第22話
気が付いたら僕の見ている灰色の世界に常に色が見えるようになった。
それは、感情ではなかった。感情は人々の顔の部分に色が見えた(表情はしっかりと見えている)。
見えるようになった色は、人々の身体を覆うように、さらには色には強弱が付いて見えていた。しかし、覆う厚さや色はそれぞれ違った。
最初は何かがわからなかった。
だが、治癒魔術を受け続けた結果、なんとなくだが理解ができた。
それは、身体を覆う色は魔力だということ。それぞれ色が違うのは、人々が持つ魔力は一種類であること。強弱が付いているのは適性の強さを表していること。身体を覆う厚さが違うのは、魔力量の多さを表しているということだった。
沢山の治癒術師の治癒術を受けてきたため、これらの違いに気がつくのにそう時間は掛からなかった。
リハビリを始めてから、修練場に出ると様々な色を纏った冒険者たちがいた。
修練場にいた冒険者たちの色の厚さも様々だった。
そのため、このような思考に至った。
そして、この変化はエルに大きな影響を及ぼす。
それは戦闘スタイルの変化だ。
エルは先日の戦闘の際、魔法を使われなかった。そのため、対魔法戦を学びたいと思ったのだ。
そして、リハビリの最中に少しずつ対魔法戦を学び、自身の視覚の特徴を活かして戦闘をするようになった。
そして、このエルの戦闘スタイルは、唯一無二のものとなることを、この時は誰も知らなかった。
また、エルが対魔法戦を学ぶことによって、ギルドにいる魔術師たちの技術力の向上、戦闘時の対応力の上昇など、魔術師たちの向上にもつながった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます