のボクを守るための防衛機制”みたいな扱いです。要は仮面ライダー的な用法ですね。仮面の下は泣いている、みたいなアレです。まあ理緒ちはヒーローのような自己犠牲精神を働かせる必要は感じていないし、すずなを助け出そうとはしてないんですけど……。


 獅子心中は理緒ちが(本来ならば)中学生の頃の話になるんですが、前半パートをごちゃごちゃ書いていたら2000字にまとまりきらなかった。この手の話はマンガの『新宿スワン』に影響を受けています。だからマンガのセリフを引用してくるおじさんが出ています。


 話を元に戻しますが、前半パートが長くなったからといって後半パートだけでゴーしてしまうと理緒ちとすずなの関係性について尺を割き切れていない気がしたので、自主企画への参加は見送りました。山羊座賞、1800字から2200字なのでずいぶんとシビア。急にふたりで死のうとしている(片方は別に死ぬ気はない)シーンを出されても、ですやん。すずなについては成長後理緒ちの登場している長編の『君の死体に問いかける』に出そうか出すまいかを検討中です。元カノって立場を活かしきれるかな(理緒ちの表向きの人格=理解者の仮面が完成したのはすずなのおかげだからな)。


 理緒ちには大切な人がいます。大切な人のためにも、すずなと破滅的な死を迎えるわけにはいかないのですね。獅子心中の時点ではまだ実家に帰れそうにないんですが、ちゃんと組織からは抜け出して実家に帰ります。この辺の話をしているのが『眠れぬ獅子』(通称ぬしし)なんですが、ぬししはカクヨム版となろう版で内容が異なるので、そのうちなろう版のほうに合わせるかも。


 理緒ちサーガをまとめたパック作品、どこかに作っておきたいな(『問いかける』で拾うのも要検討/ただし『問いかける』はどっちかというと雄大くんの成長物語だから理緒ちの話を深掘りしてもしゃあないよなの気持ちがある)。というかこの辺の話を読まないとどうして理緒ち関連エピソードに〝獅子〟がつくのかがわからないんだよなー……(A.背中にライオンの入れ墨があるから)。雄大くんにバレるシーンはほしいな(どうやって……?)。


 獅子心中ですずなに語った『大切な人』が誰なのか。読者へのアンサーとなる『大切な人』とのエピソードを現在(=『問いかける』の時間軸)の理緒ちが振り返りながら語っているのが『崖下の獅子』です。


 自分の好きなヒロインのタイプとして「自由奔放な女の子」があります。うちの子(一次創作キャラクター)でいうと、秋月あきづき千夏ちなつ夏芽かが早苗さなえのような子。やれやれ系主人公みたいな男の子を振り回すんだけど、かわいげがあるのでなんでも許せちゃうような女の子です。ヤバいけど憎めない。リアルにいたらめんどくさそうなので近付いてきてほしくない。創作の中でなら自由!


 樹里じゅりちゃんは初のギャンブル依存症キャラです。FXで有り金全部溶かす前はパチンコに通っていました。いろいろを経て競馬に目をつけています。初期プロットでは毎週競馬場に通うようになっていた(※平日は地方競馬もやるよ!)のですが、2200文字以内だったら単発エピソードで面白おかしくしたほうがいいかなと思い、現在の形になりました。これを書いていて「エピソード自体を変更して親父殿を出し、嫉妬に狂うシーンを延々と書いてもよかったのでは?」と思い始めたのですが、それはそれでくどい気がする……?


 焼肉食べたい。理緒ちが最初に遊ぼうとしていた磁石のオモチャは樹里ちゃんのお友だちが買い与えてくれたものです。お気に入りのセリフは「ひゃくえんのたんしお」です。


 血で創り上げる仮面、というエピソードタイトルにしたのは、樹里ちゃんと理緒ちの関係性を由来としています。樹里ちゃんが理緒ちのオカンなのは樹里ちゃんが理緒ちを産んだからであり、この血のつながり=実の親子関係であることこそが理緒ちの恋を阻む最大の壁となっている。


 樹里ちゃんはオカンとしては(比較的)まともな(ギャンブル狂いなだけで、育児放棄はしていない)ので、理緒ちのことはよ。ここが理緒ちにとっては歯がゆいところなんですが……。理緒ちは恋愛関係を望んでいて、オカンたる樹里ちゃんが好きなわけではないし、マザコンとも違うんだよなー(厄介だなー)。


 今作品の根幹の部分であり、テーマを回収しているんですけど、付随するエピソードのほうで子から親たる人物への特大感情を描けているかというとちょっと弱いから、急に圧が強めの思想が出てきたようになってしまう。もったいないぜ。クソデカ矢印が向いていることをアピールしないと。本編ではしゃんとします。しゃん!


 無理矢理こじつけるとしたら、競馬は、ほら、ブラッドスポーツですし……血筋が大事なので……。血統の呪縛というか……万馬券という「奇跡」は起きても、理緒ちと樹里ちゃんの関係は奇跡ぐらいでは変わらないし……。


 古代なら近親婚もありなのかもしれません(?)が、この現代日本に近しい世界観だと息子な時点で負けイベントなので、最終的にどう決着がつくのかは長編の『君の死体に問いかける』をお楽しみに!


 長編『不思議なオオカミちゃん!』の後日譚でもある『贖罪の可能性』が、おそらくみなさまの描いているテーマ「仮面」の短編に近しいんじゃないかな、と、山羊座賞参加作品をさらっと読んだ感じでは思いました。まだ全作品を読んだわけではないのですが、仮面→自分ではない別の者を演じている自分とするのが多かった気がしました。


 ちなみに、贖罪は『不思議なオオカミちゃん!』を読了している(できれば小学生編の『ふしぎのオオカミちゃん!』も読んでおいていただきたい)ことを大前提としています。サビトロ(※描きたいシーンだけを描く自主企画。サビトロのまとめもそのうち書きます)です。


 贖罪を山羊座賞に出すとしたら説明を入れていたと思います。さすがに未読勢には不親切な仕上がり(しかも爆裂ネタバレを食らう)。ああいうことしそうじゃないですか女神サマ。じゃあ番犬になりますって言ったらそれはそれで嗤ってきそうだし。もふもふさんは変わらないですよ。あんなことをされても隆文に善性があると思ってくれているのは文月ちゃんだけです。


 最近の短編の傾向として「誰がどこで何をしてどうなったか」はわかりやすくしようとしています。長編だとエピソードを重ねていくごとに要素を順番に出していけるし、かなりわかりやすく1エピソードぶんの尺を使って伏線を張れるのですが、短編だと文字数の制限が長編より厳しいのでどうしても省けるところは省かないといけなくなるので、せめてどういう話だったかだけでも伝えたいんだぜ。


 最後に、これはマジで自分の読解力の問題なのですが、さらっと読んだだけだと「いい話だったなー」で感想が終わってしまいがちなんですよね(あくまで自分の場合は)。何故この場面でこの単語や言い回しが出てくるのか、を自分なりに解釈して読み取れるようにならないと、ガチで感想に「よかったです」しか書けなくなってしまう危険性がある。今後の課題としたいと思います。


 *


 ここから先は蛇足です。↑で『最後に』って言っちゃいましたし。本当はサビトロの感想文であるところの『すしてん!』(近日公開予定)の冒頭のほうに置いていたんですが、自分の作品の感想があるかもと思ってわくわくして来てくれた人がブラウザバックしてしまうかもと思って、こちらのヘビの足とします。


 昔、とある知人から「読まれたくて書いているのか」と聞かれたことがあるのですが、読まれたくてというよりは脳内にいるうちの子(一次創作キャラ)をこの世界に残しておきたくて書いているので、承認欲求の「読まれたい!」とは違うような気はしています(相手に求めている行動はいっしょですが)。この「読まれ」の範囲を広げるために書籍化を目指しています。


 サビトロは自分の書きたいところだけを書くショートストーリー企画です。深く考えず、説明は入れたり入れなかったりしつつ、自由に書くをしてほしいなと思って建てていました。一度きりの人生なのでやりたいことをやりましょう。

 とはいえ、一度きりの人生だからこそ一番よくできたと思うものだけをネットで公開したいって気持ちもわかるので、あなたはあなたの正義を貫いてください。自分の創作の原点は、その日見た夢を当時の宿題だった日記に事細かに書いたら褒められた、という経験にあります。

 つまり、文章が上手いか下手かは関係なく、個人的に『書くこと=褒められること』だと思っていて、読んでくれる人たちがどう捉えるかはあんまり考えてないんですよね。みなさまからいただく感想で新しい視点が見えてきて、自分はこういうことが言いたかったのか、と逆に気付くこともあります。


 要は「書きましょう!」ってことです。どんどん書いていこう。書かなきゃ上手くならないとも言いますし。他人が見て面白いか面白くないかは書かれたものを読んでいただかないと判断できませんし。自分の頭の中に傑作があっても、その傑作が読める形でお出しされないと周りには傑作かどうかがわからないですし。

 自分にとっての面白いを共有するような感覚です。まあ、自分が面白いと思っていても他人にはつまらないことは多々あるのですがそれはそれ! 育ってきた環境が違うからすれ違いは否めないねって話でした(つまらなかったですと相手に伝えるとケンカになるので気をつけよう! 認めよう、価値観の違い)。


 被っておこう、社会性の仮面。……よし、テーマに戻ってきたな。以上!


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